異邦人 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 窪田 啓作 
  • 新潮社
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本棚登録 : 8464
レビュー : 1064
  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114018

感想・レビュー・書評

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  • 時代も場所も違うのに、とても共感できて感動した。

    間もなく死刑が執行されて今死ぬことも、どうせ数十年以内に自然に死ぬことも、大差は無いという感覚。生きることの、答えも意味も見いだせない。
    そんな孤独なムルソーの、賢くて冷静で、冷静だから一見冷酷にも見えるけど決して冷酷なんかではなくて、それは無意味に見えるものを意味ありげに捉えないつまり正直なだけで、それどころかむしろ情がある、そんなところに強く惹かれる。
    そんな人間は、この世ではとても生きづらいと思う。
    この世においては、どこへ行こうと異邦人なんだ。

    そしてそれは、時代と場所が変わっても、この世がこの世である限り同じだと思う。

    一番感動したところ。
    「しかし、人生が生きるに値しない、ということは、誰でもが知っている。結局のところ、三十歳で死のうが、七十歳で死のうが、大した違いはない、ということを私は知らないわけではない。・・・略・・・今であろうと、二十年後であろう、死んでゆくのは、同じくこの私なのだ。」

  • 古典文学は、いつもあまりサクサク読み進められなくて、行き詰まってしまうことが多々。
    一ヶ月くらいかかってしまうこともあるけれど。

    人殺しを太陽のせいにしたことで、この小説は有名だけれど、わたしの中には、それだけの印象が残らなかったような。

    個人的には、サラマノ老人と犬とのやりとりが、すごく好き。

  • 主人公ムルソーは
    親の葬儀で悲しみを見せず
    次の日から休みをとって海で泳ぎ、女と付き合い始め、映画を観て
    連んでいた仲間の女関係に巻き込まれ殺人を犯す

    自分ではその瞬間感じたまま正しく振舞っているのにも関わらず
    起きてしまった過去や、自分の行動で未来を変えることに無関心なあまり
    常識では理解されないムルソーに
    裁判所は死刑を宣告する

    自分はまともに生きてるつもりなのに周りから誤解される
    むしろ他人に理解されることなどあり得ないし、望んでもいない
    そんなスタンスの主人公に、共感する人が多いのでは。

    殺人の動機が「太陽のせい」なんて、意味不明
    でも意味不明なところに、人間性を感じる

    死刑を前に神の道へ進ませようとする司祭と、それを拒むムルソーの論争、
    そして最後に全てが爆発したような、ムルソーの叫びに、震えた。

  •  まったく読書感想文ほど子どもにとっていまいましい宿題はない。
     読みたくもない本を読まされ、作文用紙5枚分の感想を書けという。2000字である。感想なんてともすれば「つまらなかった」「おもしろかった」の7字で終わりそうなものを、あと1993文字も延ばせというのは苦痛以外の何物でもない。
     あろうことか読書感想文にはコンクールまである。感想に優劣をつけるだけでも理解に苦しむが、このコンクールは作品にまで文句をつけてくる。高校生のときに芥川龍之介の『芋粥』で感想を書いたら、先生に「感想文自体は素晴らしい出来だが読んだ作品が小学生レベルなので全国には出せない」などと言われた。
     出さなくて結構である。『芋粥』の何が悪いのだろう。短編だからなのだろうか。本は長ければ長いほど精神的に成熟しているということなのだろうか。だとしたら読書は滝行のごとき耐え忍ぶ苦行である。コンクールは子どもに本と親しんでもらいたいという狙いから生まれたのだろうが、これでは逆効果でしかない。

     ところが不思議なことに、大人になると本の感想を書きたくなる。自由だからだろう。書くことを強制されるわけでもないし、書く長さも自由だ。そして、書く内容も自由なのだ。そもそも先生にじっくり読まれる感想なんて、思いのままに書けるわけがなかろう。

     さて、カミュ『異邦人』は、中高生の読書感想文にちょうどいい長さの小説だ。新潮文庫の100冊にも毎年入っているし、古本屋でも見つけやすい。今年の夏も、この本を手にとって読書感想文を書こうとしている学生が全国のどこかにはいると思う。
     しかし、内容の面から言うと、非常に書きにくい作品だと思う。主人公ムルソーは母の死にも涙せず、葬儀の翌日女と海水浴や映画へ行き、お日柄がよいので人を殺したりする。そんな彼は明らかに常識から外れている。外れてはいるが、どういうわけか、理解できなくはない。彼の気持ちがなんとなく「分かる」気がするのだ。自分の中にも、ムルソーと同じ部分が何かしらあるのではないかと思って、困惑してしまう。実際、親が死んでも、毎日の生活はたいして変わらないのだろう。
     が、それを読書感想文に書くのはたぶんやめておいたほうがいい。「今日母が死んでしまったとしても、私もきっと明日はカラオケに行くと思います」などと書こうものなら、先生にどんな目で見られるか分からない。
     ここは一つ、「ムルソーは怖いです。太陽のせいで人を殺すなんてひどいと思います」とか、子どもらしい無難な感想を書いておけばいいのだ。

     そう。
     そういう行為が、ムルソーのような人を、異邦人たらしめるのです。

     私は年をとったので、感想文に難癖をつける先生はもういなくなりました。
     大人って、いいよね。

  • 自分にとっての普通…普通に生きるってどういうことだろう。
    他人の気持ちなんて、目に見えないし、同情はできるけど、それは無責任な感情でしかない。
    人が人を裁くなんて、難しすぎる。

  • 「不条理」を描いた小説だと聞いていたので、主人公は理解不能な考え方をする人なんだろうか…と思っていたけれど、そうではなかった。彼は至極まともで、現実にまっすぐ目を向けている。

    不条理とは、例えば「重大な死に遭遇した時に泣かないのは、残忍な人間のすることである」というような固定観念(世界)と、自分の理性が対峙した時に生じる不合理性なのだと言う。
    どうやら「不条理」とは異常な状態ではなく、私たちの世界が普段から抱えているものらしい。
    情報技術の発達やグローバル化などで固定観念への疑いが強まっている現代、なんとなく皆が抱えている齟齬こそがが、不条理そのものだったんだろうか。

    世界=固定観念、だと飛躍なのかな。

  • 「何の希望ももたず、完全に死んでゆくと考えながら、生きているのですか?」「そうです」このシーンに不条理を感じ、ラストに繋がる。不条理の認識を追求した作品ゆえに論理的には理解しづらい主人公。深い。

  • 薄い方の本なのに、ページは文字がぎっしり、物語は淡々と進みます。背徳的な人生観と死をからめた作品でした。
    私には、難しかった。意外と読み終わるまでに時間位がかかりました。再度、読み込む必要ありです。

  • 現代ならもっとこの男の感覚はわかってもらえるべきと思ったがここを見る限りそうでもなさそうだ

  • 漠然と読みにくいのだろうなと思って読み始めましたが、意外と読みやすかったという印象の一冊です。
    途中で止めたくなることもなくさらっと読み終わりました。
    ただ、理解できたのかと問われると「…」という感じ。
    母親が死んでも悲しまず、次の日に彼女と出掛けるという行動も、太陽がまぶしかったから人を殺す心理も、死刑判決を受けても幸福と言い切っているのも、全てが良く分からなかった、、というのが正直なところです。
    祖母には、もう少し年齢を重ねればとらえ方にも変化があるわよと言われましたが…
    再読する気になったらしますが、今はまだいいかなという感じです。

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