ジャン・クリストフ 2 (新潮文庫 ロ 2-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102128022

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  • 伯父の励ましで壁を越えたクリストフだったが、躍り出た自由な魂を待ち受けていたのは虚偽に満ちた社会だった。

    発達障害。今の日本ならそんなレッテルを貼られてしまうだろう。クリストフは、あふれる芸術のエネルギーを自由奔放に放出しようとするが、率直すぎる彼の言動はどこへ行っても受け入れられない。そして芸術に対する偽善に満ちた社会に幻滅を抱きつつ、孤独と貧困にあえぐ日々が続いていく。

    いくつもの出会いがあってはトラブルって別れる、そんな流れを繰り返すなか、シュルツ老人のように心温まる交流もある。しかし結局は死別によってその関係も閉ざされ、クリストフはあるトラブルに巻き込まれてパリに旅立つことに。そこで待っていたのはドイツと変わらぬ偽りの世界だった。

    苦境が長引き重苦しいうえに、文化論や芸術論のような論調の文章が続き、主人公だけでなく読者にも忍耐を強いる巻。音楽にすべてを捧げているクリストフにとって、真実ではない芸術すべてが認められない。しかし虚偽を抱えていない社会などはなく、否応なく衝突を繰り返してしまうのがもどかしい。孤独に沈むなかで、かすかに光る道標のように何度もすれ違う女性の存在が期待感を高める。そしてついにひとりの青年に出会う。その姓は……。

    暗闇のトンネルをついに抜けた、解放感のあるラスト。魂の旅は続いていく。

  • 第一巻に比べると、読み終えるのが大変でした。パリの音楽、文学、それらを取り巻く人々も含めての「文化」に150ページくらい割かれており、それはもうものすごい広がりで書かれているのですが、私の知識・理解では追いつかなくて上滑りしてしまった感じです。第二巻は全体的にクリストフにとって若くて苦しい時代なので、こちらも読んでいて少し我慢が必要でした。

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著者プロフィール

1866年、フランスの中部クラムシーに生まれ、1944年に没する。作家、音楽史家。第一次世界大戦中は反戦論を唱え、第二次世界大戦中も反ファシズムをアピールした。文学や芸術の領域で活動するだけでなく、現代社会の不正と戦い、人権擁護と自由を獲得するために政治的・社会的論争を起こし行動した。1915年、ノーベル文学賞受賞。主な作品に、大河小説『ジャン・クリストフ』、『魅せられたる魂』をはじめ、『ベートーヴェンの生涯』や『戦いを超えて』、『インド研究』などがあり、そのほか、小説、戯曲、伝記、自伝、評論、日記、書簡などの膨大な著作がある。

「2023年 『ジャン・クリストフ物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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