トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

制作 : Mark Twain  柴田 元幸 
  • 新潮社
3.78
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本棚登録 : 507
レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102106112

作品紹介・あらすじ

ポリー伯母さんに塀塗りを言いつけられたわんぱく小僧のトム・ソーヤー。転んでもタダでは起きぬ彼のこと、いかにも意味ありげに塀を塗ってみせれば皆がぼくにもやらせてとやってきて、林檎も凧もせしめてしまう。ある夜親友のハックと墓場に忍び込んだら…殺人事件を目撃!さて彼らは-。時に社会に皮肉な視線を投げかけつつ、少年時代をいきいきと描く名作を名翻訳家が新訳。

感想・レビュー・書評

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  •  他の人の訳で中学時代に読んだ気がするが、柴田元幸氏の翻訳で読んでみたいと思い、再読。
     トムの勇気や機転は本当にすごいんだけど、ガキ大将っぷりは鼻についてしまう。スクールカースト上位だよな、こいつ、とか思ってしまう。私が捻くれているのか。しかし柴田先生もあとがきで同様に「トムは大人になったら地元のお偉いさんになって『私も子供の頃はやんちゃしたもんですよ、ガハハ』って言ってそう」的なことを書いており、激しく同意。
     やっぱりトムよりもハックの言葉が心にしみる。「手に入れるのに苦労しないものなんて、持つ気しねえから」。こっちはきっと、お偉いさんになって昔を笑ったりはしない。

  • ハックルベリーを再読しようと思っていたら、柴田元幸さんの新訳がハックとトム両方刊行されていると知り、ついでなのでトムの方も読みました。順番は逆になったけれど。

    トム・ソーヤーの方は飽きるほど読んだ、と思い込んでいたけれど、実は私が読んだのは子供向けに大幅に短縮リライトされたものだったようで、今回初めてオリジナルをちゃんと読んだのだと分かりました。あまりに本の印象が記憶と違うので、驚きました。訳者が違うというレベルどころの差異ではなく。

    何が違うって、落ち着きのない小学生男子マインドいっぱいの冒険譚、というところは、まあ子供向けのバージョンと同じなんだけど、オリジナルの方はそれにプラスして、マーク・トウェインの社会批評というか一般大衆へのツッコミみたいなものがやたらに差し挟まれていました。
    時々、そっちがメインじゃないかと思うくらいの力の入れようで。善良なる市民の皆さんについての皮肉を書く機会ができるたび、著者は嬉々として筆を運んでいる、という印象でした。

    ハックの描かれ方については、子供バージョンを読んでいた時は、そりゃハックは学校なんて行きたくないだろうし今の生活が好きに決まってる、と当然のように思っていたけど、今読むと、そんな風に単純に思えない自分がいて、それにも驚きました。(自分に)
    ハックルベリ―の本ではハックの目を通して描かれているからか、ハックの「社会からはみ出した」暮らしぶりについてはどちらかというとポジティブに読んでいたけれど、それが三人称で語られてみると、なんだかところどころで心が痛みました。
    すそがすり切れてボロボロになった服、だとか、何度も無実の罪を着せられたことがある、だとか、一緒に家出をした仲間が家族に抱きしめられている間、居心地悪く突っ立っていたり、とか。
    親って選べないものなぁ、とつい悲しく思ってしまう。
    ハック自身はそうしたことで誰かをうらやましいとは全く思っていないし、マーク・トウェインも普通に淡々と状況を説明しているだけに見えるしで、全然ネガティブに思うようなシーンではないのですが、でも、実際は著者はすごく注意深くそうした描写を、量が多くなりすぎないよう調節しつつ入れている、という気がしました。

    とにかくトウェインは、物事をものすごくよく見ている人なんだなぁ、という印象を受けました。

  • 多くの人が子供時代に一度は読んだと思う。私も小学生の頃読みました。大人になって再び読み、トムや仲間の言動に笑ったりハラハラしたりしながら童心に帰ってしまいました。子供だった頃の自分の考えていた事を次々と思い出させてくれる本。時代も場所も背景もトムたちとは全く違うのに、子供の考えることは世界共通。大好きな本です。

  • ハック・フィンを読む為に。思っていたよりずっと悪ガキのガキ大将が自由する話だった。まあ大人として手本として欲しくはないが、子供なら発想や勇気の数々に憧れる物語でした。ちょっと訳が硬いようにも感じられたが、訳者としてはハック・フィンとのバランスをとったのかなあと思うとそれなりかも。

  • 子供の頃読んだ本の再読をしている。当然少年少女本だったので、今回の全翻訳本とは違うのだが、わくわくした感触は忘れられない。読み返してみて主人公の破茶滅茶でない自制が効いたキャラクターであることがわかる。2018.4.15

  • 主人公トムはいたずらっ子でポリー伯母さんに怒られてばかりですが、本を破ってしまったベッキーを庇うために自分が破ったと嘘をついたり、無実の罪で捕まったポッターに差し入れをしに行ったりと、優しいところがあり、どうしても憎めません。そんなトムや、浮浪者ハックルベリーといった、少年たちの物語です。

    彼らは毎日楽しそうで、少年たちの楽しみを見つけ出す力を思い出しました。また、殺人事件、隠された財宝、洞窟探検など、大人でもワクワクするような出来事もあります。

    物語の終盤で、大金を手に入れ、社会に引っぱり込まれたハックが、“俺は『みんな』じゃない、あんなの我慢できねえんだよ。(p380)”と言ったのが印象に残っています。ハックの自由な生活には憧れました。“子供たちはみなハックルベリーを崇めて、(中略)自分もハックみたいになれたらと願っていた。(p77)”気持ちもわかるような気がします。

  • 「なあ、ハック。その猫いつ使う気だ?」
    「今夜さ。今夜悪魔たちがホス・ウィリアム爺さんを連れにくるだろうから」
    「でも埋葬は土曜日だったじゃないか。土曜の夜に連れていったんじゃないの?」
    「何言ってんだ!真夜中までは魔法が効かないんだぜ。で、真夜中になったらもう日曜だろ?悪魔は日曜にうろうろしたりしねえと思うぜ」
    「そいつは考えなかったな。そうだよなあ。なあ、俺も行っていい? 」


    神に召されて天国へ行けるよう教会に埋葬されたはずのホス・ウィリアム爺さんなのに、この子たちは悪魔が連れに来ると信じてる。
    それがどうにもおかしくて堪らない!!

    「トム・ソーヤーの冒険」は今さら説明するまでもない世界の名作であります。
    子どもの頃にアニメの「トム・ソーヤーの冒険」が大好きで何度も何度も繰り返し見たわたしにとっては、夏が近くなるこの季節になると妙に懐かしく思える作品です。
    しかし先日、今さらながらこの本を初めて読みました。
    予想以上に面白くて、とても子ども向けとは思えない、大人こそ楽しめる本なのじゃないかとさえ思える1冊だったのです。
    主人公トムの個性もさることながら、ハックとの関係がアニメを見ていた時よりも意外とドライなところがあったり、ポリー伯母さんの愛情深さやシッドとの関係など発見も数多くありました。
    また南北戦争前のアメリカで人々がどんな風に生きていたのかを垣間見られるところも興味深く、アニメの声で脳内変換されるセリフの数々のおかげで一気に読み終わりました。

    この話の特に大きな事件であるマフ・ポッターの事件(上のセリフのやり取りの後、彼らが目撃してしまう村を揺るがすような大事件)以降は特に顛末を知っていてもハラハラドキドキします。
    かつて自分も子どもだったことを思い出させ、時におかしく、時に懐かしい。そんな気持ちにさせてくれる夏休みの思い出のようなキラキラした作品だと思います。
    子どもだった時代はそれぞれまったく違うというのに、この時代を超えた感情は作品の普遍的なテーマがあるからなのだと思う。
    今の子どもたちもこんな経験をしているのだろうか。そうだとしたら嬉しいな。

  • トム・ソーヤー×柴田元幸なんて、面白くないはずないよねえ!!
    リズムの良い文章に、心も弾ませて読んだ。
    面白かった!
    しかし、幼い頃に読んだ子供向けではカットされていたと思うのだけど、トムは既にプレイボーイになりつつあって末恐ろしい。
    将来相当遊び人になるんじゃないの…?
    それに、自分の好きなことをやりながらも大概の人から好かれる世渡りの上手さがカチンとも来る。
    だって私、この中で誰に一番近い子供だったかというと、インドアで陰湿な弟だもの。
    やっぱり私の友達は「秘密の花園」のメアリ!

  • 夢想家で、いたずら好きで、目立ちたがり屋のトム・ソーヤ-の冒険物語。と言っても、トムが自ら冒険を企てるのが主の話ではなくて、トムがいたずら心でやったことから思いがけない状況に巻き込まれたり、日常生活の中で勇気を試されたりしながら、主人公が試練を乗り越えて成長していく話であった。
    出だしはやや退屈だったが、トムとハックが殺人事件を目撃して以降、三人での海賊気取りの家出、その顛末、ベッキーの窮地、ポッターの裁判、宝探しや洞窟での出来事など、ストーリーが二転三転して、俄然面白くなった。
    特に印象深いのは洞窟の場面であり、ハックが遭遇した出来事とも巧く結びつき、宝探しにもつながっていく。
    個人的には、貧乏でも束縛を嫌って自由を愛するハックの方に魅力を感じた。
    最後にハックはトムのアドバイスでダグラス未亡人のもとに戻る決心をするが、そのまま居続けることができたのであろうか。

  • 柴田先生の講義でさらに愉しめた。

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著者プロフィール

Mark Twain, 1835―1910
アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州フロリダ生まれ、同州ハンニバルで育つ。本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)。西部・南部・中西部の庶民が使う口語を駆使した作品によってその後のアメリカ文学に大きな影響を与えた。『トム・ソーヤーの冒険』(1876年)のほか数多くの小説や随筆を発表、世界各地で講演も行ない、当時最大の著名人の一人となる。無学の少年ハックルベリー・フィン自身の言葉で語られる『ハックルベリー・フィンの冒けん』(イギリス版1884年、アメリカ版1885年)はなかでも傑作とされ、アーネスト・ヘミングウェイは『アフリカの緑の丘』で「今日のアメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評した。

「2017年 『ハックルベリー・フィンの冒けん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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