居酒屋 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 古賀 照一 
  • 新潮社
3.73
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本棚登録 : 595
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (740ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102116036

感想・レビュー・書評

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  • 一言。素晴らしい♪そして。只管陰鬱にさせる小説ナンバーワン

    19世紀仏蘭西の時代感がドブに咲く花の様に鮮やかに
    残酷に描かれていた。

    遣る瀬無い位のリアルさに、胸はむかつくが
    先を読まずにはいられない負の快楽に浸った。

  • 友達から「『居酒屋』読んだ?もう読んだ?」とせかされるのでむきになって読みました。
    今年一番影響を受けた本になるかもしれない。ゾラ天才すぎる…!

  • 描写が滑稽さを生んでいる。
    とりわけ博物館を訪れるシーンが好きだった。

  • 居酒屋ではナナのお母さんが主人公です。居酒屋の物語の中でナナが生まれますが、まあ貧困ってこういうことなのねとやるせなさでいっぱいになる作品です。重たい、考えさせられる作品を読みたい方にはオススメです。ゾラの作品は作り込まれた物語としてではなく当時の時代背景を知るためのもののような気がします。19世紀フランスの汚い場末の街で貧困と共に生きる人々がが鮮明に描かれております。

  • ページを捲る手が止まらなくなる程に面白かった!
    人間を描ききるとはこういう事。
    たった一つの行為の中に相反する様々な心理がうごめいている。
    思いやりから出た行為の裏に見栄があるように。
    対照的に、フローベールがつまらないのは
    偏った側面からしか人間を描けていないから

    2012-04-06 Twitterより

  • 作者であるゾラは自然主義文学の祖であるということで、無味乾燥でなんの味もしない胸糞悪い小説を予想していたのだが、まったくそんなことはなかった。むしろ、なんてヒューマニズムに溢れた小説なんだろうと思った。こんなに人間心理に深く切り込んでいる人が、人間を愛していないわけがない。
    簡単にいえば、一人の女性の若くしての成功から悲惨な最後までの、人生の転落を描く物語である。粗筋はそれ以上でも以下でもない。
    だが、その緻密に描かれた十九世紀パリの風景、そして登場人物の造形が、まるで自分が物語の場に居合わせているかのような臨場感を醸し出す。程度の差こそあれ、舞台を現代日本に変えても通用しそうな普遍性がある。なぜなら、軸となるのは貧困、怠惰、そして他人への悪意といった、現実の社会には必ずあるものだからだ。生きる上で避けては通れないこれらの人間の陰の部分を、わかりやすいシンプルな形で描き出そうとした作者の情熱には尊敬の念がいくらあっても足りない。
    自分は、小説にありがちな「なんだかよくわからないけどすごいものを見せられた感じ」に常々疑問を持っていたので、このように徹頭徹尾目に見えるもの、身近にある確かなもので構成するこの手法には大賛成だ。
    ・・・まあ、こんなこと書くと百戦錬磨の老獪な小説読みの方には「若いねー」とか言われるんじゃないかとちょっとヒヤヒヤするけど

    文章も非常に読みやすい。作者が入念にプロットを立てて、全て計算して書きあげたのがよくわかるよく。文章がよく整理されている。
    章立てもきっちりしている。各々の章にプロットポイントを振り分け、ある程度独立したエピソードとして作ってある。なので七百ページというアホみたいなボリュームなのに、読み進める内に頭の中でストーリーが空中分解することはまずない・・・と思う。

    もうちょっと早い時期に出会えていたら! ナナの方も時間を見つけて読むぞ!

  • 再読。これまでエミール・ゾラは数編読んできたが、『居酒屋』『ナナ』を読んだのは中学生の頃で、当時はよく味わえなかったのではないかと思う。
    1877年、フランス自然主義文学の筆頭にあがるこの小説は、執拗なディテールの描写を重ねながら、パリ下層階級「プロレタリアート」の悲惨な人生を彫りだしていく。ゾラ自身がパリに出てきた頃相当に貧乏だったようで、こうした生活光景は見慣れたものだったのかもしれない。
    冒頭、共同洗濯場で繰り広げられる若い女性同士の壮絶な喧嘩が印象的だが、このへんを新聞連載で読んだ当時の読者たちがブーイングを浴びせたのだろう。
    「洗濯女」の主人公ジェルヴェーズはいきなり子ども連れのまま男に捨てられるが、やがて善良な別の男と結婚、自分の店を構えることも出来て、夢が叶い、つかの間幸福な生活を送る。しかしその後は延々と、幸福が崩壊していく過程であり、作者のまなざしは容赦がない。
    不幸のきっかけはまずは夫の飲酒と怠惰(無為)、そして彼女の食欲と性欲であるようだ。
    しまいには食うものがなくて街路のゴミ箱を漁るまでに至るが、娘(のちの『ナナ』の主人公)は出て行って踊ったり異性と遊んだりという生活に身を投じ、夫はアルコールまみれで錯乱して死ぬ。
    読んでいてやりきれないこの「落下」の記録は、意地の悪い親戚や近所の連中のまなざしがあまりにも浮薄で冷酷なこともあって悲惨である。
    ついでに、主人公の近所で、亡くなった母親の代わりに年少の弟妹を育てながら懸命に家事をする少女のエピソードがあるが、ここでも父親は飲んだくれで、しかも鞭で毎晩娘を痛めつける。完全に児童虐待の例だが、これなんかはいまの日本でもよく聞く話だろう。
    悲惨へとまっしぐらに落ちていく生命のあわれさを冷徹に描いた、ディテールが固められているだけに極めてリアリスティックな文学の名作で、印象はたいへん深い。
    私などは経済的には貧困というほどではないが、心理的な意味で、この「墜落するだけの人生」の感じに共感が強かった。それは凄まじい物音を伴って結末へと走る弾丸のようだ。
    ついでに『ナナ』も読み返してみるか? しかしもっと辛くなってしまうだろうか。

  • 壮絶な生活描写。人間も、貧乏も、お酒も、こわい。人は、欲があるから迷うのか。特に食欲。

  • ささやかな幸せを夢見た下層労働階級の人々の見事なまでの転落人生。
    貧乏が人を堕落させていくのか。堕落が人を貧乏にさせていくのか。

    やはり僕の中で、「金がなくても幸せ」なんて生温かい価値観なんて持てない。それどころか、どんな幸せな人々でも金がなくなれば簡単に不幸になれると思う。

    それにしても、酒が人を転落させていくことは間違いないかも。
    自分の周りを見ても浴びるほど酒を飲んでる人はやっぱりダメな方向に行ってる気がする。お酒はほどほどに。

  • 居酒屋
    19世紀のパリの労働者たちのリアルな描写。主人公の誕生日の祝いにご馳走を食べるシーンは圧巻。食べるは飲むわで奴らの胃袋は底なしか穴が開いているかと思うくらい。主人公の夫もアル中になりながらも死ぬまでが長い。主人公はいるが、本当の主人公は〈居酒屋〉だろう。主人公である も最後は〈居酒屋〉で酒を飲むようになり、最後は気が狂って死んでしまう。悲惨な話だがフロベールのような冷たさやモーパッサンのようなペシミズムもない。バルザックのような暖かさがある。続編「ナナ」の主人公であるナナが興味深い。父親を堕落させるきっかけを作ったし、母親の破滅のトドメを差した。英才教育を受けたジュリエットの上をいくのかもしれない。成長したナナが楽しみだ。

ゾラの作品

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