肉体の悪魔 (新潮文庫)

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本棚登録 : 813
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102094020

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫がラディゲに傾倒していたと知り読んでみた。たしかに本作の冷静な自己省察は、「仮面の告白」にも見受けられる。

    ただ、最近不倫・悲恋小説を何冊か読んで心理的に疲弊していたのもあり、あまりフラットな気持ちで読むことができなかった。

  • 某作家さんがオススメしていたので、ずっと気にはなっていたけれど、内容もラディゲという作家も知らず、今の今まで。もっと早くに読みたかった!という思いと、今でないと理解できなかったところが多数あるのではという思いが混在しています。
    恋愛心理をここまで冷静に書けること自体が、異様というか偉業というか。恋愛に陥っている人間の心理を描写すること自体はどこまで珍しくもないと思いますが、全編を通して感じる、どこか冷めた視線がおそろしい。
    好きだとか愛しているだとか、好きだから触れたいだとか愛しているから守りたいだとか、そういう単純な仕組みになっていない人間の心の構造をよくぞここまでという風に説明されて、正直ぞっとしました。
    不道徳だとか、そういう次元では最早ない。
    他人の不幸が蜜の味だとか、そんなシンプルなことでもない。
    意地悪だとか崇高だとか、肉欲的だとか清廉だとか、そんな言葉では到底表せない、心の移り変わりをものすごく良く捕らえています。
    久々にがつんと脳天をやってくれる本に出会えて、空恐ろしいやら幸せやら。

  • あとがき(訳者)新庄嘉章さん曰く『年上の女性との恋愛,その場合の男性のエゴイズム,そのエゴイズムの犠牲となる女性の死』のお話で『少年から青年になろうとする最も動揺定めない過渡期の魂を,冷徹な目で凝視して』るのがすんごいとのことですが,そう表現されているほどありきたりな感じではありません。
    私はこれは優等生のお話として読んだので,俗っぽい設定ではあるけどリアリティがあったしすごく共感して面白かったです。主人公とマルトが共鳴したのはお互い優等生だからだと思うんです。それは戦時中だからだとか,子どもだから女だからという押さえつけではなくて,気質としてのいい子ちゃんがお互いを引き合わせたのではないでしょうか。そんでそういう2人は当然嘘つきなわけで(優等生はえてして嘘つきだと心得る!)だから疑心暗鬼にもなるけど,自分をだますのも得意なのであっさり幸福感得られたりしてね。どのみち地に足がついてないことに幸せを感じられるのは,優等生を育んだ土壌であるおうちってやつがどーんと後ろにあるからだよね。と改めて思いました。
    マルトが自殺するのは小説っぽくて,ちょっと盛り上げすぎな感じもするけど,男寡になったジャックを観察する主人公の様子に少年ならではの傲慢さがあって好きです。
    いかんせん,17歳でこれを書いたということには驚かずにはいられませんでした。愛とはなんぞやという問いの終着点にきらきらしたものを期待してる感には青さを感じるけど,それがかわいくもあったり。ほんと,他者との違和に支えられてる自分を俯瞰してるあたりに好感がもてる小説でした。

  • 友人に熱烈に薦められて読んだ一冊

    ロマンチシズムに溺れずして利己主義に溺れる。

    16歳にしてこの倒錯した価値観が凄い、そりゃあ夭折もするわな。

    原文の華麗な文体で読める人はきっと幸せだろう。

  • 自分の心理を(発見を?)何の常識にも定説にも預けずに描写しきってるの。作品の評価に年齢は関係ないけどやはり天才とは早熟の人をしていうのだと思うよ。ラスト数行でゴゴゴと音がしそうな程強くどうしようもなく流れる時流と諦念みたいなものに巻き込まれるのを感じた。いや「諦念」じゃないか…?うむ。 「自らを責める者の誠実さしか信じないというのは、あまりにも人間的な欠点である。」ドニーズもめちゃくちゃ面白かった。

  • 少年と年上の既婚者・マルトとの不倫劇。一人称で語られる主人公の心理や恋愛論に、16〜18歳でこの小説を書いた神童・ラディゲの主義主張が色濃く反映されているように思う。「幸福というものは、だいたいの利己的なものなのだ」「愛情というものは、二人の利己主義…」など、恋愛のエゴイズムを格言めいた表現により、物語を綴っていく。偏屈な青年像に、戦争の影まで感じさせ、10代が書いた作品として本当に恐ろしいまでのレベルだと感じた。

  • 一般的な恋愛物語ではないと思わせる様な文体。16歳とは思えないほどの思慮が成熟した主人公が歳上女性を愛していく様を描いている。勿論思慮が未熟であるとも取れるが、文体のみで主人公の気持ちを想像するのであれば、常識的な世間批判からも苦しめられ、非道徳と道徳を常に真面目に考えている主人公の葛藤が描かれている。それを読者が肉体に取り憑かれてしまっていたと結論付けて了えば其れ迄であるが、愛するが故にマルトに対する姿勢や言葉が冷徹になりエゴイズム化していく様は、人間誰しもが持っている愛情の裏返しである。
     愛しているが故にマルトに自己を投影させ類似性を探っている主人公の想いが何とも可愛くなってくるのは私だけでは無いはずだ。
     彼を愛せたのはマルト以外にいないのであり、マルトが彼の子供を産んで死んだという事実を述べる事により、未成年の愛が幾つも阻まれようとも彼らの愛の結晶が温かく世間に正当に迎えられたとも思えた。

  • ラストが少し驚きだった。
    その後が心配。
    大きなお世話だけど。

  • 面白くねーよ。
    なんで評価が高いのかがわかんね。

    書かれた100年くらい前の当時は、
    評価が高く面白かったのかもしれないが、
    今だと単に古臭い話に感じる。

    作者が17,8歳のときに書かれた小説、
    ってところがポイント高いのかもしれないが
    だからといって面白いってわけじゃなし。

    大正昭和初期の、純文学好きの人にはウケるかも。
    私ゃもうお腹いっぱいです。

  • 2016.08.22 14歳の世渡り術

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