あしながおじさん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102082010

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃に読んで知った「あしながおじさん」。それから数十年
    再び出会ったこちらの文庫版「あしながおじさん」には、装幀のイラストに
    心くすぐられてしまい、ならばこの機会に再読して、更にまだ読んでなかった
    続編も続けて読んで、本棚にはぜひともこの2冊を並べたいと思って読みました。

    小学生の頃に読んでいたときのうきうきとした幸せいっぱいな気持ちと
    大人になって読んで感じた気持ちには少し違うものがありました。

    これが...悲しいお話ではないはずなのになぜか泣けて...。
    ジュディはとっても明るくて前向きで元気で、若さにあふれていて成績もよく
    まじめで友人関係も良好で、楽しく有意義に過ごす学園生活の毎日を
    まるで日記でも書くように熱心に書き綴っているその手紙からは
    一途な少女の気持ちが文面いっぱいにあふれ出ていて、胸がきゅうっと
    締め付けられて、ジュディがそばにいたならぎゅっと抱きしめたくなりました。

    だけどこんなに明るく振る舞うジュディでも、時には寂しく思うことがあったり
    甘えたい時だってある。そんなとき、決して届くことのないおじ様からの
    お返事を待ち焦がれるジュディを想うと思わず涙がぽろり...。切なくなりました。
    あれだけ熱心に手紙を書いているのにそのお返事がないなんて
    私ならきっと気がどうかしちゃう..。(笑)手紙のお返事はやっぱりほしいもの..。
    そもそもジュディの書いた手紙は学費融資をして頂いていることへのお返事
    (お礼)なのだから、おじ様からのお返事はなくて当然なのだけど...でも....
    お返事はないものと割り切っていながらも、おじ様から何かしらのアプローチが
    あることを願っているジュディの心の内が手紙の文面に垣間見えるとなんとも
    愛おしくて。それでもひたすら熱心に手紙を書き綴るジュディの一途な健気さに
    胸が熱くなってしまったのでした。

    • nejidonさん
      yumiieさん,こんにちは♪
      この作品は大人になってからの方がぐっと来ますよね。
      私は岩波の文庫で読んだのですが、子供の頃よりはるかに...
      yumiieさん,こんにちは♪
      この作品は大人になってからの方がぐっと来ますよね。
      私は岩波の文庫で読んだのですが、子供の頃よりはるかに感動しました。
      (表紙はこちらの方が素敵です)
      というか、子供の頃はあまり本のテーマそのものが分かっていなかったような・・笑
      すごーい、玉の輿に乗った話だ!という程度でしたよ。
      ジュディは、光り輝くものをたくさん抱えている子だったのですよね。
      それが、今も昔も女の子たちの心をつかんでやまないのだと思います。
      yumiieさんの心優しいレビューに、何だかすっかり癒されました。
      2018/03/18
    • yumiieさん
      nejidonさん、こんばんは~♪
      いつもありがとうございます。^^
      私もnejidonさんとおんなじように、子供の頃はジュディの明るさ...
      nejidonさん、こんばんは~♪
      いつもありがとうございます。^^
      私もnejidonさんとおんなじように、子供の頃はジュディの明るさに気分がうきうきして
      最後にあしながおじさんの正体がわかったのと同時にめでたしめでたしで
      あ~よかった~♪という記憶が残っているだけでした。
      これがおとな目線で読むと、少し違うんですね。ジュディの人柄や
      あの年ごろの女の子があこがれたり求めたりするものや、悩みや寂しさや
      それにそもそもの境遇の事とか、いろいろ深いところを想像したりして...。
      おじ様からのお返事など来ないのに、この子ったらなんてこんなに一生懸命なの!..って
      想ったら、いとおしくてたまらなくなっちゃいました。
      児童書や童話やきっと絵本も、子供の心で受ける感情と、大人が感じるものとには
      ちがった趣があるものですね。赤毛のアンもそうでした。
      .....ということで、実は最近ちょっと児童書に目覚めたりしています。^^
      絵本も模索中です。nejidonさんとお友達になって頂けたおかげでもあります♪
      嬉しいコメントありがとうございました♪
      2018/03/18
  • 人生で三度目のあしながおじさん読了でした。三度目にして初めて、ウェブスターの緻密に計算されつくした構成力と感情の変化を間接的に描き切った描写力に気がつき、脱帽させられてしまいました。

    誰もがあらすじを知っているように、決して正体を明かさないお金持ちの男性が、孤児の女の子を大学に進学させてあげるかわりに、毎月自分あてに手紙を書かせる物語。

    8歳と19歳のときにすでに読んでおり、結末は知っているのに、約10年ぶりに再読してみると、全く違う物語のような印象を受けました。

    以前読んだときは、孤児として育ったにもかかわらずハツラツとした無邪気さを持つ主人公の活き活きとした大学生活の描写が心に残ったのに、今回はどちらかというとその逆。

    瑞々しく明るい描写の中に垣間見える、孤児であることを親友や愛する人にさへ隠そうとする少女の葛藤や虚栄心、裕福な友人たちへの羨望、若い娘らしい物欲など…ただ一途で前向きなヒロインにとどまらない、より生身の人間らしい少女の心情に初めて気がつかされました。

    そして何より目から鱗だったのは、この物語は少女から「おじさん」にあてた手紙のみで構成されている「一視点」の物語であり、「おじさん」の心情は全く描かれていないにも関わらず、その手紙の中の描写から、気まぐれに援助をしだしたはずのおじさんが彼女に1人の男性として徐々に恋情を募らせていく過程が丁寧に織り込まれている点です。興味本位からひたむきな愛情に変わっていく様、ライバル男性への嫉妬、焦燥、独占欲、束縛など、実に多くの「おじさん」の感情が、手紙の中で少女が記すおじさんの行動を通じて容易に連想されるようにできています。しかし、少女はそんなおじさんの強烈な恋心には全く気づいていません。並程度の表現力なら、「それはないだろう」とつっこみたくなるはずでしょうが、それが実に見事に無理なく描かれています。他人の視点を用いて別の登場人物の心の変化をこれだけ鮮やかに描き出したウェブスターの筆力と緻密な構成に脱帽させられた一冊でした。

  • ひゃぁ~、やっぱり、これですよね~。

    新訳となった「あしながおじさん」を読み、
    大変面白く、でもなじみになじんだこちらが懐かしくなり、
    翌日読みました。

    なにせ、30年来のお付き合いでございますから、
    どうしたってこちらの方が愛着がありますの!

    お若い方、初めて読む方は新訳でよろしいかと存じます。

    好きな本の新訳って何かとイライラッとくることあるけれど、
    畔柳さんの翻訳は、うん、問題ないんじゃない?
    (いつものように、上から)

    でもさ、こちらの松本恵子さんの翻訳の言葉遣い、
    これがね、私は好きだからさ!

    「いいあんばいに」「大いに愉快に」
    「とても美しゅうございます」
    なんて、ちょっとパラパラめくっただけでも
    次々、今はほぼ使われない、でも魅力的な日本語が
    散りばめられているよね。

    あと「髪を出来るだけ豊富にちぢらして」
    (これはロック・ウィローの女中キャリーの行動ね)とか、
    「料理番はいつでもこね粉をひとかたまり取っておいて
    子どもたちに焼かせてくれます」
    (これはサリーのお家へ行ったときのお話ね)とか、

    いかにも昔っぽい言い様、でも心がほのぼのとして
    なんだか面白くて嬉しくなるこの気持ち、
    伝わるかしらん。

    ずっと大事にしよ、この本。
    裏表紙チラリ…、本の値段…240円、安い!

  • 夫の実家の本棚にあったもの。金井美恵子の『お勝手太平記』で、この作品の中のバラの花束について触れられていたことから読みたくなる。偶然?いや金井美恵子は同じ書簡体小説であることを絶対わかって触れたはず。

    食わず嫌いのとはこのこと!あまりに有名で今更という気持ちで手に取らなかったけれど、いやこんなに夢中で読んでしまうとは!多くの魅力があるけれども、やはり一番は一方通行の書簡体だという点ではないだろうか。何を書き、何を書かないかを巡る想像を掻き立てられ、そして自分の気持ちを人に伝えるという中で言葉が自然と選び抜かれることに不自然さがない。
    そして、この時代のアメリカの上流階級の暮らしも1つの魅力でした。ジュディの描いた線描画も何とも言えない味。
    他の翻訳も読んでみたくなりました。

  • 時代背景が分からず読みにくい部分はあるが快活でユーモアに富む主人公の文体は楽しい。掛け値なしで支援してくれているが反応の薄いあしながおじさんに対し、主人公持ち前の想像力を発揮して不自然なく楽しく会話している作力はすごいです。それにしても「アンネの日記」はこの本からかなりの影響を受けたのではないでしょうか。結びの言葉とかとても印象が被ります。
    あしながおじさんの正体は中盤くらいからうすうすわかってきますが、終盤のラブレターとその前の流れはとても可愛く、感動的です。

  • 数十年間いわゆる「名作」の数々を苦手としてきたが、芦田愛菜ちゃんおすすめの本だし、いっちょ頑張って読んでみるかと重い腰をあげたのだが、やっぱり無理だった。
    ごめんなさい。

    昔の本は本当に字が小さい。
    読書眼鏡プラス読書用虫眼鏡の合わせ技で立ち向かうも辛い。
    字の小ささだけでなく、邦訳の言葉遣いが辛い。
    書簡2通目でリタイア。(早過ぎ!)
    超有名な本だけど、あらすじも結末も、もう知らないままでいいや。

    読み終わっていない本を未設定に入れておいたら大変なことになり、昨年末に仕方なく「読み終わった」に移行したので、本書もそこに分類しておく。

  • 手紙形式で、最初は抵抗あったけど、けっこうわかりやすかった。

  • 図書館から借りました

     手紙形式。ジャンルは「学園物」?  恋愛物、ではなさげな。

     17歳の孤児ジルーシャは、月一回支援者である「ジョン・スミス(仮名)」に学校生活をつづった手紙を送ることを条件に、大学にゆける。
     日々の生活を手紙形式で、つづられていく。

     ジルーシャはかなり、失礼なことを平気でぽんぽんと書いていきます。
     ジョン・スミスという名前はあまりにも平凡なあだ名なので「女嫌いさん」「お金持ちさん」「背が高いから足長おじさん」、三つの候補をあげて、「女嫌いだと私を卑下しているようだからパス」。で、「お金持ちさんは、おじさまがいつまでもお金持ちでいるとは限らないからやめます(←すっごい失礼な)」、「何があっても、背の高さは変わらないでしょうから、あしながおじさんと呼びますね」(←相手が返事をよこさないので、それをすべて了承ととるジルーシャ)
     そしてまじめに聞くからこそ残忍な質問が。
    「おじさま、はげてますか?」
     うーむ、図太い。
     足長おじさまは、次第にジルーシャにめろめろになってゆきます。
     最初のクリスマスプレゼントは「金貨」、つまり現金だったのに、次は品物。大学最後のクリスマスは17ものプレゼントを……。
     彼女が同室の子が外遊していいなぁと手紙に書きつづれば、ヨーロッパ旅行をプレゼントしようとして、ジルーシャに「そんな贅沢いりません」と言われてしまい、同室の子が高い帽子を買っていたというようなことを手紙に書かれていれば、小切手を送って突っ返される。
     知人がお金に困っていて、ジルーシャが「100ドルばかり、人助け用にいただけませんか」と手紙に書くと……即小切手を切る。
     珍しくねだられたので、きっと裏側で歓喜していたことでしょう。

     それにしても、足長おじさま、独占欲強いな(笑)
     奨学金を得られるようになった彼女が月々のお小遣いだけでいいと言い出すと、「奨学金は断れ」と秘書に言わせ、同室の子のお兄さんと仲良くするのが嫌なので、夏はここに行けと命じて、機嫌を損ねた彼女から二ヶ月も手紙をたたれたり。
     裏側、足長おじさん視点から見れば、自分が彼女にあげられるのはお金や物だけなので、奨学金を得られるようになってしまったらすごく不安だったでしょうね(笑)

  •  こちらも『若草物語』に並ぶくらい大好きだった作品。幼少期は、国別にまとめられた小学館の『少年少女世界の名作文学』シリーズで読んでいたので、必然的に『若草物語』からの流れでよく読むことに。書簡集って楽しい!と思うきっかけとなった本。
     大人になってから読むと、素敵な紳士の子どもっぽい一面が結構感じられて笑えるが、子どもの頃はそんなことには気づかず、無条件に素敵なおじさまと信じて憧れていた。児童文学の名作は「孤児」と「想像力」がキーワードなのかと思うくらい、共通している気がする。
     今作も訳が古く、体育祭の「プログラム」を「番組」と訳していたのはどうしても許せなかった。

  • 昔に読んでからずっと大好き。
    和訳の言葉遣いがいい。

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著者プロフィール

ジーン・ウェブスター

「2004年 『あしながおじさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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