ありきたりの狂気の物語 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102129128

作品紹介・あらすじ

強烈な露悪。マシンガンのようなB級小説の文体。アンダーグラウンドの一作家だったブコウスキーの小説は、世紀末の日本で、熱い支持者を得た。人も獣も入り乱れ、目もくらむ終結を迎える「狂った生きもの」、酔いどれの私がこともあろうに結婚式の付添人を務める「禅式結婚式」など、前作「町でいちばんの美女」を凌駕する過激な世界が詰め込まれた短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 自分は人生をうまく乗りこなしている!と勘違いをしている虚栄心を持った全ての人間に冷や水をぶっかける。そんな作家の短編集です。

  • うちひしがれてるならこれを読もう。

  • 下品で笑える話の中に急にロマンチックな文が現れたりするのがブコウスキーの好きなところ。通勤電車で読むには面白すぎて勿体無いので、後半は、寝る前にウイスキーを飲みながら読んだ。

    ところで断固として言いたいのは、ブコウスキーおよび彼の作品の中のハンクやチナスキーは、「みじめ」なんかでは無いということだ。酒と女にだらしがなくて金が無かったりするのはいつもの事だが、考えることは筋が通っていて、孤高で誇り高い。自由な魂の持ち主の事を「みじめ」とは私は思わない。

    好きな章は幾つもあるが、特に挙げるとすれば「ウォルター・ローウェンフェルズに」。終わりの5行が完璧。そして訳者である青野聰氏のあとがきに思いがけず泣かされた。

  • 枕頭の書。

  • エロくてクレイジーで最高によろしいかと。。

  • 16年前の1994年3月9日に73歳で死んだアメリカの小説家・詩人。

  • ひたすらみじめで、かっこわるい。けれど、そこに凄く人間味を感じる。

  • ブゴウスキ久々に読んだ。
    よいです。

  • もしブコウスキーが今の時代の作家だったら全く読まれてないだろうなと思う。
    この作品は結構どぎつい下品さがあったけど、ブコウスキーの飾らない文体が最高に輝いていたのもまた事実。
    彼のそういうところがなによりも好きだ。
    時代を越えて私と出会ってくれてありがとう。

  • 「狂った生き物」 人間もけだものの一種である 調和の思想、しかし神も人もそれを認めてくれない 「日常のやりくり」 子供の夢を守るためにはストラヴィンスキーでは駄目 ショスタコービッチを聞かねば… 「1ドルと20セント」 60年生きて残った財産1ドルと20セント しぬ 「極悪人」 繊細そうに見えてじつは単なる面倒くさがり屋 書類を面倒くさがったら徴兵拒否ということにされて、豚箱に入れられた 「服役の思い出」 恐怖の支配する箱庭じゃ 鈍感が己の身を守った 「ハリウッドの東の瘋癲屋敷」 戦争と平和をやりとりして人が成長するものか、ええトルストイよ きちがいになるだけだばかやろう 「職業作家のご意見は?」 不道徳の極みにありながら、まるで大先生のように持ち上げられ 恥ずかしさで消えてしまいたくなるやつ 「禅式結婚式」 結婚は冥途の旅の一里塚、禅式ってそういうことじゃないのかい!? …おこられました 「再会」 退院して、留守を守ってくれてた彼女と再会したら借金が膨らんでた話 お見舞いにも来なかったくせに… 「競馬と家庭」 競馬の予想マシーンとなって幸福追求する男 彼は生活の余剰そのものだった 「さよならワトソン」 負けた勝負を惜しむあまりに負け犬は批評家となり、詩人にもなる 競馬場とボクシング酒場がブコウスキーには文章修行の場であった 「詩人の人生なんてろくでもない」 孤独な詩人に憐れみを かけるやさしさマジヤバい 「真夏の詩人寮」 詩人の孤独を嘲笑う編集者への復讐として 彼の妻をおだて、下手なピアノをガンガン弾かせるなど 「馬鹿なキリスト共」 ふざけてみせるのは、神の子への嫉妬を隠すため そしてみずから受難を求める生まれついてのトリックスター 「男の繊細さ」 夢におぼれて現実をおろそかにすることがアヴァンギャルドか? そこに愛を見出してこそのアヴァンギャルドだ 「レイプ!レイプ!」 いい女をつけまわして自宅に上がり込み強姦したら 警察に逮捕されて、もう強姦はこりごりだよ~ 「悪の町」 ホモセクシャルの人たちにたてつづけに強姦されそうになったので 刃物を持ち出しふりまわし、たぶんまた逮捕だろう 「愛せなければ通過せよ」 コミュニケーションが下手なので無関心を装いつつ生きる なにげないそぶりで、死に場所を探している 「素足」 和姦のつもりだったのに警察呼ばれて逮捕されてしまう しかし思いがけず保釈金を払ってくれる人がいて、世の情けを知った 「静かなやりとり」 椅子取りゲームの脱落者たちが言い争う 負けを認めるのか、それともゲームそのものをぶち壊しにしてやるか 「ビールと詩人とおしゃべり」 良い詩人と悪い詩人がいる 良いうんこと悪いうんこがあるようにね 「レノで男を撃った」 詩を読む人々は批評家であり、ときにはみずから詩を書くこともあるのだろう そして詩人は、どんなに売れても詩人だった 「女たちの雨」 疑い深い老人にとって世界はまるで1984年 すべてが啓示、すべてが誘惑、すべては陰謀なんだ、そして無 「パーティーのあと」 戦争にも良い戦争と悪い戦争があるのかもしれない どっちにしろこわいよ… 「アイリスのような」 ちんちんを花に例えるとは、なかなか詩心のあるホモだ しかし詩に狂気を癒す力はないだろ 「空のような目」 たくさんのモノサシを使って自分を騙さなくちゃ生きていけない でも詩人にモノサシは一つで十分なんだ、本当はな 「ウォルター・ローウェンフェルズに」 わたしの素晴らしい信念がなぜ世間に認められないのか?腹立つ そんないらだちで何も手につかない元妻 「自殺体質」 崖っぷちのギリギリを爆走するがごとき危ないあそびが大好きなんだ ただし自分でやるより、人がやってるのを見るほうで 「ペストについて」 ペストみたいな人間…今ならサイコパスと言ったほうが通りがいいか そういう連中の心を解剖するうちにおれもペストになっちった 「バッドトリップ」 人がLSDを選ぶのではない…その選択はあまりにリスキーだから LSDが人を選ぶのである(サイコパスだ) 「ポピュラー・マン」 有名人なのにたいして儲からず読者からもなんとなく侮られている しにたい 「酔いどれギャンブラー」 負けが込んでいるときはあれほどまぶしかったミニスカート、今は何も感じない 勝利が人をケチにするのだった 「マリファナパーティーにて」 マリファナパーティーで煙草を吸ったら若者にバカにされた ぜんぜんくやしくない 「毛布」 おれの毛布が撃たれて死んだ おれはそいつを焼いて泣く

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著者プロフィール

1920-1993 ドイツ生まれ。3歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。

「2010年 『勝手に生きろ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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