冷たい水の中の小さな太陽 (新潮文庫 サ-2-8)

  • 新潮社 (1993年1月1日発売)
3.41
  • (3)
  • (23)
  • (44)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 245
感想 : 23
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (244ページ) / ISBN・EAN: 9784102118085

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あとがきにあるように、人生の恩人とも言える女性との出会いと別れの物語。といっても、別れに使われたページはわずかで、女性の儚さがページ配分で感じられた。

    女性の覚悟とそれに伴う行動は、人生を賭けていた。男の不安や傲慢さからの生じた1日の過ちというヒビはその覚悟だけでなく生きる意志すら砕いてしまう。誰かの気持ちに応えること、同じだけの覚悟を持つことを大切にしようと思う。

  • ジョゼと虎と魚たちから。

    人物の心理描写の巧みさに酔いしれた。絶望の底も幸福の頂点もすべてまるで自分の経験のように味わうことができる。ここまで描かれてしまうと自分は生きていて自らの感情を十分に味わえているだろうかと反省するほどだ。

    例えばこんな描写がある。

    「もういい加減にしろよ」とジルが言った。
     しかし満足そうに微笑していた。結局、それは少年のよろこびなのだろうが、親友と自分の恋人が優しく自分をからかっているときの、くすぐったいような嬉しさだった。何か、珍しい、こわれやすい、把握することのできないもののように自分を仲間はずれに感じていたところが、結局、彼らの話題となっているものに自分を一致させることができ、自分が重要な人間で、愛されていることを感じるときの嬉しさなのであった。(p.135)

    こういう嬉しさってあるよな~と噛み締めてしまうような描写だ。この調子で恋愛の歓喜も悲哀も語られるのだからたまらない。

    ジルはいっときナタリーとの幸福な生活を手にするが、ついには残酷な破滅に陥ってしまう。たまたま並行して読んでいたアリストテレスの『ニコマコス倫理学』に、人は徳に基づいた行為によって幸福になることができると書かれている。ジルは享楽的すぎた。もう少しでも分別があればきっとあんな結末にはならなかったにちがいない。

  • サガンらしい。半上流階級の社交と恋愛。喪失。

  • サガンの8作目は1970年と1981年にも出版されています。

    1987年に映画化されて話題になり、本のカバーも映画の写真に新装です。それにつられて読んだようですね。
    だから、このバインダーでも 1作目からの順番から大きく外れています〜。

    (映画を見に行った覚えもないです・・・。)

  • 【Entertainment】冷たい水の中の小さな太陽/フランソワーズ・サガン/20170303/(25/621) <244/72524>
    ◆きっかけ
    ・大学時代に恩師に勧められて読んだ本を急に思い出して。しかし、なぜ勧められたかはわからなん

    ◆感想
    *最後の遺書が切ない。「あなたのせいではないのよ。わたくしはいつもちょっと年強する性質(たち)でした。あなた以外愛したことはかつてありません。」これをきっかけにジルが生まれ変わったように真人間になればいいが。

    ◆引用
    ・男と女の、厄介ではあるが人臭くはある問題が、すでに乾ききった金銭の問題にすり替わるのを学んで、笑顔一つにも値札が下がっているような気にさせられ・・・

  • 母より拝借 ラスト5ページで急展開 知的で、魅力的なナタリーの最期の書き置きがあんまり簡潔で、ショック ガルニエの主人公への忠告「いつかきみが、きみの愛するものを恥に思うときがきたら、きみの終りだ。きみ自身に対して終りだ。本当だよ。」はわたし自身にズシッときた

  • びっくりのラストですね。
    インテリの女性には笑えない結末かも?
    田舎出身で飾り気がなく、教養あるヒロインには好感をもちました。
    その一本気さが裏目に出てしまうのですが。

  • サガンの作品の中では、それほどいいとは思えない。ただ…タイトルはすごくいい。

  • 題名は「悲しみよこんにちは」と同様にポール・エリュアールの詩からとったそうだ。
    読み終わったあとにもう一度、冒頭に引用されている詩を読むと、この小説の内容はこの詩に収斂されていることがわかる。
    サガンの作品は多数映画化されているようなので、いつか見てみたい。

  • 五年後にまた読みたい作品

  • 母蔵書。

  • (1972.10.05読了)(1972.10.01購入)
    *解説目録より*
    パリで、陽気で華やかな独身生活を享受していたジルは突然ノイローゼにかかる。倦怠、不眠症、恐怖心―彼は同棲中の美しいモデルをアパルトマンに残し故郷リモージュに帰るが、ある晩、社交界の女王シルヴネールと出会い恋が芽生える。夫人は彼の懐に飛び込んでゆくが……。甘美で繊細な音楽の調べに満ちた第八作。

    ☆関連図書(既読)
    「悲しみよこんにちは」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1955.06.25
    「ある微笑」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1958.05.05
    「一年ののち」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1960.01.15
    「ブラームスはお好き」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1961.05.10
    「すばらしい雲」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1968.03.25
    「熱い恋」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1970.03.10
    「優しい関係」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1971.08.20

  • 大好きだけど、急に煩わしくなったり、
    相手の一言で
    がっくりしたり天にも昇る気持ちになったり…。

    汚らわしい事も、悩みも、ずるさも
    サガンの世界では美しく洒落て思える不思議さ。

    私の身のまわりではほとんど聞かないが
    小説では良くある結末。

    現実味が非常にあるようでないような感じが魅力。

  • ジルとナタリーのキャラクターがいきいきしている。
    ナタリーは情熱に生きる女性だが、哀れな気がしてならない。
    この作品の中で忘れられないキャラクターは、ギルダ。いつでも男性を受け入れ、いつでも現実を突き付けてしまう。彼女の存在がこの小説をより魅力的にしていると思う。

  • とまどいや憂鬱や不安やそういった類いの感情描写がやはり素晴らしい。
    特に出会い。その中にある予感とでも言うべき何かに惹きつけられたまま読み切ってしまえた。
    それが始まりの予感なのか、終わりの予感なのか。
    展開がさっぱりしていて無駄がないので間延びすることもなく、読みやすい。

  • ノイローゼの男にうっかり「情熱的」になっちゃったインテリ女‥‥
    兎も角サガンの文は美しい。訳者の朝吹登水子氏は本当に凄い。

  • 私の懐かしい学生時代、サガンを読んでいるだけでもトレンディな感じがした。
    水の中でたゆとう太陽を見ると今でもタイトルが蘇る‥。

  • ナタリーは生き延びて、ジルはつまらない男になって年老いるというのが地上のパターンだろうけれどそういうのはサガンの世界の選択肢にはならないので綺麗なとこ取りで嫌味な感じもするが、やはり綺麗なのはいい。エリュアールの詩も内容とよく合っていていいし。

  • 愛しすぎると、その人の持つ影の部分に惑わされて、太陽であって太陽で無いもの、に心を奪われてしまうらしい。

  • タイトルだけでも美しいでしょ。サガン読んでくださいよ。女の粋が学べますよ。

全22件中 1 - 20件を表示

朝吹登水子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×