海流のなかの島々(下) (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100097

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  • 自由に過ごしていた主人公は家族の事故死を機に、島民の組織する戦闘に参加する。 上巻よりももっと不安定で、じんわりと心が蝕まれていくような絶望や諦観の中、ストーリーは淡々と進んでいく。泥臭い温かさはきちんとそこにあるものの、何一つ掴めない砂のようだった。ウィリーの最後のセリフがずううんっと残る。 あと上下ともにお酒や海の描写がたくさんでてきてより雰囲気がでていた。 悲しくもヘミングウェイ本人はこの作を書いた部屋で猟銃自殺。

  • 上巻に同じ

  • 2.9

  • 息子たちとの、短くも幸せな時間。
    一転、息子を失ってからの退廃的な生活。
    そして自ら死地を求める様。

    章が変わった時、初めのうち主人公が同じ人物とは思えなかった。それくらい振れ幅の大きい内容。

    この作品は、昔読んだ「BANANA FISH」というマンガの主人公・アッシュ=リンクスが読んでいた場面があり、それを読んで以来いつかは読んでみたいと思っていたもの。
    マンガのアッシュは18歳。自分は、、その倍以上になってもその良さは半分もわからなかった。

    ヘミングウェイはまだそれほど多くの作品を読んだわけではない。きっと、ヘミングウェイに入るには上級者向けのようにも感じた。

  • いきなり脈落もなく、息子全員亡くなっていた。下巻の沈鬱な内容に耐えきれず、読了。

  • 波の音と風がいつまでも鳴りひびいてゐる。
    けれど彼と共に生きる海は、デュラスのそれとは違ふ海だと思ふ。デュラスの海はどこまでも決して届かないやうな、自分と他人の関係の中の海だ。しかし、ヘミングウェイの海は、まるで大地のようにひとの中に拡がつてゐる。
    彼の描いた海は、ひとを惹きつけて離さず、陸に上がればまるで水を失つた魚のように心細くなる。しかし、誘ふ様なその海もひとたび牙をむけば容赦なく命を奪ひとる。
    もうひとつは、彼の場合、酒の酔いはまるでものともしてゐないのに対し、デュラスは酔いそのものの中で書いてゐる感じだ。彼にとつての酒はまるで飲み水のやうな勢いだ。おそらく、彼は飲めば飲むほど、急速に思考が冴える人間だつたのだらう。だからこそ、デュラスのやうに酔いの中に堕ちてみたかつたのかもしれない。
    未完であつたこの作品は、かなり壮大なものを考へられてゐたやうで、海でさへも、彼の壮大な構想の一部でしかない。それでも陸にしろ、空にしろ、彼はどこにゐてもその熱い血で命を燃やしたに違ひない。
    彼の人生はまるで闘ひのやうだ。どんな痛みや苦しみがあつても、歩んでいかねばならぬやうな、そんな敗北を背負つた闘ひだ。
    この地球にあつては、ひとの成すことはどれも時間の中のほんの一抹に過ぎない。命は消えそしてまた生まれる。にもかかわらず、生れてしまつたからには、歩まずにはゐられない。得ればうれしく、なくせば悲しい。それを止めることなどできない。存在してしまつたからには。この地球はその事実を容赦なく突きつける。豊穣の喜びも荒々しくひとの命を奪うやうな嵐も、生きるものすべてに等しく与へる。大きなカジキもハドソンも海は生まれてから死ぬまでのすべてを見届けるだらう。
    各部の構想はできあがつてはゐたが、その中での人物関係についてはおそらくかなり推敲されてゐたに違ひない。この作品の中のひとびとは広げやうと思へば、それだけのドラマをもつたひとびとばかりである。それぞれの人物が描かれないところで命のやり取りをしてゐるのが見える。そのすべてを書くことはできないから、彼は慎重にその配置を考へてゐる。そのため、まずは構想を固めて仕舞はねばならなかつたのだらう。そんな気がしてならない。

  • いつも海辺でラムを飲む主人公。前半はカリブの青い海と風を感じるが、後半は暗い。人生は一瞬にして変わるのだ。

  • 知ってしまうと孤独になる。

  • 主人公の次男が大魚と相対し、それを見守る大人たち、そんな息子の死、そして戦争の中、内面の傷を抱えたまま生きる姿。

  • 82045.276

     「キューバ」の章の沈鬱な感じ、「洋上」は一転して荒々しい会話の連続。

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