怒りの葡萄(上) (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 320
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102101094

作品紹介・あらすじ

米国オクラホマ州を激しい砂嵐が襲い、先祖が血と汗で開拓した農地は耕作不可能となった。大銀行に土地を奪われた農民たちは、トラックに家財を詰め、故郷を捨てて、“乳と蜜が流れる”新天地カリフォルニアを目指したが……。ジョード一家に焦点をあて、1930年代のアメリカ大恐慌期に、苦境を切り抜けようとする情愛深い家族の姿を描いた、ノーベル文学賞作家による不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかったけど、何がメインの話なのかわからない・・・。( ノД`)下もよんでみる。

  • たくましく男くさい小説。トラクターや銀行・会社による土地支配という農業の近代化によって、一体化していた土地をおわれ、カリフォルニアの豊かな農園を目指して移住しにいくジョード一家の話がメイン。おんぼろの車を改造して修理しながら旅していく主人公トムや弟のアルのTOKIO感がすごい。カリフォルニアでは移住者がオーキーと蔑まれ、畏怖嫌厭される未来が透けて見えているが…?たくましく強いお母の、家族がバラバラになることだけは許さない姿勢が印象的。その割に途中離脱した長男のノアにはあまりしつこく執着しないのね…?
    嫁の腹痛を甘く見て死なせてしまった罪の意識を抱えて生きるジョンおじが渋くて良き。

  • 淡々とした文章が逆に言葉の端々などにある熱い気持ちを強調していて面白かった。

  • むかし読んだのは1962年。作者案内にはその年にノーベル賞受賞とあります。映画化もあり、話題だったのでしょうか。でもストーリーをすっかり忘れており、初めて読むような感じになりましたのが、個人的などうでもいいことですがわたしとしまして不思議。なぜなら社会機構の矛盾というような題材に関心があった若い時代、記憶の底に残ってもいいのだろうに、ということです。ま、未熟だったのですかね。

    さて、上巻を読み終えて、もちろん底辺にある近代資本主義の矛盾を突いているのは痛いほど分かります。でもねえ、ジョードー一家がオクラホマからテキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州そしてカリフォルニア州へと、故郷を捨て新天地へ困難な旅するさまを、簡易地図でたどりながら読んでいると、その情景描写の目に浮かぶような筆運びに魅了されてしまうのです。

    この一家13人は苦しい悲惨な旅なんですよ、老人たちは旅に病み死に、若者は怒り、かたや無気力になり失踪し、一家がバラバラになっていく。しかし、それも時代を超えていつの世にもある。その普遍性をある物語に圧縮して解きほぐしていく、これぞ文学の骨頂というのですなと、感心してしまうのでもあります。

  • 耕地を奪われたジョドー一家が新天地を目指す過酷な物語。
    土地を奪われ飢えに苛む者の立場、大地主の立場を、時折鳥瞰的な目線で淡々と説明する章で時代の背景や人間性を浮き彫りにし、その中でのジョドー家目線で物語が進行する手法がよいです。
    人間同士の争い、助け合いがどのようにして起こるのかを機械化が進みだし貧富の差が拡がる時代を下敷きに教えてくれます。
    家族の絆や友人との助け合い、正しいものの考え方を押し付けがましくなく教えてくれますが、物語の行く末がとても暗澹としておりその教えが殊更尊く感じますね。
    少々読みにくいですが一度は読んでおくべき良作と感じました。
    時折語られる伝統師ケイシーやジョドーお母の魂の叫びのような深いセリフが良いです。

  • 大地と人の絆が引き裂かれた時の叫びが、全体を通じて響いている。故郷を追われて当て所なくさまよわなくてはならない不安。帰る家のあることがいかに幸せか。
    カリフォルニアにたどり着くまでに家族がじわじわとバラバラになって行く様子が恐ろしい。お母は本能的に危機を感じ取って頑なに家族が離れて行動することを拒否するも、はじめにじいちゃん、次にばあちゃんと、故郷との絆が強いものから先に脱落していく。そして長男のノアまでも。
    この行くあてのない家族が乗っているのが、血の通わない機械(オンボロトラック)というのも象徴的だなと。トラクターという機械に追い出されて、でも自分たちも機械に頼っている。
    信頼できるものとは一体なんなのか?同じ苦渋を味わった人間同士の連帯感のもたらすものは?下巻に続く。

  • 世界恐慌と重なる1930年代、アメリカ中西部では開墾によって発生したダストボウルによって、耕作ができなくなってオクラホマを追われることとなった人々を描く。一緒に移動していた家族は、祖父母の死や従兄弟たちの急な離脱によってバラバラになっていく。バラバラになることは状況を見れば仕方のないことだが、それが危険なことだと、読者は本能的な不安を感じることだろう。

  • ノーベル文学賞作家ジョン・スタインベックの名作。土地を追われたジョード一族が、安住の地を求めて移動する物語であるが、行く先先で災難に襲われてしまい、どこまで行っても救いがない。最後には、まさかロザシャーンが死産となってしまうとは。個個の登場人物の心までは荒んでいないことが唯一の明るい要素で、ラスト・シーンもそれを反映したものとなっているし、またまさに「肝っ玉母さん」と呼ぶにふさわしい、「お母」の一本筋が通った堂堂とした生きかたには感動すら覚える。しかしその前向きさが救いようのなさを余計に際立たせており、読者をよりやるせない気持にさせる。さらに絶望的なのは、この物語が決して単なるフィクションでも、この時代に限った話でもないということである。「下層」の人人が大資本に土地を追われ、あるいはいいように扱われるというのは、現在でも世界中で普遍的に見られる現象である。日本においても例外ではなく、たとえば跋扈するブラック企業のことを考えればよくわかるだろう。このような世界を見事に描いているため、現在まで読み継がれていることにも納得である。一方で、このような読み方もできる。主人公たちは「絆」を重んじるなど懸命に生きているが、みんなどこか自己中心的な部分も持ち合わせている。そもそもトムはカリフォルニア州から出ては行けないのに、無視して勝手に移動してしまっている。あれだけ「強い」お母も、このことでは謗りを免れないだろう。このような人物「だからこそ」、こういう目に遭っているという見方もできないか。そして、このような見方こそがまさに、現代社会で「上層」に立つ人間が「下層」にいる人間に向けている視線と同じだろう。これら二つの読み方いずれを取っても今日でも通用するといえ、やはり名作であると強く実感させられる。

  • 2021年4月24日に紹介されました!

  • とてもソリッドながら読む事をやめれない文章だった。世界恐慌の中それでも強く生きようとする人達を、どちらかと言うと淡々と描いているが、とても惹きつけられる小説だった。

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