ナナ (新潮文庫)

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感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (716ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102116043

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  • 高等娼婦ナナの物語。美貌と豊満な肉体、それでいて、気まぐれ。貴族や地主、銀行家までも、まるで交通事故のように、なすすべなく巻き込まれていきます。男も女も、堕ちていく人は、美しい。

  • 悪女ものは数多くあるが、ナナを越える悪女を知らない。
    彼女は悪いことをする気が全くない。悪意のない人間に騙されないようにするなんてことはできない。自然災害のような女性。

  • 再読。たぶん人生で3回目に読んだ。
    『居酒屋』から3年後の1880年に書かれた作品だが、どうも『居酒屋』とはちょっと書き方が違うような気がする。『居酒屋』はバルザックばりの、怒濤のような物質的なディティールの書き込みが圧巻だったが、『ナナ』の方は人物が多く物語の進展もスピーディーなこともあり、より読みやすくなっている。
    冒頭の、劇場でオペラ?にナナが登場し、演技も歌も下手なのに、ただ性的魅力だけで客を圧倒し、フェロモンを爆発的にパリ市民に降り注ぐ場面が素晴らしい。ただし、この最初の場面で若者2人が、劇場に来ている様々な人物を名指し寸評したりするところは、固有名詞が一気に大量に並列されるのが辟易させられるが、ここで出てくる人物たちは重要なので、初めて読む人は簡単なメモでもいいから、登場人物表を作っておいた方がいいかもしれない。
    『居酒屋』は徹底してパリ下層社会を描写していたが、ジェルヴェーズの娘ナナをえがく本作には新聞記者、役者から伯爵、侯爵といった貴族連中まで出てくる。
    ナナは「高級娼婦」ということだが、要するに美貌を利用して社交界に出入りする紳士たちを籠絡する。それでうまいこと金を手に入れるのだが、必ずしも金目当てというわけでもなく、貧しい時期もある。
    ナナはあくどい女としては書かれていない。単に気まぐれで浮気っぽいだけで、むしろ純情なところもあり、この小説全体が、彼女の魅力的な造型によって成功している。
    彼女の一族が苦汁を飲まされた「社会」に対し、ナナは社会を性的手法で攪乱し、破壊することをとおして「復讐」しているのだ、という考えが、作者自身によって漏らされている。
    ただこの「復讐」は、現象としてそういう結果になっているだけであり、ナナ自身は素朴な気ままさで生きているだけだ。
    最後に天然痘により、自慢の顔をただれさせて死ぬナナの描写は、かなりグロテスクで気味が悪い。
    この「腐敗」は社会を震撼させる「性」そのものをかたっているのだろう。
    印象深く、かつ読んでいておもしろい傑作。

  • まるで濃縮還元のオレンジジュースを飲んだような感じ。むせかえるような香水と化粧の匂いと目が眩むばかりの黄金と宝石の輝きと金貨の流れ落ちる音。
    貴族や地主や銀行家を骨までしゃぶり破滅させるヴィーナス。麻薬のように脳をとろけさせ骨の髓を蝕む淫婦ナナ。ジェットコースターのように登って堕ちて登りつめて墜落した。その最後はあまりにもおぞましかった。

  • 『居酒屋』でナナが、母親と浮気相手のセックスを盗み見るシーンがあるが、あれはこの作品への伏線だったのかと思い、なるほど合点。
    序盤で登場人物が一気に出てくるので、それをしっかり把握しておかないと、途中で誰が誰だかわからなくなる。実際、前半をある程度読んで、何日か経ってから続きを読んだら意味不明で、最初から読み直す破目に陥った。
    たしか当時の新聞に一章ずつ掲載された作品だと聞いた憶えがある。そのせいか、文庫で一気に読み通すにあたっては、物語の構成にいささかのぎこちなさを感じた。
    破滅を招くとわかっていても(わかっていなくても)、人間が甘い蜜に食らいつくのは、古今東西変わらないんだなあと思った。

  • <肉体は財産にして最大の武器。安っぽささえ価値のうち!>


     一度味わったら忘れられない、悪徳はびこるゾラの作品★ 卑しい洗濯屋の娘から女優へ、高級娼婦へと、肉体の魅力を武器にのし上がっていったナナの生涯を書き綴っています。凄まじい!

     舞台に登ればたちまち紳士たちを虜に。今日もナナを呼ぶ声がこだまする。人々はナナを求める。聖女ではなく悪女の名を唱え、痺れてひれ伏す! ゾラの書き方も勢いづいていて、フランスの風俗を引きずりえぐり、ある意味で品がないまでの迫力、とりわけ群集の描写が圧巻です☆

     ところが、舞台では一気に観客の関心をさらった堂々たる美人が、別の場面では一人の男を失いたくないばかりに、なすがまま……。そんな時、濃密な生き方とは裏腹に、案外ナナは個性が薄い女だとも感じます。
     ナナその人にキャラクター臭はないけど、状況が彼女を娼婦にした。そこにこそ、あらゆる年齢、階級の男を殺すことのできる理由がひそんでいる☆ ナナは、相手の欲望を鏡のように映し出して変貌する女なのです。

     そんなわけで(?)伯爵の愛人となったナナは、お次は大金持ちの膝もガクガク言わせるほどの、とてつもない浪費癖を発揮。金を金とも思わずに使い倒しながら、謎の輝きを巻き散らします★
     浪費というのは強烈なエネルギーの大放流であると同時に、実はこれも個性のない行為だと思うんですよ……。しかし、軽薄さでさえ魅力のうち。ナナに誘惑された男の人生は、徹底的に破滅します!

     実は同性もくらくら来ていると見ましたね。「何さ、あんな女!」と言いながらも自分にはできない大胆な生き方に揺さぶられるのでしょう。軽蔑の視線の裏には羨望がひそんでいる。みんな、ナナがかっこよくて妬ましくて、きーきー言ってたんですよ。悪女倶楽部万歳~!!
     ただ、作品の狙いは明らかに悪女賛美ではないですね★ 作家ゾラは、人間がどうやったらどこまで堕ちてゆくのか、負の可能性を研究していたのでしょう。

  • 世界史の授業に出てきて。

  • 面白いけ長い。

  • 文学

  • 薄めのコーンポタージュ、クルトン多め。

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