ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集 (新潮文庫)
- 新潮社 (2022年9月28日発売)
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感想 : 28件
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784102095096
作品紹介・あらすじ
差別の激しい土地に生まれ、同性愛者として長じ、「八歳で作家になった」と豪語したという天才はデビュー前から天才だった。ニューヨーク公共図書館が秘蔵する貴重な未刊行作品を厳選した14篇。ホームレス、老女、淋しい子どもなど、社会の外縁にいる者に共感し、仄暗い祝祭へと昇華させるさまは、作家自身の波乱の生涯を予感させる。明晰な声によって物語を彫琢する手腕の原点を堪能できる選集。
みんなの感想まとめ
多様な視点から描かれた短編集は、天才作家の若き日の作品を集めた貴重な一冊です。ホームレスや孤独な子どもたちなど、社会の外縁にいる人々への深い共感が表現されており、詩的で美しい言葉が心に響きます。特に短...
感想・レビュー・書評
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この本はブクログの他の方の本棚で拝見して、少し逡巡したがそろそろ読んでみようかなと思った記憶。
カポーティはどうも日本のとある巨匠、大作家の影響を受けてしまい、その陰を追うようで、浅薄な考えだが無意識的に避けていたような気がする。実にもったいない時間を過ごしてしまった、と今更ながらに後悔。
天才作家の十代での若書き、習作。
確かにそうかも知れない。それでも光る詩的で美しい表現がいくつもあり、14篇のごく短い、なかには掌編小説と言ってもいいほど短い作品を、頭を空っぽにして楽しめた。
その中でも「西行車線」は構成的でミステリー要素もあり「ルイーズ」は今書けばぶっ叩かれそうでもあり「これはジェイミーに」は幼い少年の孤独が突き刺さる、などなど。
あとがきの他者による「編集後記」「作品解題」、「訳者あとがき」での翻訳の苦労と楽しみ、そして「解説」にも大きな価値はあるのかもしれない。
特に「解説」は村上春樹氏によって書かれていて、これが必要だったのかどうかは疑問だが、他の作品を読んでからこの初期短編集を読んだ方が良いという指摘だけは、なるほど!確かに!と思った。さすが日本の誇る偉大な作家である。
とにかくフラットに、手垢の付いていないカポーティを、今後は読むのが楽しみになった一冊。
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カポーティの思春期(!)から青年期にかけての短編集。習作集って言ってもいいくらいかな。
20歳前後で彗星のごとく現れた天才。この天賦の才をさらに幼い頃に示した作品の数々がアーカイブから見つかり、それをまとめたもの。
おそらく才能を持った画家が幼い頃に見せるように、カポーティも頭の中にあるものを文章にしたくて仕方がなかったのだろうなというその衝動が伝わってくる。
物語としても、構成としても、大人からしたら確かに荒い。でも余韻の残し方であったり、脳内で再構成される情景に深みを出す記述だったり、あるいは人物に対する圧倒的な共感力だったり。「ねえ、こう書いたら気持ちいいんでしょ?」っていう技巧はもう誰に教わったのでもない。これはもう天才の所業だということがはっきりとわかる作品集である。
まあそういう作品集であるから、傑作ではない。ただ、「夜の樹」だったり「ティファニー」だったり「冷血」だったり、あるいは私の大好きな「草の竪琴」だったりの大傑作を導くかの大作家の起源を垣間見るという点で、ファンにはたまらない。
入門ではない。ファンブック。でもファンは必携。 -
ハーパーリーの幼馴染で、”アラバマ物語”の”ディル”はカポーティがモデルだと知ったのがカポーティの本に興味を持ったきっかけ。
代表作の冷血をまだ読んでいないのだが、先にこの、”ここから世界が始まる”を読んでみた。
若い時、なんならまだ高校生のときにこれらの短編のいくつかを書いたとは、作家になるべくして生まれた人だと感じた。くどくどとしていないシンプルな文体の情景描写がさすが。早く冷血も読んでみたい。私は”ルイーズ”と”ミスベルランキン”がお気に入り。 -
Outside of society
村上春樹が解説で書いているように天才作家の天才的習作という表現がぴったり。
全部を一気に読むのがもったいなくて何日もかけて読んだ。翻訳された海外文学を敢えて原書も読んでみようと思う作品はそんなには多くないけど、これは原文でも読んでみたいと強く思いました。
作品としては星5つなのだけど、作品解題に納得できないところがあったので星4つにしました。 -
取るに足らない場面の過不足ない情景描写や、華麗とも言える人物造形、物語のプロットの完成度、ところどころに点在する星のように燦然と輝く一節が、のちの鮮烈で煌びやかな才能の開花を予見させる。
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トルーマン・カポーティが思春期から青年期だったときに書かれた話をまとめた短編集。比喩などの表現がめちゃくちゃ良かった。トルーマン・カポーティを読んだことない人は先に別の作品読んでから手を出した方がいい気がする。
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ほんと、短くて、すぐ読める。
冒頭の短編も、表題作もおもしろかった。
とくに、表題作は、女の子が主人公だけど、授業中にどんどん別のこと考え始めて、意識がどこまででもトリップしていく様子が、まるで昔のオレみたいで面白くて笑った。 -
習作とのことだが、十分作品に仕上がっていると思わせる短編ばかりで、やっぱり天才と言われる人は違うんだなぁ…と思いました。こんな作品を十代で…と考えると、すごいとしか良いようがありません。
面白いです。 -
一編ごとに各地の人を切り取り貼ったスクラップのような本だった。描写が本当にうまい。
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カポーティの表現力の豊かさは映画のスクリーンで再現したくなるほどの情緒性を感じる。
若かりし頃の場面の切り取りのため、いきなりストーリーが始まってしまう。
あとで読み返すことで、なるほどとうなる。人間への奥行きは理解の奥行きに比例し、この少年期から人間への強い関心があったことに驚いてしまう。
描写背景がまるでスケッチをしているような、丁寧なタッチで描かれる。色づき、形、其れは上品で、でもそのタッチをなぞっているだけで、ついつい残しておきたくなる衝動って起きる。写真の切り取りのように。 -
カポーティの短編。
短編ってサクッと読めるからいいわぁ〜
題名通り、すごい物語がまさに始まりそうな瞬間でお話が終わったり、ありふれた人々のふとした瞬間を切り取ったものだったり、鳥肌が立つ構成のものだったり…
もっとカポーティ読もうと思った〜
あとこの表紙はカポーティの幼少期?この前見たアドレセンスの主役の子に似てる。 -
フルーツケーキ作りの描写好きすぎます
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絵本の内容みたいな作品
正直短篇集よりも長編の方から読んだほうが本質が見えると思う
長編も読みたくなるような作風で、情景を文で綺麗に見せることができると初めて思った
風景画みたいな小説を書ける人間 -
抑制のきいた筆致ながら余さず描ききる「ミス・ベル・ランキン」。作家生活10年目、脂ののった17歳の時の作品か…おそれいるぜ。
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カポーティのキャリアの中でも超初期の、習作ともいえる短編集。訳者のあとがきにもあるように、きちんと校正が入ったらもっと修正がかかりそうな部分も多々あるが、それを補って余りある瑞々しい感性や表現力に圧倒される。状況としては2人の人間が会話している場面を切り取っただけのような話でも、それぞれの台詞や仕草、周りの光景の描写から、あまりにも多くのことが読み取れる。
ひとつひとつの作品は本当に短いけれど、読み応えはすごい。それぞれの作品を読み終えるたびにしばらくその余韻に浸ってしまう。 -
名前を聞いたことはあるけど、作品を読んだことがなく、これが初めて読んだもの。
短いのにどれも後先を想像せずにはいられない。
どれも話に夢中になったけど、この4つが好き。好き、というか頭に残った。
分かれる道、これをジェイミーに、ルーシー、こここから世界が始まる
ここから世界が始まる、はタイトルにもなっているが、松任谷由実のひこうきぐもの歌詞とちょっと重なった。
あまり暗いお話は、ましてノンフィクションはあまり手に取らないですが、『冷血』を読んでみようと思う。 -
『8歳で作家になった』と言ったと言われるカポーティは、16歳の時に『ニューヨーカー』で雑用の仕事をしていて、21歳の時にO・ヘンリー賞を受賞。恐るべき子供(アンファン・テリブル)と注目を浴びて社交界デビューするけど、51歳の時に書きはじめたみかんの遺作『叶えられた祈り』で社交人の秘密にしたいことを暴露しちゃって追放される。60歳にハリウッドの友人宅で心臓発作で死亡。酒と薬物の問題を抱えていた。
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早熟の天才が社交界で豪遊して酒か薬の問題抱える例で言ったら『悲しみよ、こんにちは』のサガンを思い出す。
この短編集、カポーティが10代とか20代前半に書いた作品集なんだけど本当何か物語を描写するために生まれてきた人なんだろうなって思った。
『知っていて知らない人』『これはジェイミーに』『似たもの同士』『ここから世界が始まる』の4作品が特に好きだった。
ゲイで、女の子に生まれたくて、父親は刑務所に行きそうになるし母親はアルコール依存だし、預けられた親戚の家は差別主義が根強い土地だし、その中で生まれ育って貧困や黒人をテーマの話をなんとか書こうとした若年期の作品たち、カポーティの苦しさが透けて感じられてすごくせつなかった。 -
単行本でも読んでいるが、この度文庫になったのでまた読んだ。少年少女の硬質な部分、寂しさ、みたいなものを書かせるとこの人は比類ないな。帯に「泣けるカポーティ」とあるのだが、それがよくわからない。どのへんが泣けるのか?
いい話のようだけどどうもそれだじゃない変なモヤモヤの残る『分かれる道』『水車場の店』。
裏『小公女』みたいな『ルイーズ』(ミルドレッド・バーネットという名前の人物も出てくる)。
やはり美しいと感じる結末の『ミス・ベル・ランキン』。
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