人形の家(新潮文庫)

  • 新潮社
3.48
  • (25)
  • (46)
  • (87)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 558
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102096017

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • う〜〜ん、大塚英志の評論にときたま、女性のビルドゥングスストーリーとして例示されるが、教養がなくて読んだことがなかったので読んでみたら、正直ひっくり返るくらい良くて3回読んだ。というか今こそ読まれる本だと思うのだけれど、ネットでざっと調べた感じ、私のサーチ能力の限界かもだけれどあまりもう言及されている印象はなかった。
    この本の素晴らしいところというか、私が大感銘を受けたのは、単に人形として夫の支配下にあった妻が自立する話だから、という風に描いていないところである。というと、少し分かりにくいかもなのだけれど、夫=男側が支配者であり、その支配から弱い立場にある女が抜け出すというようなそんな二項対立の単純な筋にはなっていない。私が大感動したこの物語の深度は、まず妻が人形である(近代的な人間としての自立を果たしていない)ことが、父と夫の影響下にありながら、自分でもその状態を甘んじて受け入れている、つまり男と女の共犯関係の上で成り立っていたことに気づく点。そして、真の自立は「お前は世間知らずだから」と言いながらも世間を知ることを遮断する、スポイルされる状況から脱せずして成されないということをあまりに明快にかいている点である。あまりに明晰で素晴らしく、しばらく言葉を失った。こういういい物語に出会えると、生きてて良かった〜〜という気持ちになる。やはり古典はすごい。
    しかし解説が1952年かなにかのもので、ひっくり返りましたね。「女性解放問題ごときは」う〜ん、特に評論家の真価は、時間を経てこそ分かるものだと感じますね。

  • イプセンの『人形の家』読了。
    色々と思うところはあるけれど何はともあれいつの世も【覚めた】あるいは【冷めた】時の女性の取りつく島のなさは異常。

  • 舞台part2を観に行くので、予習。

    発表された当時の雰囲気はどのようだったのだろう。最後のシーンの絶望と胸がすく感じ、70年近く経ってもまだ共感できてしまうところが凄みであり、救いのなさも同時に感じる。
    ノラの秘密に対して、その迂闊さや無知さに若干の苛立ちを覚えたけれど、誰も教えてくれず、教えないようにして、抑圧してきた時代は暗闇の中手探りするようで、完璧な立ち回りなんて出来るわけがない。そう思うと、ノラの勇気と知性──実は幸福ではなかったこと、既に愛していないことを認め、伝えることができる強さは清々しい。

    イプセンの現実を切り出す明晰さが全てだ。解説では問題提起としては時流を過ぎ、既に陳腐化というような言及があるが、とんでもないと思う。(もちろん相対的に状況は改善している。)
    とはいえ、男女の平等は近づきつつあるけれど、それは多くの人が(男女を問わず)ヘルメル化しているということであって、21世紀に入ってなおノラは、今もまだ孤独と絶望を抱えて踊っている。だからこの戯曲は幾度も演じられ、告発は続いているのではないか。
    現代に至るまで数多の闘いがあり、勝ち取られてきた権利の庇護下に置かれている私は、擁護者たる自覚が希薄なのだと、最近はとみに思う。

  • 昔の女性は、意見を言うのも苦労したのだと思った。

  • 最後の幕でのノラの意識の覚醒っぷりがすごい。

  • 「人形の家」は1879年にノルウェーの劇作家イプセンが書いた戯曲だ。雑に言うとモラハラ夫の偽善に気付いて主人公の女性(ノラ)が家を出るというストーリーである。タイトルにある「人形」はバービーのような実際の人形のことではなく、あたかも人形のように愛でられ、家庭に縛られていたノラ自身のことを指している。

    例えヨーロッパといえども、140年も昔には女性の立場は今よりも弱かったと思うのだが、しっかりと自分の言葉で夫に別れを告げ、自分の足で立ちたいと言って人生をリスタートするさまは爽快感がある。

    最後に家を出る直前、ノラは初めて夫に向き合い、自分の考えをぶつける。ここで語られた思いが時代を飛び越えたかのようにフレッシュで、胸に響くものだったので驚いた。さすが現代まで読み継がれる古典作品と思った。作品自体はさておき、青空文庫にアップされている翻訳はかなり古めかしいので、新しい訳で再読したい。

  • 序盤の間は、ノラは無知だし我儘だし言うほど人形なのか?ヒバリというより口やかましいオウムじゃないか?と正直疑問とわずかな苛立ちを感じながら読んでいました。
    ただ時代を考えると、女性は一人で生きていくには十分な知識を得ることが出来ず、男たちから愛でられ「人形」としての存在しか認められなかったが故の顛末だったのかなと考え直させられました。
    最終的に夫を捨て独りで家を出ていくノラの力強さに感服しました。

  • 一気に読み終えた思わぬ結末に愕然とした。ノラは恰好いいのか?酷いのか?
    私は、張り倒してやりたくなる。女性は人形で居てほしい。
    私は世間を敵に回してしまったのだろうか?
    イプセン:江戸末期生誕に驚く。 尊王攘夷と騒いでいる日本 鎖国で平和を得たが
    大きな何かを失った

  • 戯曲という変わった文体にも関わらず、内容に引き込まれて一気に読み切る。夫婦関係に何の疑問も持たず幸せに過ごしていた女性が、ある事をきっかけに、違和感、息苦しさを感じ、本来の自分を取り戻していく。爽快感さえ感じるほど、共感できた。

  • 女性運動とも関わりのある作品と聞いていました。途中までは「どこが?」と思いながら読んでいたのですが、最後に納得させられました。
    シェイクスピアなんかと比べると、登場人物も少なく、断然現代的で読みやすいです。
    主人公である妻の隠し事がいつばれるのか、ハラハラさせられました。私自身が女性寄りの思考のためか、終盤の展開も好きですね。

全65件中 1 - 10件を表示

イプセンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
シェイクスピア
ヘルマン ヘッセ
ヘミングウェイ
ドストエフスキー
ウィリアム シェ...
有効な右矢印 無効な右矢印

人形の家(新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×