異邦人 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 窪田 啓作 
  • 新潮社
3.67
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本棚登録 : 8462
レビュー : 1064
  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114018

感想・レビュー・書評

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  • 『太陽のせい』で人を殺したというムルソー。感情が乏しく(と周囲にとらえられる)、母の死に悲しんでいないという理由が印象を悪くして死刑を宣告される。

    今から70年も前の戦前の作品だが、こういった人間は、現代に増えているのではないだろうか。今なら決して【異邦人】ではないだろう。ニュースでも見かける。

    『こうあるべき』『普通はこうだ』というが主流だった時代にはセンセーショナルな内容だとは思うが、今読み返すと、『こういう人もいる』って言う話に見えなくもない。神を信じない。太陽や海や空に流されて生きている。気分、だ。

  • 「何の希望ももたず、完全に死んでゆくと考えながら、生きているのですか?」「そうです」このシーンに不条理を感じ、ラストに繋がる。不条理の認識を追求した作品ゆえに論理的には理解しづらい主人公。深い。

  • 薄い方の本なのに、ページは文字がぎっしり、物語は淡々と進みます。背徳的な人生観と死をからめた作品でした。
    私には、難しかった。意外と読み終わるまでに時間位がかかりました。再度、読み込む必要ありです。

  • 言わずとしれた名作ですが、今まできちんと読んだことがなかったので
    手にとってみました。

    主人公は一風変わった人かもしれませんが、彼の中で矛盾した行動は起こしておらず
    突然発狂して意味のない行動をとっているわけではありません。
    共感まではしないまでも、彼の行動を周囲が理解しないことへの
    ざわざわした気持ち、展開への不安などを抱えてざらついた気持ちで読むことの
    ある意味での心地よさを感じます。

    周りの人とわかり合えない。価値観が違う。
    外国に一人で済むような状況に関わらず、疎外感を感じる事はあるわけです。
    そしてまた周囲の人がある人を異端だと感じることは、些細な違いの積み重ねでもあります。
    それが不の方向へ働いて連鎖していけば、いつの間にか世間が動き
    自分を敵視したり無関心になったりするわけで、
    もちろん殺人を犯すことまではそうそうないとしても
    これが特別なことではなく誰の身にも起こり得るという空恐ろしさも感じます。

    本当なら、人が死んだからと言って泣くばかりが悲しみ方ではないし、
    悲しむばかりが送り方でもないはずです。
    泣くべき、コーヒーも飲まずに悲しむべきというのは、偏見に過ぎません。

    無関心とは、孤独とは、幸福とはなにかと考えてしまいます。

  • 異邦人という邦題が流通しているが、なんとなくフランス語の方がわかりやすい。
    どのような共同体にも変わった人はいる。主人公は狂人とまではいかないが、社会的なルールの忠実な僕とは言えない。そんなストレンジャーが多数者によって作られたシステムではいかに不利になるか、そしてストレンジャーはどう立ち向かうかという話であると感じた。

  • 主人公に罪があるのは間違いない。だけど個人の価値観が社会の価値観と一致しないからといってこの世から排するのは何か違う。多様な価値観・考え方が認めれる社会を望むが、最低限のルールや共通認識はあった方がいいと思う。そこに何を置くのかが一番の問題なのか。「これ」といって決めたら価値観の押しつけになるし。難しい。

  • 「通常の論理的な一貫性が失われている」と背表紙のあらすじには書かれているが、「通常」をこの男ムルソーに当てはめること自体がそもそもナンセンスなのだと思う。
    一貫性はある。彼は至ってまともだ。
    「母の死」は「母の死」でありそれ以上の意味を持たない。
    「震災」は「震災」であり、決して「神が人間に与えた試練」などではないのと同じだ。
    そこに無理やり意味を持たせることの無意味さ。
    それこそがこの本の持つ「意味」だろう。
    言葉は記号に過ぎず、理屈は所詮後付けの論理だ。
    この世界の全てのことに意味づけができるわけがない。
    「なんとなく」としか言いようがないことが、日常の中にはいくらでもある。
    「太陽のせい」とはまた絶妙な言い回しだと思う。

  • 主人公のムルソーの行動には一切の理性的な理解をすることはできないが、虚無的とも言えるものごとの捉え方にはわずかながらも共感を感じることができた。

    印象的な文中の表現は、母親の遺体が安置された部屋で、屋根部分に設置された窓格子に羽虫がぶつかり続ける描写である。なにをかも暗示させてはいないが、表現として非常に心に引っかかりを感じた。

  • 主人公は論理的一貫性がない。
    母の死に涙も見せず、翌日から女と海で遊び、映画を見て、友人の女性関係に引きずり込まれて人を殺す。
    その理由は「太陽のせい」と弁解する。


    だけども、なぜかとても人間らしさを主人公に感じた。
    時として人は自分がしていることを遠くで誰かがしていることのように感じるものなのかな。

  • あまりにも有名なので、内容は知っていても初読。
    最初の方を読んでいる時の印象が、「太陽の季節」か「狂った果実」
    アルジェの太陽が、太陽族を彷彿とさせたようです。
    享楽的な彼らとムルソーは、また少し違うようだけと。

    自分に正直なムルソーには、共感するところもあり、否定的なところもあり。
    臨場感が乏しいというか、一歩引いた感は、「限りなく透明に近いブルー」に似てる印象。

    読む前に思っていた不条理とは、少し違った。やっぱりあらすじとは違いますね。

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