居酒屋 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 古賀 照一 
  • 新潮社
3.73
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本棚登録 : 591
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (740ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102116036

感想・レビュー・書評

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  •  おもしろくはない。少なくとも、これまで読んだ小説の中で一番おもしろくなかったでしょう。

     この小説では、現実をそのまま書き表しただけのもので、登場人物を通して会話の中に思想が表れるわけでも、思想がみられるような段落がでてくるわけでもありません。ただ一人の洗濯女の生涯が、淡淡と書かれているのです。 自然主義文学らしく、一昔前のニュース番組と同様におもしろくはないのです。

     タイトルがなぜ居酒屋なのか、今の私にはわかりません。酒の力によって、真人間が堕落しきっていく様子は恐怖でした。読後は、酒の字がタイトルに入っていることに安心しました。おそらく、居酒屋をただの場所と捉えなければ適切なタイトルなのでしょう。
     この小説では人物よりも酒の力のほうが大きく、明らかに登場人物よりも全面にでていました。


     おもしろくありませんでしたが、心がゆさぶられた場面はいくつかあります。その中でも、私が最も揺さぶられたのは、酒飲みの父親が暴力によって、母を死に至らしめ、ついで娘をも死に追い込んでしまうことです。娘は、この世に苦しみを味わうためだけに生まれたようなものでしょう。母がなくなってから母代わりとして生きてきた娘が虐待されていく記述には、心を痛めました。
     私が最も心に感じ入った場面は次の場面です。

    p658
     すると娘は静かに言った。
    「起きられないのよ、わかる?・・・・・・死にそうなのよ」

    2009.02.02. 23:35 寝床にて読了

  • ソ-1-3 古賀照一訳

  • 貧困という病

  • 4に近い3。最後の爺さんの呟きに鳥肌が立った。
    冗長で前半はひどく疲れた。が、後半ジェルヴェーズ夫妻の転落が始まってからは面白かった。いや、面白かったというのは語弊があるかな。読んでるときの大半は「胸糞わりー」「ふざけんな」みたいに憤慨しながらだったし。しかし、そういう怒りだとか悲しみみたいなネガティブな感情であっても、作者が意図したように揺さぶられて自然に出てくるってのなら、その話は良作といって差し支えないはず。なので面白かった。女を殴ったり虐げまくりで、マジでやめろやって感じだったけど。

    まあそれも当時のパリの世相を反映してのことなんだろうな。裕福な市民の視点から乞食の視点に至るまで、多角的に社会を見せてるのもなんかすげーなと思ったわ。
    つか貧困具合が半端じゃないな。長塚節の土が今まで読んだので一番酷いかなと思ってたけど、余裕で凌駕するえげつなさだわ。破滅的。陰鬱。
    まとめれば慣れが感覚を狂わせて破滅に導くって話だった。すごい警句めいたものを感じる。私生活落ち着いたばかりってだけにね。ぬるい考え、ぬるい生活に耽溺して過ごすことは絶対に避けねば!と思った。

  • 「慣れ」って怖い☆

  • 途中まで読んでとまってる

  • ドレフュス事件の「私は弾劾する」のゾラの代表作。
    とりあえずながーーーい。
    居酒屋は酔っ払わせ機械さ

  •  状況によって作り出された悪女・ナナを理解するには、彼女が生まれ育った環境を知っておく必要があるだろう。『居酒屋』のジェルヴェーズが、ナナを産んだ女だ。その惨めさは徹底している。ランチエを寝取られ、クーポーからは虐待を受け、事業にも失敗。戻ってきたランチエに誘惑されれば抗えず。対照的にナナは男を手玉にとるのだから、表面上は極端に違う道を歩むのであるが、母娘とも異常に周囲に流されやすい点で共通している。

     飲んだくれのクーポーが暴力をふるっても、ジェルヴェーズはいいようにやられっぱなし。その母に八つ当たりされ、ひっぱたかれながら成長したのがナナなのである。彼女も男に殴られるままに殴られっぱなした経験を持つ。どちらも自分から男に別れを持ち出そうとはしない。変なところで遺伝が見つかる。

     ジェルヴェーズの場合、さすが母親と言うべきか、堕落の血はさらに色濃いようで、分かりやすくまっさかさま。あまりにも意志が萎え切ってしまい、ほとんど抵抗も見せずに奈落の底を目指す。

  • 個人的に、かなり面白かったです。娘が主人公の『ナナ』と読み比べると良い。

ゾラの作品

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