武器よさらば (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (565ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100141

作品紹介・あらすじ

苛烈な第一次世界大戦。イタリア軍に身を投じたアメリカ人青年フレドリックは、砲撃で重傷を負う。病院で彼と再会したのは、婚約者を失ったイギリス人看護師キャサリン。芽生えた恋は急速に熱を帯びる。だが、戦況は悪化の一途を辿り、フレドリックは脱走。ミラノで首尾よくキャサリンを見つけ出し、新天地スイスで幸福を掴もうとするが…。現実に翻弄される男女の運命を描く名編。

感想・レビュー・書評

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  • 第一次大戦の過酷な戦況の中、イタリアに従軍したアメリカ人青年フレドリックとイギリス人看護士キャサリンとの熱愛を描いた作品。生死が紙一重である過酷な日々の中で二人が愛を育んでいく描写は、非常に対照的であり緊張感がひしひしと伝わってくる。また、タイトルから受けるイメージとは違いリズムよく軽やかな文体であったため、個人的には意外性の高かった作品でもあった。

  • 第一次大戦、イタリア側最前線で米兵フレドリックは…

    絶望的だったことは一度もありません。でも、ときどきわたしは希望を失います。いつも希望を抱こうとはしているんですが

    印象的な神父の言葉。なんとも切ない。
    フレドリックはどこに向かうのだろう。

  • 中学生の頃この本を読んだ記憶があります。しかし、人生経験にまだ乏しかった身として、主人公フレドリックの失意と悲しみを表面的にしか理解できていなかったことがよく分かりました。

    フレドリックの恋人であるキャサリンには、ヘミングウェイ自身の女性経験が反映されていることをあとがきで知りました。彼女の可憐さが作中では強調されている印象を受けるます。儚くも散っていくその命を前に、なすすべもないフレドリックの苦悩が読み取れます。

    作品の前半で、キャサリンへの愛を深める前のフレドリックに対し、神父が「本当に人を愛することができて、初めて幸せの意味を知る」と言う場面があります。最後にフレドリックが一人雨の中をホテルに帰るシーンは淡々と表現されているのですが、それが却って彼の喪失感を強調しているような気がしました。

    ちなみに「武器よさらば」は、「世界でひとつのプレイブック」という米国の映画(2012年)の中でも取り上げられています。

  • 外国人として第一次世界大戦時にイタリア軍に志願して、イギリス人女性と恋に落ちた主人公が「家」と呼べる居場所を求めて得られなかった(結末「ホテルに帰った」)ということについてレポートにまとめた。

  • 世界の名作を読んでおこう方針で図書館の全集を借りた。昔ヘミングウェイを読んでなんとなくマッチョ思想?、男が望む男女関係の女性像という感じが嫌いだった。何を読んだのか覚えていないがもしかしたらこれだったかも。この点については同じ感想だが、今回とても良いと感じたところもあった。主人公が退却をする場面、たとえば味方の部隊に敵と間違われて狙撃されるとか、任務放棄とみなされる将校が次々と処刑されるところから川に飛び込んで逃げる、とか。混乱する戦争の現場がどういうものか、戦場にいた筆者ならではのリアル感がある。それと他の戦争小説よりは主人公の行動とか周囲とのやりとりに余裕が感じられるのは、医療班の担当かつ中尉のポジションがあり、常に所持金がたくさんある階級の人だから。サービス業の人とのやり取りに常にそれが感じられる。余裕ある振る舞いが精神の余裕につながると学んだ。
    小説としては面白く展開していくが、最後の終わり方に必然性があったのか疑問。武器よさらば、ということと関係がないので。

  • シンプルな文章で読みやすいですし、
    メリハリがついていてここぞと言うときのたたみかけは流石です。

    しかし、ここぞというとき以外に関しては、
    簡潔な文章と呑気な会話のせいか戦争を題材にする割に緊張感がなく、
    なんとなく単調になってしまっている感は否めません。

    まあ、戦争の話と言うよりむしろ恋愛の話なのでそこをどうとるかでしょうね。
    個人的には甘ったるすぎ彼女が良い人過ぎと感じましたが、
    そういうのが好きな人には悪くない作品だと思います。

  • 恋をしたくはならなかったけど、酒を飲んでみたくはなった

  • 舞台は戦時中ではあるが基本的にカップルのイチャつきをずっと見せられるよくわからないストーリー、と思ったら終盤に急に悲劇だらけになってびっくり。

  • 俺には恋の経験が少なすぎるね。
    恋したらもう一度違う訳のやつ読んでみよかな。

  • この世界では誰もが痛めつけられる。
    戦争で部下を失い、怪我を負い、望んでもいない出産により最愛の人さえ失う。戦争なんて、悲しく、虚しい。

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著者プロフィール

Ernest Hemingway
1899年、シカゴ近郊オークパークで生まれる。高校で執筆活動に勤しみ、学内新聞に多くの記事を書き、学内文芸誌には3本の短編小説が掲載された。卒業後に職を得た新聞社を退職し、傷病兵運搬車の運転手として赴いたイタリア戦線で被弾し、肉体だけでなく精神にも深い傷を負って、生の向こうに常に死を意識するようになる。新聞記者として文章鍛錬を受けたため、文体は基本的には単文で短く簡潔なのを特徴とする。希土戦争、スペインでの闘牛見物、アフリカでのサファリ体験、スペイン内戦、第二次世界大戦、彼が好んで出かけたところには絶えず激烈な死があった。長編小説、『日はまた昇る』、『武器よさらば』、『誰がために鐘は鳴る』といった傑作も、背後に不穏な死の気配が漂っている。彼の才能は、長編より短編小説でこそ発揮されたと評価する向きがある。とくにアフリカとスペイン内戦を舞台にした1930年代に発表した中・短編小説は、死を扱う短編作家として円熟の域にまで達しており、読み応えがある。1945年度のノーベル文学賞の受賞対象になった『老人と海』では死は遠ざけられ、人間の究極的な生き方そのものに焦点が当てられ、ヘミングウェイの作品群のなかでは異色の作品といえる。1961年7月2日、ケチャムの自宅で猟銃による非業の最期を遂げた。

「2023年 『挿し絵入り版 老人と海』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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