レ・ミゼラブル (1) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1294
感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102117019

感想・レビュー・書評

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  • いやー、最初は内容が追いつかなく、めちゃ時間がかかってしまいました。
    後半、だんだん読みやすくなってきた。けども、最後までがんばれるか心配。

    ジャン・ヴァルジャン、結局また逃げちまったのか。

  • 小説を読んでいて、久しぶりに圧倒された。それが今日の作品ではなく、古典文学であるこの作品であるということは、少し残念ではあるけれど、しかし新しい出会いであることには変わりない。

    これがほんの第一部であるということへの驚きと期待。まだこの作品の世界が広がっているという喜び。そしてそれはある種の絶望的な情緒でもある。

    人間の喜怒哀楽が徹底的に描かれていて、それは読んでいて心地良いというレベルではなく、思わず目を伏せてしまうほどの描写で、それでもページをめくらずにはいられないという、「リアル」と「リアリティ」の紙一重で、読者(「読書家」とはあえて書かない)の倒錯的であるこの快感をひしひしと感じられる。これは小説を読むということの、最上の感動なのではないか。

    これは手放しで「すごい」としか言いようがない。それをいま僕はがんばって言葉にしているのだけれど、この感動、このクオリアはやはり「読まなきゃわからない」という使い古された言葉でしか片付けられない。

    ちなみに下世話な話になるようだけれど、訳は非常に読みやすく、注訳もその場でなされているので、翻訳小説にありがちな弊害はあまりない。あまりないというのは、原文が読めるなら原文がベストだと考えているから、ということであって、ここでは「問題がない」と書くのが適当だと思う。

    なので肩の力を抜いて、余計なことは考えずに(つまり先入観を捨てて)、この本を手に取ってほしい。

    • e-kakasiさん
      素晴らしいレビューですね。でも、道はまだ長いぞ。完走を祈る。
      素晴らしいレビューですね。でも、道はまだ長いぞ。完走を祈る。
      2013/03/01
  • 冒頭のミリエル司教の宗教色の強いくだりが100ページくらいあるけど、そこを越えたあたりから一気に引き込まれます。

    人間心理が描かれる量が尋常じゃない。マドレーヌが葛藤するあたりは特に。
    壮絶なジャン・ヴァルジャン、フォンテーヌの壮絶な人生が描かれてるけど、人間讃歌がテーマのような気がした。読了後は少しでもまっとうでいい人になろうと感じました。

    全五巻でボリュームも相当あるけど、大切に読みます。

  • 【ジャン・バルジャンが聖人に生まれ変わっていく長い旅の始まり】
     物語全体を通して、ジャン・バルジャンが聖人に近づいていく課程が描かれています。1巻では、以下の内容が綴られています。

    ・物語全体を通してバルジャンの目標となるミリエル司教のエピソード
    ・憎しみを持ったバルジャンが「正直者」として生まれ変わる
    ・「正体を明かすべきか否か」正直さとは何か問われる大きな試練

    【理想人としてのミリエル司教】
     冒頭のミリエル司教のエピソードが秀逸でした。ミリエル司教はこの物語で最大の聖人であり、理想的な人物として描かれています。物語全体を通して、ジャン・バルジャンは多くの苦しみ、葛藤を味わい、成長していきますが、常にこのミリエル司教を手本として生きていくことになります。

    【ミリエル司教の優しさはバルジャンを苦しめる】
     ミリエル司教から盗みを働いたバルジャンはすぐに捕まりますが、赦され、釈放されます。そして、「正直な人」になることをミリエル司教に約束させられます。
     この寛大さはバルジャンを苦しめることになります。今まで感じていた憎しみを捨て、正直者/善意の人になることは、「憲兵に捕まって監獄に入った方がよかった」と思うほどに辛いものでした。この苦しみを乗り越え、彼は正直者として生まれ変わり、新たな人生が始まります。

    【工場主、市長として街の発展に尽くす】
     バルジャンはミリエル司教との約束「正直な人」になるため、正しく生きることを選びます。彼の興した工場のおかげで街は発展し、得られた富を貧しい人に分け与え、皆豊かになっていきます。バルジャン自身も人格を磨き、ミリエル司教のような聖人に近づいていきます。最初は素性の分からない彼を疑っていた市民も、彼の行いを見て信頼するようになっていきます。

     しかし、全ての人を救える訳ではなく、意図せずして新たな苦しみを生み出してしまいます。哀れな女性ファンチーヌを救えなかったことが、後にバルジャンの人生を大きく変えていきます。

    【正体を明かすべきか否か、究極の選択】
     順調に街を発展させていたバルジャンでしたが、あるとき、過去に自分の犯した罪の濡れ衣を着せられた無関係の男が捕まったことを知ります。自分が正体を明かせばその男は助かります。
     しかし、そんなに単純ではありません。自分が捕まれば工場で働く人々はどうなる?市政はどうなる?そしてなによりファンチーヌとその娘を誰が守る?その他にも様々な要因が絡み合い、正体を明かしても、明かさなくても、いずれにしても大きな犠牲を伴います。彼が「正直者」として生きるようになってから最初の大きな試練を迎えました。この部分の葛藤が1巻で最大の山場です。

  • 他者から示された優しさにより罪人が改心し、やがて人望の厚い模範的な市長へ生まれ変わる。自己犠牲を示し、人々に寄り添い、徳を積み続けるジャン・バルジャンに過去を知る人物が忍び寄る、生まれ変わった人物に纏わりつく過去の罪という構図が物語として純粋に面白いです。

  • 『時代を乗り越える』

    こんなに素晴らしい作品だと思わなかった。
    素晴らしい。
    どんな時代にも、息吹を吹き込む理由がわかった。
    ジャンのように生きていくベクトルは
    これからどこに辿りつくのか?
    気になる。

  • ジャン・バルジャンはイエス、ジャヴェールは律法学者、を彷彿させる。

  • 覚悟を決めて読み始めたはずなのに、やっぱり挫折しそうになりました。笑
    最初の100ページと、パリの若者たちのあたり。
    昔の自分、良く頑張って読んだもんだ。

    1巻は「ファンチーヌ」の巻。
    ミリエル司教について、
    ミリエル司教とバルジャン、
    バルジャンの改心とファンチーヌの生涯が描かれてます。

    とにかくファンチーヌが哀れすぎてもう…。
    マドレーヌ氏と出会って救われたとはいえ、
    息絶えるシーンが舞台版の印象とは大きく異なるので
    彼女の生涯については本当に「哀れ」というしかない。

  • 引き込まれます。
    長いですが、読む価値は絶対にあります。

  • 邦題「ああ無情」としても知られている名作です。
    つまり名作ゆえに過去児童書等で何となくあらすじは知っている(…ような気がする…)ので改めて手に取るまでもなかろうと思いがちな作品の一つなのかもしれません。
    ですが機会があれば一度は全編読み通してみることをおすすめします。
    タイトルの Les Misérables は「みじめな人々」の意。
    本来ならいわゆる社会の下層階級に属する弱者のことを指すのでしょうが、作品を読んでいくうちに、みじめな人々とは一体誰のことなのかと考えさせられます。
    加えて19世紀フランスの社会情勢や民衆の生活が実に細かく描写されていますので、当時を知るための歴史資料にもなりうる一冊だと思います。

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