老人と海 (新潮文庫)

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レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100189

作品紹介・あらすじ

八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが──。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。

感想・レビュー・書評

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  •  サークルの先輩から勧められ読んでみました。150ページという少ないページ数からは想像もできないような濃い内容でした。中でも私が気に入っている点はカジキや老人を襲うサメでさえ「彼」「お前」と敬意を持って魚と接する姿は海と共に生きてきた職人の生き様が見えたような気がしました。  

     文学の知識がない私に海外文学は合わないと思っていましたが、短いストーリー少ない登場人物、漁師という日本人にも浸しみのある職業であるという点などから、海外文学の入門書として活用できるかと思います。

  • 意外にも和訳は130ページ程の小説。
    自分の勝手な期待もあったが、意外なエンディングを迎える。読み終わりは1人取り残されたような、ポッカリ穴が開いたようななんとも言えない感覚に陥った。


    本当にドキュメンタリーのような、ものの見事に鮮やかな情景が浮かぶ所がヘミングウェイの精細な文体力。海の深さ、太陽の移ろい、夜の星空も文字だけでパッと思い描ける。何より漁の要領から大魚との死闘の1秒1秒まで繊細に手に取るように浮かぶ、その書き味が最高だった。

    「ヘミングウェイの生涯一部抜粋」
    夫人とイタリア旅行中にアドリアーナと出会う。18の時に第一次大戦で重傷を負ったフォッサルタを夫人と訪れ感傷に浸った。このころからの躁鬱症か。
    アドリアーナへの一目惚れが執筆を加速させ、老人と海を出版。
    その後アフリカのサファリ旅行で2度にわたる飛行機事故により身体を負傷。脳の打撃が大きく幻覚や妄想症状に悩まされる晩年となる。電気ショック療法を用いたところはかの映画「ビューティフルマインド」と彷彿とさせ、実際に行われていたのかと想像すると鳥肌が立つ。


    「人間ってやつ、負けるようにはできちゃいない」

    「なにしろあの男は、踵の骨棘の痛みにもめげずに、打っても守っても完璧にやってのけるんだから」

    「だが、あの星たちは、嬉しいことに、殺さなくていいのだ」


  • 読んでいて感じたのは人生だった。

    かつてはブイブイ言わせていた人が歳をとり
    老人になっても海へ出て漁をする。


    不漁が続いてようやく大物を釣り上げるが
    港に戻るまでにサメに食い荒らされてしまう。


    何かうまくいっても
    別の何かに取り変わってしまう。


    けど、どんな波があっても、どんな牙を立てられようと
    自分の芯は老いても変わらない。


    老人と海の物語が人生そのものだと感じる。
    良いことも悪いこともどうしようもないことも起こる。

    そんなことを淡々と考えれる小説でした。

  • ‪チャンスをもぎ取ったのも束の間、呆気なく手から溢れ落ちてゆく成功はどこにでも誰にでもあることで、老人は疲労困憊でなんなも言えなくなるけど、挑戦した事実は消えない。
    こんなに頁数少ないのにひとりの人生全部が詰まってて、読み終わった後の寂しさと満足感で心の中がぐちゃぐちゃだった。
    8割型老人の行動と心情で締められているのに、どうしてこんなに面白いんだろう?
    夢中になって読んでしまった。

    漁師になるって本当に大変だ。
    当たり前だが、今の時代の漁師よりもずっとずっと大変だったはずだ。
    自分にどれだけ確かな実力があったとしても、必ず結果が伴うわけじゃない。
    そんな厳しい世界で老人は真摯に生きて生きて、生きてきた。
    人生は厳しい。
    でも、そんな苦境に立たされた時、誰かが隣にいれば、乗り越えられるものもあるはず。
    確かに寂しい後ろ姿でも、老人を見守る少年がいたように、少し希望がある未来が見えるような、そんなラストだった。

  • 表紙が美しくて期待しすぎたようだ。
    私が読むにはまだまだ未熟者だったみたいだ。
    死ぬ前にもう一度読みたい。

  • この本は打ちのめされている時に効く。
    失敗して、裏切られて、泣きつける人もいなくて、孤独で、どうしようもなくて、でもやるしかなくて、重い腰をあげてもう1度やってみる。それでも失敗して。もう無理だ、立ち上がれそうもない、希望が見えない。でもやるしかない。けどやる気はもう残ってない...でも...。そんなことを繰り返し、海岸に打ち上げられたクラゲみたいな気分になった状態の心に効く。

    サンチャゴは孤独にカジキと戦う。死闘の上に手に入れた獲物は抵抗虚しくサメにかじられ続ける。無駄な抵抗だとはわかってはいる。しかし漁師は全力で戦い続ける。後に残ったものはカジキの尾と骨、そして頭。売れる部分は残っていない。加えてサンチャゴの体は怪我と疲労でボロボロ。彼を馬鹿だと笑う人もいるかもしれない。無駄な体力を使って、結局ゴミしか取れなかったのか。と。しかし私は彼を笑えない。彼はその気高い誇りを守り通した。その様は私とは比べ物にならないほど綺麗だと思った。サンチャゴの収穫はゴミじゃない。漁師の気高さだ。それは、マノーリンやその他諸々の漁師の心に一生涯、栄養を与え続けるだろう。

  • 物語の前半の方は、あまり変化がなく、ずっと同じような場面の描写が続いて、ペースが進まず、時間があるときじゃなかったら、もう途中で投げ出していたと思う。
    後半から、どんどん老人の気持ちになって、自分も海にいるかんじになり、老人を応援していた。

    漁師の老人が、自分よりも遥かに大きく、強い相手(魚)に対して、経験と知力、そして何よりも心のコントロール(内面と向き合い、自分との対話)で闘い、困難を乗り越えていく。

    老人が自分自身を励ましているのを読んで、祖母が昔、祖母自身に対して、ありがとうと話しかけていたのを思い出した。

    大事なのは、心かな。

  • 短めで文章が分かりやすく、読みやすい作品だった。
    老人は海の上でずっと孤独だがどのようなことがあってもめげることなくやり遂げていて少し見習わなければと思った。
    しかしやはり僕は老人思いで優しい男の子が1番好きだ。
    それにしても運とはなんだろうか、、

  • 高見浩さんの新訳で4月に登場したので約30 年ぶりに再読。初めて読んだ時は、老人の戦いと最後に残った虚無感と生きることの力強さを漠然と感じた。この年になって読んでみると自分への自信と相手への友情に近い尊敬の気持ち、ヘミングウェイならではの尊厳(dignity)も読み解けた気がする。常に戦う男ヘミングウェイが最後にライオンの夢を見ていた終わり方の余韻に浸りたい。

  • 初めて読んだのは、中学生の時。父に「これ面白いから読んでみな」と借りた。
    中学生には理解出来ないだろ!と思ったし、今でもそう思う。実際、読んだ感想は「おじいちゃん可哀想だな」くらいのものだった。
    そんな私も歳を取り、かなり久しぶりに読んだのだが。
    老人の精神力にまず驚いた。
    巨大なカジキとの死闘。何度も心が折れそうになったが、その度に自分を鼓舞し、決して屈しないと言うその強さ。
    だが…その後、カジキは呆気なくサメに食べられてしまい、私はそこでとんでもない虚無感と無情さを感じた。

    せめて、ラストで老人が見るライオンの夢が、穏やかなものであることを願う。

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