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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784102120019
感想・レビュー・書評
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以前読んだのは遥か昔なので全く覚えてない、ただつまんない小説やなあ、という印象は覚えてる。なので躊躇いながらの再読でしたがなんとこれが面白かった。『嘔吐』に至る前の短編5作品を収録、試作品的な色合いは否めないが、なにせサルトルは難しいので、きゃつの試行錯誤を一緒に辿ってやるくらいの方がわかりやすい。わーっこれ大島弓子みたい、大江じゃん、ポーじゃん、ドスっぽくね?と実存主義はさておきキャーキャーはしゃぎながら存分楽しみました。実際はどれもどよ~んと重い圧迫感ある内容ですがね。節操ない本読みに成長しました。
ていうか、私みたいな頭の悪い人間がサルトル読むにはミーハー性によるしかないのですよ。サルトルという名前の響きだけでいかれちまうような得体のしれない魅力に乗じるしか。『うたかたの日々』のシックみたいな心境で。あそこまで偏執的にはなれませんけどな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サルトルの著書は初めて読んだ。
実存主義を充分に理解していれば、この短編小説もより楽しめたことだろう。
最も印象に残ったのが『壁』
極限状態の人間が何を思い感じるのか。
生々しい強烈な描写。そして偶然と虚無。
暗闇から一転、読者も空虚な白みの中に放り出されてしまった。
『部屋』
これは坂口安吾著の『白痴』を思い出してしまう。 -
内容が少し難しいが、何となく実存主義の匂いを感じる事が出来た。この本の中では壁と部屋が好き。壁の雰囲気は、何故か手塚治虫の描く漫画を思い出した。
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難しい
自分のままならなさ、肉体へのどうしようもない辟易を訥々と書いた作品なんでしょうか
咀嚼するだけの経験が私にはなかったな -
どの話も前半間延びしてんね、と思ったけどそこがいい、結局肉体に囚われながら生きるしかない倦怠感とか暗さがある
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「水いらず」
この文章に出会えたことに感動。。ほとんど音楽みたい
>人生にそんなことはありようがない。人生はリュリュの上に襲いかかり、アンリーの腕から奪い去る大きな波なのだ
性と人生をこんな風に描けるの素晴らしすぎる。この考え方を捨てることでより楽に生きていけるのは明らかで、でも、こういう文学が存在するのが救いでしかない
肉体はなぜあるのか?自己から肉体を切り離したときの嫌悪感だけではなくて、おかしさも感じられる
水がなくても一緒にいられるし水族館だって、これが水族館と言えば水族館なのだ
「壁」
極限状態では意味がすべて無くなっていき、最終的には肉体の重さが残る。重さは死ぬまでわたしを手放さない
「部屋」
狂人と生活を続ける娘が実存と向き合ってないとするなら、父親もまたそういえるのではないか -
2021.12.30 読了
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人間は波にのって流されていくだけという面がたしかにあって 今落ち込んでたから若干救われた。
ピエールですら「あの女のためなんだよ、日光が必要なんだ」とか言うのが面白い
主人公のどんどん飛んでいく思考とか次から次へと愛したり(結束したり)憎んだり節操のないさまを書いてるのが悲しくなったw
「純なのよ、純なのよ」みたいなとこムカついたw
愛って美しくない、醜い
マジで自分もこんな感じですね -
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『水いらず』
人間には、肉体がある。その、おぞましさ。それが人間だ、と開き直るかどうか。できるだけ離れていようとするかどうか。怖いもの見たさのような感覚で、近付くかどうか。
『壁』
人間の命の価値に差はないし、誰がいつ死ぬかも分からない。ただ、今生きているという現実だけがすべて。
『部屋』
人々は同じものを見て、違うことを考える。しかし、往々にして、それを認めたがらない。世界はそうして、食い違っていく。食い違っているのに、食い違っていないように見せかけながら。
『エロストラート』
これは、誰のことを書いているのだ? すべての私のことだ。
『一指導者の幼年時代』
こうして自意識が確立されていくのか。 -
哲学書は読みずらい。考えたことをわざわざわかりづらく翻訳しているのではないかとさえ思う。サルトルの『弁証法的理性批判』など、いったい何を言いたいのやら皆目わからない。そんなサルトルがちょっとは理解できるのが、『水らず』等のサルトル初期短編集である。
「アンガージュマン(自分の態度を決めること)とは文学作品をとおした状況への異議申し立てだ。あるいは状況の受け入れだ。」とサルトルはいう。
不能夫を持つ妻の浮気『水入らず』、銃殺を待つスペイン内乱の反政府兵『壁』、周囲と自分の存在を疑う青年の成長記『指導者の幼年時代』など、どれも気持ちのよい状況とは思えない中からのアンガージュマンを描く。日本の戦後文学にも大きな影響を与えた作品群である。
今回再読して気づいたことがある。『水入らず』の女主人公リュリュは「リュシエンヌ・クリスパン」であり、『指導者の幼年時代』の男主人公の名はリュシアンである。リュシエンヌはリョシアンの女性名である。名前の意味は「光」という。何か意味深長である。 -
訳:伊吹武彦・白井浩司・窪田啓作・中村真一郎、原書名:INTIMITE(Sartre,Jean‐Paul)
水いらず(Intimite)◆壁(Le mur)◆部屋(La chambre)◆エロストラート(Erostrate)◆一指導者の幼年時代(L'enfance d'un chef) -
短編集。
壁が良い。
唐突に始まる不条理な世界。
残酷な現実がそこにある感じが良い。
あとは、正直よくわかりませんでした。 -
ストーリー的なところとか、細かいところは習作感があってプロっぽくないけど、この不穏な空気はなんだろう。ある意味嘔吐よりエネルギッシュでこういう小説好き。
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水いらず
性がテーマになっている。登場人物が各々に、本音とは真逆の言動をしているように感じられ、ある意味では滑稽で、面白かった。
壁
「数時間後には死ぬ」という漠然とした状況設定だが、未知ゆえの興味が湧き面白かった。感覚を確かに失いながらも、やたらと働く思考の様子が描かれている。
一指導者の幼少時代
家庭に抱くコンプレックスから始まり、「自分とは何者か」という錯乱の中過ごす少年期の、心の変化の話。
自分の身の置き場を二転三転しながら、どこにいてもしっくりこない感覚に共感も覚える。
全体的にかなり軸がしっかりしていて、説得力のあるものに思えた。実存主義という全体背景の中に無意識に自分を溶け込ませながら、寂しさと心強さを、同時に得られた気がした。 -
最近やっと「嘔吐」を読んだので久々の再読。やっぱりこっちのほうがわかりやすい。確かに随所に実存主義的な要素はちりばめられているけれど、単純に小説として面白く読めるのがいい。
不能の夫と、浮気しているその妻、妻の愛人、おせっかいな友人、どいつもこいつも面倒くさいー!って感じの「水いらず」、なんらかの病で狂人になってゆく夫にそれでも寄り添う妻の純愛というよりこちらも病んでる感満載の「部屋」あたりはある意味恋愛もの。
スペイン内戦中に敵の捕虜になった男たちの死刑前夜の心理描写が秀逸な「壁」は小説としては一番の完成度。
「エロストラート」は読んでてとても不快だった。小説としてではなく、現代日本に、あまりにこのタイプの低劣な犯罪者が多いから。時代や国が違っても、こういう人間はいなくならないんだなと。
「一指導者の幼年時代」は長編ってほどではないけれどそこそこのボリューム。天使のように愛らしかった少年が悩んだり屈折したりしながら自己肯定にいたるまでの成長譚だけれど、一見前向きなようで実はものすごく皮肉。あと部分的にBL(笑)
※収録作品
「水いらず」「壁」「部屋」「エロストラート」「一指導者の幼年時代」 -
「一指導者の幼年時代」は自分の存在を自分の内奥から発見するのではなく他人の目を借りることで見出す過程の話だが、心理描写を詳しくして自分の存在の根拠を見つけられない苦悩を描き出すという感じではなく駆け足で物語が終わってしまった。それでも面白かったけど。
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サルトルの短編集。彼の哲学書に挫折した方は、本書から入ってみては?
『嘔吐』もそうだが、サルトルの「いわんとしていること」を、「理解」というより「体感」できるのではないだろうか。
ジャン・ポール・サルトルの作品
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