あしながおじさん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102082034

作品紹介・あらすじ

孤児院で育ったジュディの人生に、とびきりのチャンスと幸せが舞い込んできた。名を名乗らない裕福な紳士が、奨学金を出して彼女を大学に通わせてくれるという。ただし条件がひとつ。毎月、手紙を書いて送ること。ジュディは謎の紳士を「あしながおじさん」と呼び、持ち前のユーモアがあふれた手紙を書き続けるのだが――。最高に素敵なハッピーエンドが待ち受ける、エバーグリーンな名作。

感想・レビュー・書評

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  • 子供の頃に読んで以来の再読。
    おびのりさんのレビューに刺激されました。
    だって私も、エンディングを忘れていたからです!!
    こんなにも素敵なハッピーエンドなのに!!

    物語のほとんどは、孤児院で育ったジュディが、名を名乗らない紳士(あしながおじさん)へ宛てた手紙で構成されています。
    大学での生活、勉強、友人関係など、おおいに満喫している様子が、“手紙”という形で表現されている楽しさ。
    これがまた、ユーモアに溢れていて、ジュディが可愛らしくて、きゅんきゅんするの。
    生きている一瞬一瞬を本当に楽しんでいて、幸せを全身で感じている。
    学べる環境があるのは素晴らしいなと、改めて思う。

    そして時代背景なども時折記されていて興味深い。
    “女性は市民でしょうか?法律上は、市民権は与えられていませんね”
    (この作品は1912年出版)
    女性が選挙権を得たのは、アメリカ1920年、日本1945年のようです。

    「続あしながおじさん」も読みます!

    • おびのりさん
      みんみんさん、aoi-soraさんこんばんは。

      私、りぼん派だったんです。ふふふ。
      そして、キャンディは、アニメ一回目!忘れもしない一回目...
      みんみんさん、aoi-soraさんこんばんは。

      私、りぼん派だったんです。ふふふ。
      そして、キャンディは、アニメ一回目!忘れもしない一回目!に、施設に養子縁組に来た夫婦がキャンディを選んだら、友人の女の子が、寂しがって、それでキャンディは、養子を断ったら、その子がもらわれていった。という残酷さに、見るのをやめたんですよ。
      懐かしいなぁ、思い出したわ。
      2022/09/13
    • みんみんさん
      そんな始まりだったんだ(°_°)
      内容はドロドロの愛憎だもの…
      今なら子どものアニメにはちょっとだよね笑
      そんな始まりだったんだ(°_°)
      内容はドロドロの愛憎だもの…
      今なら子どものアニメにはちょっとだよね笑
      2022/09/13
    • aoi-soraさん
      おびさん、みんみんさん、こんばんは。
      なんだか、キャンディキャンディって残酷なのね(⁠+⁠_⁠+⁠)

      子供の頃田舎に住んでたから、テ...
      おびさん、みんみんさん、こんばんは。
      なんだか、キャンディキャンディって残酷なのね(⁠+⁠_⁠+⁠)

      子供の頃田舎に住んでたから、テレビのチャンネル数が少なくて、ケーブルテレビに入ってないと、キャンディ観れなくて。
      友達の家でたまに観たり、チョット大きくなってから、再放送を観たり…
      って感じだから、そんな恐ろしい話だとは知らなかった*⁠\⁠0⁠/⁠*
      2022/09/13
  • なんということか、私はこの小説のエンディングを覚えていなかったのです。確かアニメも観たような、児童文学全集で読んだような。
    孤児院で育った少女ーとういうより18歳かな、大学生になろうという女性ですね。ージュディ。彼女が大学に行けるように援助してくれるという男性が現れる。条件は、毎月手紙を書くこと。
    そして、この小説は彼女の“あしながおじさん”への手紙で構成される。援助は学費に留まらず、毎月のお小遣いやクリスマスのプレゼントなど、気のせいか年々豪華になっていくようです。
    “あしながおじさん”は誰?というミステリーの伏線ですね。
    なかなか幸福度お高め、お手紙はユーモア溢れ、挿絵はお茶目な癒し小説です。

    ところで、“ガラスの仮面”はどうなっているのだろう。紫の薔薇の人は、お元気でしょうか。再開された時、おお!って期待していたんだけど、紅天女が決まらない。諦めて、読みドメ。完結信じて待ってれば良いのでしょうか。

    • おびのりさん
      皆さん、こんばんは。
      なんだ安心。皆さん似たようなそこそこ感。soraさん、演劇クラブ!お会いしたこと無いけど、見かけによらず?笑
      みんみん...
      皆さん、こんばんは。
      なんだ安心。皆さん似たようなそこそこ感。soraさん、演劇クラブ!お会いしたこと無いけど、見かけによらず?笑
      みんみんさん、漫画読むのが忙しくて、レビューする暇がないんですよ。ふふふ。
      2022/08/31
    • 松子さん
      こんばんは(^^)
      コミック界のあしながおじさんの頂点は
      紫の薔薇の人☆
      おびさん、最高です♪

      あおちゃん、演劇クラブって楽しそうだねぇ
      ...
      こんばんは(^^)
      コミック界のあしながおじさんの頂点は
      紫の薔薇の人☆
      おびさん、最高です♪

      あおちゃん、演劇クラブって楽しそうだねぇ
      こんどもっと聞きたいっ!
      ぜひ、いつかどこかのレビューに詳しくぅ♪

      みんみんさん、思い出の少女漫画…
      考えたのですが…
      ときめきトゥナイトとハイティーンブギが思い出に残ってます♪ 読んでいた頃のときめきは残っているのですが、内容があまり思い出せずレビューできるほどの感想がなくて…

      ガラスの仮面最新刊が出たら、かならずレビューしますっ(^^)
      2022/08/31
    • aoi-soraさん
      こんばんは。

      えっと私の演劇クラブでの経験は、マヤとはかけ離れ、役柄が憑依することもなく、なりきることも出来ず、ただただ、ステージの上...
      こんばんは。

      えっと私の演劇クラブでの経験は、マヤとはかけ離れ、役柄が憑依することもなく、なりきることも出来ず、ただただ、ステージの上にいることが恥ずかしかった思い出があるのみ…(-_-メ)

      みんみんさん。
      私も昔読んだマンガ、内容がちゃんと思い出せないの。

      好きだったのは、
      ホットロードかな( ꈍᴗꈍ)
      2022/08/31
  • みなさんが絶賛しているのをよくお見かけするなあと思っていた本書、意外とちゃんと読んだことないかも?と思い手に取ってみた。
    そしたらめちゃくちゃ最高のお話!ブクログばんざい!

    あしながおじさんがはげているか執拗に気にする、好奇心とユーモアと、日常を楽しむ気概あふれるジュディが可愛すぎて。
    あしながおじさんに寄付をもらって、「神さま、ありがとうございます!」「そのかたにそう考えさせたのは、神さまのなさったことだ」と言う人に「神さまがくださったのではありません」「とんでもない!わたしがその方に言って考えてもらったのです」と言う、現実的なところも大好き。
    ラストはキュンとせずにはいられない!

    図書館で借りて読んでしまったのだけど、一冊うちに置いておいて、たまに読み返したくなる本だと思った。

    • aoi-soraさん
      ロッキーさん、こんばんは^⁠_⁠^
      最高ですよね!
      大人になって読むとは思わなかった本。
      本当にブクログ万歳ですね(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

      “お...
      ロッキーさん、こんばんは^⁠_⁠^
      最高ですよね!
      大人になって読むとは思わなかった本。
      本当にブクログ万歳ですね(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

      “おじさまはハゲですか?”(笑)
      2022/12/11
    • ロッキーさん
      aoiさん、コメントありがとうございます!
      いつも優しさが感じられるレビューと幅広い選書、楽しく拝見してます\( ˆoˆ )/

      あしながお...
      aoiさん、コメントありがとうございます!
      いつも優しさが感じられるレビューと幅広い選書、楽しく拝見してます\( ˆoˆ )/

      あしながおじさん、大人がこんなに楽しめる作品とは!再評価されてほしいです。
      「おじさまはハゲですか?」面白すぎる笑
      2022/12/12
  • 小学生以来の再読。ジュディの手紙で描かれる人物評や大学生活などの細部が愛おしい。「今を生きる」「わたしはちょっと横にそれて人生を眺める好位置を得た」など名言たくさん。余韻の残る終わり方。訳と訳者あとがきが良かった。

  • 名作すぎて今さら内容を人に聞けない作品第一弾‼︎

    おびさん♪ありがとうございますm(_ _)m
    楽しく読みました〜‼︎
    なるほどこんな内容でこんな結末だったとは…
    なんて素敵なハッピーエンド‼︎

    ずーっと一方通行の手紙だったんですね(*_*)
    一ヵ月に一度の約束の手紙…三日に開けず出しまくりそして可愛い空想だらけの手紙笑
    なぜか時々大切なおじさまに暴言からの反省笑
    「おじさまはハゲですか?」何回も聞いてるし!
    手紙に書いてある絵が可愛いし笑えるし(°▽°)

    愛しいわジュディ‼︎
    子どもの頃読んでたら間違いなく"あしながおじさん”
    を夢見る乙女になったに違いないわ(〃ω〃)

    • aoi-soraさん
      みんみんさん、面白かったよね〜♪

      この結末を忘れていた自分にびっくりしたわ(笑)

      土瓶さんならきっと、夢見る乙女になれますよ(⁠...
      みんみんさん、面白かったよね〜♪

      この結末を忘れていた自分にびっくりしたわ(笑)

      土瓶さんならきっと、夢見る乙女になれますよ(⁠ノ⁠◕⁠ヮ⁠◕⁠)⁠ノ⁠*⁠.⁠✧
      2022/09/17
    • みんみんさん
      王道に安心しました\(//∇//)\
      王道に安心しました\(//∇//)\
      2022/09/17
    • 土瓶さん
      お〜と〜め〜(⁠。⁠♡⁠‿⁠♡⁠。⁠)♪
      お〜と〜め〜(⁠。⁠♡⁠‿⁠♡⁠。⁠)♪
      2022/09/17
  • 物語の中にさまざまな手紙が書かれていて面白味がありますので初心者にも小説を読むのが苦手な方にもオススメです。

  • 前回福音館の坪井郁美さん訳で読んだのだけど、読書会を機にこちらの訳を。

    まず、表紙がかわいいです。
    手紙の中に添えられていた、ジュディが(作者が)描いたイラストたちが、絶妙なデザインで使われています。

    前回読んだ時はそこまで感動していなかったはず。
    児童文学的だが、深刻さはないと。

    しかし今回はとても肯定的に読むことができました。以下読書会のメンバーの感想もよ含めて。

    ・物語としては単調だけど、かわいらしく、魅力的なジュディの手紙は読むのが楽しい。
    ・シンデレラストーリーと言ってしまえば それまでだが、ジュディが努力しているから、応援したくなる(少しくらいお洋服買ってもいいかと思える)
    ・孤児院のことをあんなに恥ずかしく呪わしく思っていた子が、最後は愛情さえ持ち、どうやら続編に繋がりそう。
    ・哲学的で社会派な女の子に成長させた実りある大学の日々は眩しいほど。

    今回の私は『ハムレット』の舞台をジュディにプレゼントしてくれたジャービーさんに惚れました。
    あんなに楽しそうな手紙読まされたら、嬉しそうな顔を見たくなるわな、ジャービー氏。

    岩本訳では、前回坪井訳で読んだ謎の"犬猫降り" が、ちゃんと"土砂降り" キャッツ&ドッグズとルビがふってあり、しっくり来ました。
    ~ですの。みたいなくすぐったい口調がなかったのも読みやすさを助けていたかもしれません。

    それに…まるで福音書のようなアンクルトムの小屋を読んだ後でしたので、神様という存在に頼らないジュディは頼もしく見えたりもしました。

    彼女の名言
    「寒さと霜を受けると少ししおれてしまいますが、太陽が輝けばぐんぐん成長します…苦労と悲しみと落胆が精神力を鍛えるという説には賛成しません。親切な心にあふれているのは、しあわせな人たちです。人間嫌いは信用できません。」

    翻訳者の畔柳和代さんによる解説にこんなふうに書かれています。ウェブスターの書いた他の作品の主人公と比べてのことですが、
    「社会の一員となる過程で、持ち前の観察眼と批評精神とユーモアをもって、仕事や幸福、お金や人生、自分が考える違和感について書く…異文化について報告する記者のようでもある。」
    そうなのです、批評的な精神にもユーモアがあるから彼女は魅力的なんですよねー。

    とこんなふうに、2年前に読んだばかりだと言うのに、まるで初めて読んだかのように楽しい時間を過ごしました。

    • ちぃさん
      おはようございます。
      表紙のイラストがほんとにかわいいです。作詞自身が描いたものなんですね。
      おはようございます。
      表紙のイラストがほんとにかわいいです。作詞自身が描いたものなんですね。
      2024/02/15
  • 何回でも読みたい本ベスト3に入る。
    無人島に持って行きたい本3冊にも入る。
    237ページから最後までの14ページくらいはずっと泣きそうになる。嬉しくて素敵すぎて。
    相応しい言葉が見つからないくらい綺麗で幸せな涙が溢れるのです。
    ジュディが書いた数えきれないお手紙はどれもユーモアに溢れていて、あしながおじさんに宛てたお手紙を覗き見してしまってごめんなさいと思いながらも、とても楽しく明るい気持ちになれる。
    続編は未読なんだけれど、この幸せな気持ちのまま取っておこうか、それとも2人の物語の続きをまた覗かせていただこうか迷い中。

  • 最初に読んだのは小学生の頃、祖母から勧められた時に読みました。それから15年経ち、書店で見かけて、再読。
    星10つけたいくらいの本当に、本当に素敵な本だと今なら心から、よく理解できます。

    主人公の孤児院の女の子が、お金のあるおじさんから金銭的な支援だけをうけて学校へ通えるようになります。
    お返しはいらないけれど、毎月お勉強のことなどのお手紙だけはおじさんに送らなくてはいけない約束で、本書はずっとおじさまへのお手紙でできています。

    読んでいくと、読者がおじさんになったような気持ちになり、若くて身寄りのない孤独な女の子の成長を遠くから見守っている気持ちになります。
    好きな文は『とても大きなよろこびが、1番重要ではありません。大切なのは、小さな喜びを大いに重んじることです。おじさま、わたしはしあわせの真の秘密を発見しました。それは、今を生きることです。』
    ああ、これだから児童書はすきです。
    こんなにシンプルなことですが、子どもの頃より大人になってから、ある程度経験したからこそ、純粋な彼女とおじさまのやりとりがこんなに温かく心に染みる。
    大好きな児童書です。

  • あ~あぁ、落ち着くなあ~。

    神様みたいな人が、
    「あなたの好きな本は、ほら、こういうのでしょ」と
    ポーンと投げてくれたのを
    おっとっとってなりながらしっかり受け取って、
    「へー、どれどれ…」読んで、
    「これだー!!」てな感じ、ね、これなんですよ!

    もう何回読んだかわからない!、
    何度読んでも飽きない!
    そんな大大大…大好きな本が、新訳になって
    楽し気にBBの本屋さんに並んでいたの。
    むろん、買 う で しょ!

    ね、表紙の感じも可愛いでしょう!最高だ。

    ストーリーはもちろん皆さんご存知、だと思うけれど、
    有名過ぎて読んでいない、と言う人が
    少なからずおられそう。
    そんな方は、絶対に、読んでね。

    孤児院育ちのジュディを
    ある裕福な紳士が大学へ通わせてくれることに、
    条件は毎月、紳士に向けてお手紙を書くこと!

    今回の新訳を読んで、
    やっぱり会話文が現代風になっていて
    すっきりしていて、そこはちょっと寂しい。
    これはもちろん、私の好みの問題。
    (「おやすみになれまして?」みたいな
    変な言い回しが好きなのですよ、わたしは…)

    あと新訳では、
    サリーと言う優しくて面白いお友達が出来て、
    とても喜んでいるジュディちゃんの気持ちが
    ことさら伝わって来て、なんだか涙が…。
    「サリー・マクブライドはわたしを気に入っています!」
    と手紙に書いているところが可愛い。

    ずーっと同世代の女の子のお友達が
    いなかったんだもんね!

    あと、サリーの兄さんの愛情表現が
    けっこう積極的だったんだ!と思った。

    あー、面白くって楽しくって、
    読み終わってすぐ、旧訳を読みだしてしまった!

  • ハッピーエンドな作品が読みたい!って思って手に取った名著。期待通りにハッピーエンドでほっこり。ジュディの書く手紙も面白く最初から最後までほわほわとした気分になれました。

  • あしながおじさんを新しい年が始まったときの最初の1冊に選ぶようになり3年目になりました。小学生の時に世界名作劇場「わたしのあしながおじさん」を見て、どうしても原作が読みたくなり買ってもらった「あしながおじさん」。手紙だけで物語が進む形式に最初は慣れませんでしたが、どんどん友達からの手紙が届いたような喜びがともない始めました。作家という夢に向かって努力するジュディ。友情を大切にし、お金の価値を理解し、辛いときにも明るく笑顔を見せてくれるジュディ。毎年最初に読むことで彼女のような「友達」がいることを思い出し、自分も努力する決意を固めることができます。そして彼女の才能を見つけ出し開花させる手伝いをしてくれたジャーヴィスに感謝します。

  • 有名な小説なのだが “少女向け” というか“乙女系”なイメージがあり未読だった。そして今回初読。
     文学の道を志し、作家を目指すことも意外であった。そして、なんとこんな結末だったとは…。はずかしながら、あしながおじさんの正体にびっくり。

    だけど「彼」がうら若いジュディを長い時間をかけて計画的に籠絡したような気もしてきて苦笑… な心証も。
    ジュディことジェルーシャ・アボットは孤児院育ち。18歳の時思いがけず、院長から、匿名の篤志家から大学進学の奨学金の申し出があったことを告げられる。

    あしながおじさんへの手紙に綴られる内面の告白を通して、ジュディの成長をたどることになる。本作は岩波少年文庫を初めとして児童向けの本も多いのだが、実は大人っぽい小説なのでは?と感じた。自分の才能への不安や焦燥も描かれ、児童文学というより青春文学である。
    さて、驚いたのだが、ジュディは社会主義への共感を宣言する。ジャービーおじさんも社会主義者だという。1910年代アメリカの時代精神というか、政治・思想の状況を感じた。

    明るく利発なジュディだが、一方で、周囲の俗な人物や退屈な人への評価は( 書簡中だからではあるが )遠慮がなく辛辣である。聖人君子でないそういう人間味あるキャラにリアリティを感じ好感を持てた。
    アメリカ東部の大学の自然や季節感、寮生活のディテールも書き込まれていて、楽しい。作者自身の書いた挿画イラストも素朴なながら可愛らしくて楽しい。

  • 再読してこんなに引き込まれてしまった作品も珍しいのでは…。
    ジュディの天真爛漫な言葉一つ一つに読みながら思わず笑いがこみ上げることもしばしばでした。
    そしてしみじみと幸せな最後の手紙…。
    手紙の端々にふんだんにちりばめられた可愛いスケッチがまた素敵です。
    新潮文庫のこの素晴らしい装丁には敬意を表します。
    本に対する限りない愛情が込められている。

  • 作品自体は知っていたけど、読もうか悩みつつずっと触れた事のなかったあしながおじさん。
    新潮文庫の100冊として本屋さんで展開されていて、ピンク色の可愛い表紙に目が止まり読んでみることに。

    結果、大好きな一冊になった。
    何で今まで読まなかったんだろう!

    大人になるにつれて、昔は大好きだった海外文学を読みづらく感じることも多くて寂しく思っていたけれど、そんなこともなく。
    ユーモアたっぷりのジュディの手紙にくすくす笑いながら、時には同じようにわくわくしながら楽しく読めた。
    ジュディが世間のことや学校で学んだ事をぐんぐん吸収していく姿がとても眩しく、嬉しい気持ちに。

    子供の頃に出会いたかったな、とも思うけど、子供の頃と同じようなわくわくを今感じる事ができるのもとても楽しいし、嬉しい。
    途中の挿絵も大好き!

    朝の読書時間に読み終わったのだけど、とびきり素敵なハッピーエンドに、朝からとっても明るい気持ち。
    また、大好き!と思える海外文学に出会えて嬉しい。

  • 『とても大きなよろこびが、一番重要なのではありません。大切なのは、小さなよろこびを大いに重んじることです。』

     単調な日々を送ってきたジュディにしか思いつくことができないであろうこの一文は今まで読んだ小説の中でもトップレベルに好きな言葉になるだろう。

     18年もの間、孤児院で生活をしてきたジュディことジェルーシャ・アボットはとある裕福な男性“あしながおじさん”の援助により、大学へ行くことになった。生まれてはじめて自分が孤児としてではない生活を送ることになる。素敵なラスト、ジュディの面白い言葉選びはもちろんのこと、手紙を書いていくにつれてのジュディの心の成長、文章力の成長にも注目して読んでほしい。

  • 無垢さに胸が詰まる。

  • いや、気付いてたの!読者はみんなうすうす感じたと思うけど、それに気付いたジュディの最後のラブレター読み終わった後は本を抱きしめました。素敵な本〜

  • ジュディの手紙がひたすら続くが、天真爛漫で、ジョン・スミスと呼ぶように言われていたのにそんなありきたりな名前じゃ本当に誰か人間相手に手紙を書いている気がしないからあしながおじさんというあだ名を考えたのでこれで今後いかせていただきますね、という無邪気さ。(背が高い、金持ち、女の子が嫌い、という3つしか情報がないけど、金持ち、女の子が嫌いをあだ名にするとそれぞれ不愉快になるので、間をとって背が高いをピックアップし、あしながおじさん。)
    自分の名前も気に入らないので変えますね、あしながおじさんははげなんですか?白髪ですか?、電報分のお金を差し引いてもらって構わないのでそれだけでも教えてくれないですか?、なんで教えてくれないんですか?、想像であしながおじさんの絵を描きました、でも髪型がわからないので頭のところで悩みます、などなど、序盤は幼い。
    たくさんの本を読み、時折引用したり感想を述べつつ、社会のことや家族のことなど、自分の考えを様々に述べていく。終わり方がとても素敵だった!!!


    "あしながおじさん"というタイトルとざっくりとした概要は知っていたが、原題がDaddy-Long-Legsで、メクラ蜘蛛(俗称)という意味だとは知らなかった。本編訳ではアシナガグモ。

    〈英和辞典で調べてみると,ザトウムシ(harvestman)[針金のように細い長い脚で歩く節足動物。クモのように見えるが,実はダニの仲間。]やガガンボ(crane fly)[脚が長く,大きな体でフワフワと飛ぶ昆虫。大きな蚊のように見える。]の別名〉
    参照/https://www.biseisha.co.jp/lab/qa/17


    おじさま、だれにとっても一番必要な資質は、想像力だとわたしは思います。想像力があるからこそ、人はほかの人の立場になって考えることができます。〃 人は親切な心と思いやりと理解を示すことができます。〜けれども、ジョン・グリアー孤児院は、〜義務を果たすことだけが、奨励される資質でした。わたしは子どもが義務という言葉の意味を知るべきだとは思いません。ほんとうに嫌な忌まわしい言葉です。p132

  • 子どもの頃に何度も読んだ少女小説の名作。ふと読みたくなり数十年ぶりに再読。

    子どもの頃はヒロイン・ジュディの、愛情に恵まれない孤児院育ちにもいじけてしまうことのない明るく前向きな性格や文才、それらによって勝ち取るシンデレラストーリーに目が向いていたが、今読むとジャービー坊っちゃん=あしながおじさんが興味深い。

    姪のジュリアに会うという名目で、意外と早くにジュディの前に登場するジャービー坊っちゃん。ジュディが授業でハムレットにはまっていると知ればハムレットの舞台に招待し、ジュリアの欧州行きを羨ましがっていると知ればあしながおじさんとして欧州旅行を用意し、ジャービーとして自分もその頃欧州にいるから二人で素敵なレストランで会うこともできるよ、と誘う坊っちゃん。そしてジュディがサリーの兄と互いに好意を持っていると嫉妬し、サリーの一家と過ごすのを全力で阻止するあしながおじさん=ジャービー。

    ジュディを文才と見どころのある孤児としてこれまで支援してきた男の子たちと同じように支援していたのは本当に最初だけで、かなり早い段階からジュディにぞっこんな感じだ。
    そして気前の良さと気の利き方がプリティ・ウーマンのエドワードばり…ってこちらが元祖なのだが。

    本書には登場しないジャービーとの手紙のやりとりまでしていながら、最後まで気づかないのはジュディだけで読者にはバレバレなところは子ども時代に読んだときから変わらず。書簡体小説なので省けるところはうまく省けるという点も利用して、著者はかなり細やかに伏線を張っているのも再読で実感した。

    ジャービー(と著者ウェブスター)は持てる者として生まれ育った境遇を当たり前のものとせず貧困や社会問題に関心を寄せ、社会改革を支持する当時としてはとても良心的な上流階級だったと思うが、その生き方は特権階級の慈善の域を出ていないのも事実。
    それでもこの物語には、楽天的で明朗な精神だけが持ち得る真実が息づいていて、それが子どもだけでなく大人をも打つ。そして米国がまだ階級を乗り越えるアメリカン・ドリームを信じられた時代、そしてヒロインが「私は社会主義者です!」と宣言することができた時代(50年代ならまず無理)の明るさと自由が横溢していて、読者に読んでいる間だけでも束の間夢を見させてくれる。

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著者プロフィール

ジーン・ウェブスター

「2004年 『あしながおじさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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