アンの娘リラ 赤毛のアン・シリーズ 10 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102113509

感想・レビュー・書評

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  • アン・シリーズの一冊ですが、他は読んだことがありません。
    この本には、忠犬ハチ公のような犬が登場するということで読んでみました。

    犬のマンディの飼い主はリラの長兄ジェムで、次兄のウォルターにもなついています。ジェムが出征した駅の積荷小屋で動かなくなり、ウォルターは一時連れ帰りますが、ハンスト状態になったため自由にし、駅近くの肉屋に肉の提供を依頼します。マンディは汽車が着くたび駆け回りますが、あとは小屋で寝ています。その後、プラットフォームが見れるよう犬小屋をつくり、また新聞に取り上げられ有名になります。(第2,6,8,10章)
    あとは、出征したウォルターが帰って来た時やまた出征する時の様子や待ち続ける様子、夜鳴きが簡単に描かれています。(第12,15,17,22章)
    そして、最終の第35章で、帰ってきたジェムを歓喜で迎えます。
    第18章で、ミランダが小さな犬ウィルフィを連れてきますが、リラは嫌いなようです。

    最終的に、マンディにとってはハッピーエンドですが、なんとも健気過ぎます。

  • アンとその家族が第一次世界大戦下を
    どう生きたのかを一番下の娘である
    リラの目線で描いた物語である。
    今回久々に読み返したが、新型コロナによる
    予想だにしない生活を強いられている今
    読み返すと実感できる部分は多かった。
    しかし、新型コロナは戦争ではない。
    戦争と比べてはいけない気がした。

    全てを読み比べているわけではないが、
    改訂版として追加になっている部分の
    多くは戦況についてのやりとりで、
    もっと詳細に描かれている。

    カナダは戦場になることはなかったが、
    家族や親しい人々を離れた戦地に送り出し、
    新聞などで戦況を知っては気持ちを
    浮き沈みさせる日々。
    その一方で、戦争のさなかにあっても、
    日々の暮らしの中にささやかなおかしみや
    笑いもあるということを個性豊かな登場人物を
    通してユーモアたっぷりに描いている。
    そして誰もが心労を抱えながら、気持ちを
    奮い立たせて日々の暮らしを守ろうとする。
    その言葉や行動は勇敢で力強く、読んでいて
    心底励まされる思いだった。

    10代のリラが精神的に成長してゆく様は
    実に頼もしい。
    辛い思いをしただけの価値があると言って、
    その日々を面白いことがぎっしり詰まっている日々と
    取り替えたいようとは思わないとキッパリ断言するリラ。
    それは人生の真理だ。

    昔から一番好きなシーンは決まっている。
    リラが戦死したウォルターの手紙をユナに手渡すところ。
    何度繰り返し読んでもそれは変わらない。

    『「ありがとう」ユナはこれだけしか言わなかったが、
    その声を聞いてリラは自分のささやかな犠牲が
    報われたことを感じた。』

    込められている深い意味、言い尽くせない多くの感情で
    重たくなっているにもかかわらず、どこか軽やかで
    清々しいこの一文はしなやかな名文だと思う。

    リラの目を通して描かれている本作だが、
    私はアンの目線で描かれた物語も読んでみたい。
    年齢も50代となったアンは今の私と同年代。
    感受性の豊かなアンが母として、一人の女性として
    どんなことを思いながら戦時下の日々を過ごしたのか
    知りたくなった。

    戦争から帰還したジェムは言う。
    「古い精神を追い出すだけでは足りない
    ー 新しい精神を導入しなくてはならないのだよ」
    まさしく今に通じる言葉だと思う。

  • 子供嫌いなリラが一生懸命子供の世話をしている姿に感動した。

  • 2010.4
    アンがアンではなく「ブライス夫人」になってしまい、ちょっとさびしい。WWⅡほどWWⅠの記憶(知識)がなかったので、世界史の本を久しぶりにひっくり返してみる。戦争の政治的な話が多くて、少しつまらない。カナダが参戦していたことを、昔歴史で勉強した時は知らなかったっけ。

著者プロフィール

1874年カナダ、プリンス・エドワード島生まれ。1908年に最初の長篇小説『赤毛のアン』を出版。世界的ベストセラーとなる。オンタリオ州に移り住み、その地で数々の作品を執筆した。42年トロントにて逝去。

「2012年 『パットの夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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