ガラスの動物園 (新潮文庫)

制作 : Tennessee Williams  小田島 雄志 
  • 新潮社 (1988年3月発売)
3.69
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  • レビュー :87
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102109076

ガラスの動物園 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ほぼ家の中のワンシーンだけで完結する内容なのに、グサッと胸に突き刺さるものがあります。戯曲の形式であるから、室内劇でも感情の動きだけでここまで魂を揺さぶられるんだろうなと見直しました。
    過去の栄光にすがりつく母と、社会に適合できない娘、そして二人を支えるために自分の夢を犠牲にする息子。今にもバラバラに砕け散ってしまいそうな家族の脆さに、悲劇的な美しさを感じてしまいます。
    それでも後味が悪くなくて、ささやかな希望も感じられるところが良いですね。陽の光が当たる道を生きれない人間の苦しみを描いた普遍的な名作だと思います。

  • 吐き気をもよおすような戯曲だった。

    「ねえ、ローラ、棺桶に入って釘づけになるぐらいならたいして知恵はいらんよね。だけど、そのなかから釘一本動かさずに抜け出すやつなんて、この世にいるだろうか?」

    ガラスの動物たちが出てくると悲しいけど心が安らぐ。

  • おそらく三十年ぶりの再読。豊崎由美さんの「まるでダメ男じゃん!」に出てきて読みたくなり、本棚から(まさに)発掘。紙は変色してるし、字は小っちゃいし(昔の文庫ってほんとに字が小さい。中高年は文庫を読まなかったのか?)読みづらいのなんの。それでもやはり面白くて一気に読んでしまった。

    以前読んだときどう思ったかは、もはや定かではないけれど、まず間違いなくその時とは違う感慨を抱いたのは、ヒロインであるローラの母アマンダについてだ。若かった私にはこのアマンダの心の内はわからなかったと思う。ただ愚かで支配的な母親だとしか思わなかったに違いない。今は、このアマンダの優しさや、報われない善良さが悲しく胸に迫ってくる。痛切なラストも、ローラと同じかそれ以上にアマンダに心を寄せて味わった。

    豊崎さんも書いていたが、まったくこの話には「救い」というものがない。それでいて実に美しい。文句のない名作。

  • ガラスの動物たちに囲まれたローラの儚げで陰鬱な生活と彼女を取り巻く人間の空しさやもろさが淡々と進んでいくようすがすきです。スクリーン、照明、音楽のト書きも斬新で舞台でもみたくなる!

  • またまた『百年の誤読』から。それにしても戯曲って、しっかり読んだのめちゃくちゃ久しぶりかも。ひょっとしたら入試問題以来かもしらん。というか、プライベートでは読んだ記憶がない… それはさておき、本作は非常に楽しめました。登場人物が4人しかいないし、尺もさほど長くないから、そもそも物語り展開はそれほど複雑怪奇ではない。かといって、何の中身もないかといえば、人物造形の妙あり、淡い恋心と裏切りありと、波乱万丈の展開。自宅だけで繰り広げられるから、実際に演じられる情景も思い描きやすい。うん、素晴らしいですね。作者の他作品にも触れてみたいし、実際に演じられているのも観てみたい。そんな作品でした。

  • 初読

    今更ながら。
    薄暗くて、哀しくて、美しい。

    アーサーミラーのセールスマンの死の母親版といえなくもないというか、
    子供達に期待する「成功」にアメリカ的なものを感じる。

    元サザンベル(自称?)のアマンダ母ちゃん、
    これも愛なんだよー。確かにエゴでもある。
    でも家族に対する愛情は完全にエゴと分離出来るものではないのよな…

  • 儚い

  • 陽気で夢見がちな母と極端にはにかみ屋で引きこもった姉と失踪した父に代わって一家を支える倉庫番の主人公の一家の話。
    作者の内面的な世界が色濃い悲劇の戯曲です。
    登場人物たちの繊細な心情を巧みに表現しています。

    終始スクリーンをつかって、画像や文字を映す指示や音楽の指定があります。
    ほかの芸術と違う演劇ならではの表現方法を垣間見ました。小説、映画でもないまさに演劇なのだなあと。
    まあ実際に劇場で見るべきなのだろうけども。

  • ただただ悲しい話。救いようがない。

    作品には、ヒステリックな母親、びっこでガラスの置物ばかり集めるメンヘラの姉、阿片に手を染めた倉庫勤めのぼく、が出てくる。
    母親が姉の結婚を心配して、ぼくに相手を紹介させる。偶然にも、紹介されたジムは姉が昔恋した人だった。惹かれ合う二人、姉の凝り固まった心が溶けかける。しかし、ジムには婚約者がいて、姉のもてを去って行く…という一晩の物語。

    主役が全員どうしようもない状況。その上、また絶望に突き落とされるという無慈悲な話を、これでもかというくらいに、美しく(ガラスの置物を扱うように)書いた作品。
    読んだあと、憂うつになった。

  • 読み手の年齢、性別が異なっても、多くの人が登場人物の誰かに
    感情移入できる作品だと思いました。
    作者の人生を知ってから振り返ると、切なさ倍増のお話でした。

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