怒りの葡萄(下) (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 117
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102101100

作品紹介・あらすじ

ロッキー山脈を越え、アリゾナ沙漠を渡り、夜は野営地でテントで過ごしながらカリフォルニアを目指すジョード一家。途中、警察から嫌がらせを受けるも、ひたすら西へ西への旅が続く。希望に満ちて“約束の地”に到着したが、そこは同様な渡り人であふれていた。彼らを待っていたのは、不当に安い賃銀での過酷な労働だけだった……。旧約聖書の「出エジプト記」を思わせる一大叙事詩。

感想・レビュー・書評

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  • 終盤は、家族の苦難に読むのが辛くなった。気が休まるのは、子ども達の無邪気な姿と、質素だけど美味しそうなお母の料理。
    社会の搾取に対して、人は団結して抵抗すべきと思うが、それが大変難しいことを痛感する。現代の日本に置き換えても、それは同様だし、更に難しいかもしれない。
    トム・ジョードとジム・ケイシーは、個人的に印象深いキャラクター。複数の印象に残る言葉を発しているが、それがキリスト教的宗教観を背景とするものなのかは知識不足のため分からない。聖書を読んでみたくなる。

  • そこで終わる⁈という終わり方。象徴的。
    お母が一家を切り盛りしてることからも、つまり強いのは女。出産まではめそめそしていたロザシャーンが、最後に母になる。母は強い。飢える人を直接救えるのは母である女しかいない。
    トムの最後の台詞は、キリストか神のもの。人が愛をもって集まるときそこに神はいる。
    ジョンおじがロザシャーンの子を流すときに言う台詞も印象的。資本主義の闇、格差社会の構造的な巨悪を富める者が認識するには、最も無力な人間の無惨な死が雄弁なのかもしれない。
    近代の資本主義の負の側面が描かれる一方、虐げられた人々の結束や社会形成の中で、自主的で民主的な自由の可能性、人間という社会的な生き物の希望的な可能性を感じた。

  • 働けることって素晴らしいこと。

  • カリフォルニアに向かう途中でのおばぁが亡くなるところからの下巻。人が死に至る程の過酷な旅路の先にある現実が更に凄まじい。一緒にいた家族が、伝道師ケイシーがバラバラになっていく。
    根底にあるテーマ、家族愛、隣人への思慮、労働の尊さ、労働組合の必要性、経営者の苦悩や不安。その中でたくましく生きる家族。特にお母の存在が大きい。シャロンの薔薇にはいつもイライラさせられたが最後のシーンは感動もの。
    家族の行く末が気になる。
    タイトルに何故葡萄と付くのか疑問。

  • 人が幸せになるために必要なものは、きっとそんなに多くない。

    「まっとうな暮らしをして、子供たちをまっとうに育てたいと思っとる。そして、年老いたら戸口に座って、沈む夕日を眺めたいと思っとる。若い頃には、踊り、歌い、男女の契りを結びたいと思っとる。食べ、酒を飲み、働きたいと思っとる。それだけなんだ。疲れるまで力仕事をすることだけが望みなんだ」

    人間の幸せって、本来こういうものなんじゃないのか。そう強く思う場面が随所に散りばめられ、何気無い言葉一つに深い共感を覚える作品でした。魅力的なキャラクター達が多く、彼らの生きているこの物語を少しでも長く読んでいたくなり、終わってしまうのがとても寂しかったです。終わり方も決してハッピーエンドではないのに、感じたのは悲しさではなく、まさしく帯に書かれていた「人間讃歌」という言葉がぴったり合う、そんなラストでした。素晴らしかったです。何度も読み返すと思います。

  • 実際の社会問題がベースとなっているだけあって、登場人物のセリフや背景まで、ノンフィクションのようなリアリティを感じる

  • 故郷を離れ苦労の末にたどり着いたカリフォルニアでは、他所から流入した労働者家族が仕事を求めていた。不当に安い賃金でも働かなければ飢えるしかなく、集団で抵抗しようとすれば弾圧される。
    一方で、熟れた果実が儲けにならなくて潰される。
    そんな中でも人々は助け合い、声をかけ合って生き延びようとする。
    この後、ジョード一家はどうなったのだろうか。当時のアメリカにはこんな家族が大勢いたのだろうな。

  • 生きるということはとても厳しいということがよくわかる。そして権力はいつの時代も残酷だ。

  • 新たな生命は生まれて来ず、結局残ったのはお父、お母、ジョンおじ、シャロンの薔薇、ルーシー、ウィンフィールド。11人家族中6人になってしまったとはいえ、これが固い家族の絆を描いた作品であることは間違いない。ジョード一家に限らず、どの家族も一家団結して困難を乗り越えようとしたのだろう。
    大恐慌は歴史で習って言葉だけ知っていたけど、実情がこんな風だったとは。食べ物が本当に必要な人に行き渡らず、儲けが出ないからといって捨てられるなんて。世の中の仕組みがおかしいとはわかりつつも、どうしたらよいのかわからない、言いようのないもどかしさが嫌というほど伝わってきて辛かった。
    家長として采配を振るうべきお父は途中からみるみる影が薄くなり、お母が家族の大黒柱的存在になるのが印象深い。地母神的というか、なんかどっしりしている。シャロンの薔薇が最後死にかけている男に乳をやるところも、女性の生命力を感じさせる。
    トムとお母の別れのシーンはこの作品の白眉だと思う。お母が一番頼りにしていたトムは、心を同じくする人々の中に自分はいつでもいると言って、トム・ジョード個人ではなく怒れる民衆として生きることを選ぶ。おそらく家族と再会することはないだろうと思うと、どうか民衆よ情に熱い彼を愛して迎えてやってと願いたくなる。

  • いたたまれない感情でいっぱいになる。

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