風と共に去りぬ 第4巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102091098

作品紹介・あらすじ

敗戦後の混乱はますます激しくなり、南部人が戦勝した連邦政府の圧政と解放された奴隷の横暴に苦しむ最中、スカーレットは、妹スエレンの婚約者フランクを横取りして再婚した。夫とともに製材所の経営に乗り出し、意外な才能を発揮するが、秘密結社KKKが結成され、フランクやアシュリも否応なく巻き込まれていく。スカーレットの周辺には、にわかに血の匂いが立ちこめ始めた――。

感想・レビュー・書評

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  • 3巻まででも十分すぎるほど激動なのに、まだ嵐が訪れるのかと、一息もつけない展開に、読み手も心を落ち着ける暇がない。
    アイルランドの血をまっすぐに受け継いだスカーレットの商売人としての才能が光る反面、人間関係の構築や世渡りの不器用さが露呈してきてしまう…ほんとうに、不器用な人だ。。

    愕然としたのはメラニーの変化。あれほどお淑やかで穏やかな性格だったのに、いつからこんなに強く逞しい一面を備えたのだろう。
    アシュレに襲った悲劇のシーンでは、果敢に立ち向かうメラニーの姿が必見。お人好しな優しい面を残しながら、愛する者を守ろうとする意志がしっかり見えてくる。
    メラニーに関しては、本当に、読み進めるごとにただならぬ人だという印象を思わせる。

    スカーレットとレットのシーンには、いつも冷や冷やさせられる…もう、お互い素直になったらいいのに…頑固者と頑固者の会話は、痛くて聞いてられない。笑

    最後のページに、最後の一文。
    5巻の登場人物の紹介文まで読んで、
    「あぁ…やっとか」と思う半分、「まだ波乱が一つや二つじゃないな」と予感せずにはいられない。

  • 怒涛だった………
    最初から最後までずーっとハラハラしながら読んでいた気がする。
    KKKってなんとなく存在だけは知っていて、「(白装束の姿の白黒写真とか見て)薄気味悪いな〜」っていう印象しかなかったんだけど、まさかここで物語に関わってくるとは。
    無知すぎてKKKが元々は南部の人たちで結成された組織っていうことすら知らなかった。
    4巻は、ただ楽しく読むだけじゃなくて深く考えさせられることが多かった。
    南部でずっと行われてきた奴隷制の是非や、KKKが結成されざるを得なかった当時の情勢とか。
    自分の中では、黒人も白人も関係なく平等だし、就く仕事も誰と結婚するかも、人種というのに制限されずに個人で選択されるべきだと思うけど、ずっと南部の古き良き暮らしの中で生きていたらその考え方は当たり前じゃなかっただろうな、と痛感した。
    実際、物語の中で奴隷解放令で街に解き放たれた奴隷たちが好き勝手やっているのを読んだりすると「南部は南部で、そのままでよかったんじゃ?」って思ったりしちゃう。
    うーん、やっぱり考え方ってその人の生きてきた環境にすごい左右されるんだな。
    次巻で最終巻、スカーレットには必ず幸せになってほしい。フランクが死んじゃったのは悲しすぎるけど、幸せになって、お願い。

  • この巻は恋愛模様よりも政治的なメッセージを強く感じる。拝金主義、人種差別、宗教、アメリカの今に繋がっているであろう思想が、スカーレットとその周辺に散りばめられている。

  • 「風と共に去りぬ」全5巻の4巻目。
    南北戦争に敗れた南部は北部のヤンキー達の支配の下で不遇をかこう。
    黒人奴隷達は解放されたものの、手に入れた自由の扱いに困り、労働者として働くよりも、主人に仕え、家族の下僕として暮らしていた頃を懐かしむ者も出てくる。
    南部の白人はどうか。貴族的な暮らしをしていた南部の名家は南軍の敗北と共に没落し、下層の貧困白人層が嘗ての屈辱的な暮らしに復讐するように、お金を武器に南部名家の土地を買い取ろうとする。
    自分の生まれ故郷に戻っていたスカーレットも北軍が課した税金の担保として一族の農園を取られるのを防ぐため、妹の許婚者であったフランクと結婚し、フランクの財産で難を逃れた。
    しかし安心も束の間、フランクに任せていては、この新しい時代を生き抜いていけないと直感したスカーレットは商いに目覚め、レット・バトラーから借りたお金で古くなった製材所を買い取り、復興に沸くアトランタの人々に木材を売りつけることで財をなす。
    しかし、そんな、「南部の女性」らしからぬ行動をとるスカーレットに対して反発する人たちもいた、、、

    恋愛物語と思っていた作品がいつの間にやら商魂の物語に?
    今回はほぼスカーレットの独壇場。レット・バトラーはまたしてもチョイ役です。

  • 妹から婚約者を奪うスカーレットにドン引き。
    けど支払い期限が迫っていたから仕方なかったかも。にしてもかなり自分本位。友達にはしたくない笑
    アメリカ南部視点のKKKを知れたのよかった。

  • 終戦と復興期を体験してこの小説を読んだから、心に沁みたんだろうな・・・と、昔、私に言ったのは誰だったかなぁ。

    スカーレットは、天性の商才があるのに、人間関係音痴なんですね。
    お母様から教わった人間関係のコツを、社会が崩壊した時に、とっととかなぐり捨ててしまったら、自分の中に何も残らなかったのかなぁ。

    だけど、周りの男性と彼女のずれっぷりは、悲しいというか痛々しいものを感じます。

    スカーレットが、男女の愛を感じないまま結婚したフランクは、彼女が、製材所や酒場を経営し、手段を選ばずお金儲けに奔走するのを恥ずかしく感じていても、彼女の危機には、全てを捨ててでも闘う南部紳士として、通り過ぎていったのでしょうか。

    アシュリは、生活者としての無能さを痛感しながら、密かな思い人であるスカーレットに、家族ともども世話になっていることをよしとせず、そこから抜け出そうともがいているのに、スカーレットは、彼が昔どおりの絵に描いたような貴公子でいてくれるなら、何だってすると息巻いてるのでしょうね。アシュリは、ヒモ体質ではないのだろうけど、もう少し、時代が進んだら、スカーレットは、ヒモ男が寄ってくるタイプなのかも。

    作者は1世紀前のアメリカ女性で、彼女が描く男女のずれを今、鴻巣さんという女性のフィルターを通して見ているのかと思うと、思うものがあります。

  • 2023.11.22

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  • 南北戦争の中で自分を貫こうとするスカーレットに感情を揺さぶられる大作。

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