ナナ (新潮文庫)

著者 :
制作 : 川口 篤  古賀 照一 
  • 新潮社
3.34
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本棚登録 : 408
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (716ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102116043

感想・レビュー・書評

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  • 再読。たぶん人生で3回目に読んだ。
    『居酒屋』から3年後の1880年に書かれた作品だが、どうも『居酒屋』とはちょっと書き方が違うような気がする。『居酒屋』はバルザックばりの、怒濤のような物質的なディティールの書き込みが圧巻だったが、『ナナ』の方は人物が多く物語の進展もスピーディーなこともあり、より読みやすくなっている。
    冒頭の、劇場でオペラ?にナナが登場し、演技も歌も下手なのに、ただ性的魅力だけで客を圧倒し、フェロモンを爆発的にパリ市民に降り注ぐ場面が素晴らしい。ただし、この最初の場面で若者2人が、劇場に来ている様々な人物を名指し寸評したりするところは、固有名詞が一気に大量に並列されるのが辟易させられるが、ここで出てくる人物たちは重要なので、初めて読む人は簡単なメモでもいいから、登場人物表を作っておいた方がいいかもしれない。
    『居酒屋』は徹底してパリ下層社会を描写していたが、ジェルヴェーズの娘ナナをえがく本作には新聞記者、役者から伯爵、侯爵といった貴族連中まで出てくる。
    ナナは「高級娼婦」ということだが、要するに美貌を利用して社交界に出入りする紳士たちを籠絡する。それでうまいこと金を手に入れるのだが、必ずしも金目当てというわけでもなく、貧しい時期もある。
    ナナはあくどい女としては書かれていない。単に気まぐれで浮気っぽいだけで、むしろ純情なところもあり、この小説全体が、彼女の魅力的な造型によって成功している。
    彼女の一族が苦汁を飲まされた「社会」に対し、ナナは社会を性的手法で攪乱し、破壊することをとおして「復讐」しているのだ、という考えが、作者自身によって漏らされている。
    ただこの「復讐」は、現象としてそういう結果になっているだけであり、ナナ自身は素朴な気ままさで生きているだけだ。
    最後に天然痘により、自慢の顔をただれさせて死ぬナナの描写は、かなりグロテスクで気味が悪い。
    この「腐敗」は社会を震撼させる「性」そのものをかたっているのだろう。
    印象深く、かつ読んでいておもしろい傑作。

  • まるで濃縮還元のオレンジジュースを飲んだような感じ。むせかえるような香水と化粧の匂いと目が眩むばかりの黄金と宝石の輝きと金貨の流れ落ちる音。
    貴族や地主や銀行家を骨までしゃぶり破滅させるヴィーナス。麻薬のように脳をとろけさせ骨の髓を蝕む淫婦ナナ。ジェットコースターのように登って堕ちて登りつめて墜落した。その最後はあまりにもおぞましかった。

  • 『居酒屋』でナナが、母親と浮気相手のセックスを盗み見るシーンがあるが、あれはこの作品への伏線だったのかと思い、なるほど合点。
    序盤で登場人物が一気に出てくるので、それをしっかり把握しておかないと、途中で誰が誰だかわからなくなる。実際、前半をある程度読んで、何日か経ってから続きを読んだら意味不明で、最初から読み直す破目に陥った。
    たしか当時の新聞に一章ずつ掲載された作品だと聞いた憶えがある。そのせいか、文庫で一気に読み通すにあたっては、物語の構成にいささかのぎこちなさを感じた。
    破滅を招くとわかっていても(わかっていなくても)、人間が甘い蜜に食らいつくのは、古今東西変わらないんだなあと思った。

  • 『ナナ』は凄まじい。バランスは悪いが勢いで読ませられる。女優にして高級娼婦、肉体の魅力を武器にのし上がっていくナナが強烈だ。
    フランスの風俗を引きずりえぐればど迫力、特に群集の描写は圧巻で、ある意味品がないところなど、ゾラがバルザックの嵐の影響をまともに受けているのが見てとれる。
    そのバルザックと較べてしまうと、ゾラ自体は独創的な作家ではないのかもしれない。息つまるほど濃密な生き方とは裏腹に、ナナは実は個性が薄い女だ。舞台では一気に観客の関心をさらった堂々たる美人が、別の場面では一人の男を失いたくないばかりに、されるがままになる、別人のように。
    ナナその人にキャラクター臭はないが、状況が彼女を娼婦にした。そこにこそ、あらゆる年齢、階級の男を食い殺すことのできる理由がひそんでいる。ナナは、相手の欲望を鏡のように映し出して変貌する女なのだ。

  • 文学

  • 薄めのコーンポタージュ、クルトン多め。

  • 大学の授業で扱ってるので読んだ。最初は退屈だったけど、章が進むにつれて登場人物に愛着がわいてくると、結構一気に読めてしまった。いろんな事件が次々に起こるのでテンポが良い。ただ、訳されたのが50年以上前で、言葉遣いや文章表現に慣れなかった。新訳版が欲しい!

    ナナは現代でいうクズ女みたいなもので、言動や行動もまるで意味がわからない。傍観者的な立場で読むと面白い。

  • 2010.9.25 読了

  • 貧しい家庭の生まれのナナが、女優になり、高級娼婦になり…という物語。ナナの退廃的な色気にぞっこんです。これを読んでから、ジャンルノワール監督のNANA を観るのがオススメです。原作のイメージそのままに、カトリーヌヘスリング演じるナナがハマりすぎてムラムラです。大根役者最高。

  • 資料ID:C0027768
    配架場所:本館2F文庫書架

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