大地(四) (新潮文庫)

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レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102099049

感想・レビュー・書評

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  • 大地の久しぶりの再読を終えた。
    学生時代に読んだ時の感動は無かったが、変わりゆく中国の中で翻弄されながら生まれ変わろうともがく王一族の葛藤を感じ、最後は希望のもてる終わりを迎えてよかった。
    時代は太平天国の騒乱から洋務運動の辺りらしいが、中国が右往左往している中の市井の生々しい生活が浮き彫りになっており、改めて傑作だと確認できた。
    ただ、淵の単純な心の動きには時に腹が立ったりしましたが……

  • 戦争と平和に並ぶ、傑作。これ以上のものには人生でもう出会えないのではと思えるほどに。

  • 大河ドラマ的な三世代にわたる中国の一族の物語。第一部の王龍は大地というタイトルそのままに大地を耕し大地に根を張り一族の礎を築く。女によろめく人間臭さも魅力にさえなる。その息子で一番目立たなかった三男の王虎は力による出世を追い求め地方軍属にのし上がるが、時代の変わり目についていけず息子の王淵はその跡を継ぐ事は望まない。王淵は沿岸の都会でトラブルに巻き込まれなし崩し的にアメリカに留学する。アメリカの生活は彼を変えようとするが彼は自分の中の祖国に目覚める。祖国に戻った王淵は辛亥革命後から共産党の躍進の時代に祖国の役に立とうとする。その傍らに立つのは中国人としての芯をしっかりと持ちつつ新しい時代を自らの手で掴みとる心持のしっかりとした美齢だった。

    とても面白く読めた。登場人物の個性がはっきりしながら時代の移り変わりに翻弄され、ていくこの時代の中国の人々の一面がよく描かれている。最後に単純に大地に帰って農業に戻るという安直さでは無く、そこに住む人や文化も含めた大地との向き合いというところが印象的。

  •  王龍からはじまる王家の長い歴史は、息子王虎の長男、王淵の恋が成就したところで終わる。王龍の赤貧時代から地方の富豪に成り上がるまでの前半が面白い。息子王虎が地方の将軍になることで、更なる野望を息子へ託すのだが王淵の生きる新しい時代が到来し、昔から続く生活は激変する。どんな時代が来ても大地は不変である。すべての苦難は大地の上を通るにすぎない。王家の人たちの歴史もまた然り。

  • 第三巻以降は主に王淵の物語。王龍の三男王虎の長男である王淵が軍閥将軍王虎の愛児として、その偏った愛に縛られて成長していく過程とその心の葛藤を描いている。その時代の男女関係、結婚感から革命軍、軍閥、海外との関係など当時の中国の風景が小説家の観点から壮大に描かれているのだ。

    時代背景も色濃く影響を及ぼしているとは思うが、王淵の性格は本当にややこしい。そこが新時代の人間であり、当時の中国の何かを体現しているのかもしれない。特にその女性観は頑なではあるものの青春の男性が持つ葛藤を好く描いているともいえる。

    振り返ってみると、大地は女性観の変遷でもある。奴隷を譲り受け、出産して翌日から働くことから、妾をとること、そして新時代の女性感、これは逆に針が振れ過ぎている部分もある。アメリカの女性との付き合い方と王淵が心を寄せる女性との考察など全編を通じて、当時の中国男性の女性観を大いに描いているともいえるのだ。

    「大地」というタイトル(原題は'The good earth')は後半に従って、具体的な土から、愛する国といった概念に昇華していくが、大地に根差す人々の息遣いという観点では、もう一つの柱であることは間違いない。

    その地政学的な時代性を感じ取るにはまたとない書籍で、読破後の感慨もひとしおである。

  • 王家三代に渡る大河小説の最終巻。時代背景としては辛亥革命から中華人民共和国成立前夜にあたり、激動の時代を生きる人々の生活環境や心境変化を世代間の価値観の違いを通して巧みに(そう、極めて「巧み」に)描いている。王龍の時代はアヘン戦争ならびにアロー戦争による自信喪失と原点回帰、王虎の時代は武による復権と混乱、王淵の時代は近代化と中国の復権であった。親子三代の価値観の相違と中国の複雑な歴史を絡めてとても重厚な小説であった。第四巻はほかの巻と比較するとややスケール感に欠けるものの、アイデンティティと使命に悩む淵の姿は我々とそう違いはなく、現代小説のような面白さがある。最後はハッピーエンドでよかった。

  • 文学
    古典

  • 清王朝~共産党誕生辺りまでの中国を背景に、王一族、王龍、王虎、王淵の三代を描く大長編。

    土に生きた時代から近代まで栄枯盛衰、家族の血脈から逃れようとも絶ちきれない、そんな歴史が繰り返していくのは人の本質なのでしょうか。

    四冊読み終えたとき、「大地」という題名が、ただの土地という意味ではない、人や自然を含めた大陸的な広がりを視ました。

  • 中国は、やっぱり人治国家なんだなあと思う。

  • 2013.3.10 読了

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著者プロフィール

中国の人々を同胞とし、その文化を紹介、中華人民共和国がいずれ世界の大国となると予見した先駆けの人。生後三か月で宣教師だった両親と中国に渡り42歳まで過ごす。コーネル大学より英語学で修士号を取得。1917年に農業経済学者と結婚、南京の北西の寒村に暮らした経験をもとに1931年に『大地』を著す。1932年にピューリッツア賞、1938年にノーベル文学賞を受賞。1934年、日中戦争の暗雲が垂れ込めると米国に永住帰国。以後、執筆活動に専念し、平和への発言、人種的差別待遇撤廃、社会的な貧困撲滅のための論陣を張った。1941年にアメリカ人、アジア人の相互理解を目的とする東西協会、1949年に国際的養子縁組斡旋機関ウェルカム・ハウス、1964年に養子を生国に留めて保護育成することを目的とするパール・バック財団を設立。1973年、米国バーモント州で80歳の生涯を閉じる。

「2019年 『終わりなき探求』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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