最初の人間 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 大久保 敏彦 
  • 新潮社
3.71
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本棚登録 : 218
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114117

作品紹介・あらすじ

戦後最年少でノーベル文学賞を受賞したカミュは1960年、突然の交通事故により46歳で世を去った。友人の運転していた車が引き起こした不可解な事故の現場には愛用の革鞄が残されていた。中からは筆跡も生々しい大学ノート。そこに記されていたのは50年代半ばから構想され、ついに未完に終わった自伝的小説だった-。綿密な原稿の精査によって甦った天才の遺作。補遺、注を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 一語ずつ、一文ずつ足止めをくらうような文体や、場面ごとに切り取られた記憶の描写で、まるで、知らない人の古いアルバムをめくっていくような気分になる本。
    とても静かな物語です。

    「最初の人間」ゆえの孤独感、過酷な環境ですり減らされた生活が、あまりにも淡々と書かれていて、読んでいるうちに、それが辛いのか何なのか分からなくなってきます。
    一方で、カミュが、故郷や家族を遠く離れたものと見ていることが感じられて、拠り所のない不安を掻き立てられます。

    読み終えて、私は「最初の人間」ではないな、と思いました。

  • 未完の遺作だけれども感銘深い。フランスとアルジェリア地中海をはさんだ地勢的歴史的興味が湧く。

  • カミュ!
    カミュは僕のヒーロー
    シーシュポスの神話が僕の根っこにはさまって未だに抜けてない。「最も重要な哲学的問いは自殺についてだ、つまり、生きるべきかそうでないか、それ以外の問いは全部、その後に問う問題だ、と。そして、生の不条理へ唯一抗う方法は、死ではなく、不条理から目を逸らさず離さず生きること」と!
    サルトルとの論争だって僕はカミュの側にたつ
    正義のための暴力とやらには抗うんだと。
    そういえばここは、ルネ・ジラールとも似てる。暴力の反復から逸脱するために死ぬことを恐れるな、と。キリストは罪を贖ってはりつけられたんではなく、まさにその暴力の反復を止めるために暴力を一身に背負ってはりつけられたんだ、と。
    非暴力、不服従こそが反抗だ、という人達には心底痺れる。
    変な話だけど、今の日本国憲法にはそれがあって良い。

    でも、晩年のカミュは辛い
    今のメンタル、フィジカルでこの本は耐えきれません

  • 2011.2.15 読了

  • ○十年ぶりのカミュ作品。まさかの新刊行……昨年じゃん、映画公開もされてたのね。全然気づかなかったわ。
    うん、まぁ、未完も蜜柑、幼少年時代しか描かれていないも同然だものね、このあとの展開が本題だものね、どうやらきびしい内容っぽい……もんね。そんななか、叔父さんとのシーンが微笑ましくてとてもいい。

    小説そのものより、作家カミュがどんなふうに物語を紡いでいくのか、その過程が分るところが興味深い。思ったより行き当たりばったり!? 
    これまで、著者の生い立ちは気にも留めていなかったが(笑)、『異邦人』をはじめ、カミュ作品にフランスらしからぬ暑さと砂埃がつねに漂っている理由がようやく理解できた。

  • ノーベル賞受賞者の、自伝的小説にして遺作。
    ジャン・ダニエルいわく「初めてカミュの作品に近づく者から相談を受けたら躊躇なく『最初の人間』を初めに読むよう勧めるだろう。」だそうな。
    推敲され尽くされているとはいえない作品ではあったが、一見散漫な物語の各所に、心理状況や情景を見事に描写している部分が多く、引き込まれる。個人的には序盤の、ジャックの父親が戦争で亡くなる場面の描写が最高に好き。
    フランス領ではありながらフランス本国ではないアルジェリアに住むフランス人が、フランスの信念をどうイメージしたか、フランスの戦争をどう受け止めたか、という描写を通じ、移民の人々がどう生きたかを想像することができた。

  • 完成された作品ではないが、カミュのエッセンスとも思える、生きることへの欲望、世界の美しさが散りばめられている。カミュの書くアルジェの描写は懐かしさ、怠惰さ、暑さがアルジェなんて行ったこともない日本人の私にもノスタルジーを感じさせる。

  • カミュの自伝的小説。
    実はカミュを読むのは初めてだったんだけど、想像と違って読みやすかった。訳者の方が良いのかもしれない。

  • 映画『最初の人間』公式サイト
    http://www.zaziefilms.com/ningen/

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    「戦後最年少でノーベル文学賞を受賞したカミュは1960年、突然の交通事故により46歳で世を去った。友人が運転していた車が引き起こした不可解な事故の現場には、愛用の革鞄が残されていた。中からは筆跡も生々しい大学ノートが。そこに記されていたのは、50年代半ばから構想され、ついに未完に終わった自伝的小説だった――。綿密な原稿閲読によって甦った天才の遺作。補遺、注を付す。 」

  • 最初の人間だからこそ。

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