女ごころ (新潮文庫 モ 5-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102130063

感想・レビュー・書評

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  • 02/12/08

    さすが、モームといったところ。読みやすいことこの上ないです。

    けれども、女ごころとは本当にこうなんだろうか?モームは甘く見てるんじゃなかろうかとも思うんだけれど、ぼくは男なので確かめようがない。

  • サラッと読める。
    “聖火”(The Sacred Fire)を読んだ後なで、なんでこんなしょうもない女を書いたのかとちょっぴりガッカリ…

  • やはり原題の「Up at the Villa」の持つ中立性に触れない訳にはいきませんが、個人的には「女ごころ」とつける訳者の計らいはすきです。

    月並みなストーリーであるが故に、心理描写の巧みなモーム先生の技巧をよく味わうことができる作品であると思いました。

  • リアルな人物描写や心の機微を描かせたら天下一品! であると共に、これまた女ぎらいで有名なモームが描いた「女ごころ」だから、身構えて読む。さすがのストーリーテリングで、グイグイ読んじゃいます。女性として、この女ごころをわかってしまう自分に戦慄を覚えながら、現代女性としてはこうはなりたくないなと、必死に思ったりするのです。この主人公、根っからの無垢のワル!

  • 2014年10月2日(木)、読了。

  •  作者・モームは、第一次世界大戦中に英国諜報部員として活躍し、戦後に小説家になった人だ。文学というものが現在ほど細分化されていないため、作品は純文学のジャンルだけれども、スリリングなサスペンス仕立てとなっている中編小説だ。
     物語の舞台は第一次世界大戦中のイタリアだ。美貌のメアリは、嫁ぎ先の亭主が事業に失敗し自殺したため、切り詰めればなんとか食べてゆけるだけの資産をもつ未亡人になった。とある貴婦人のパーティーに招待されたときを機に、三人の男がいい寄ってくる。
     一人めは英国高官、二人めはパーティーに招かれたプレイボーイ、そして三人めがパーティーで下手なヴァイオリンを弾いていたオーストリア人だった。
     英国高官はメアリが少女時代から恋焦がれている独身の老紳士。プレイボーイはチャラ男に見える。そしてオーストリア人はナチスドイツが祖国を併合したことに憤り反対運動をしたため弾圧を逃れるためイタリアに亡命した青年だ。
     老紳士からプロポーズをされてメアリはセレブな生活を維持するため同意するのだが、なにせ30近い年の差があるため愛を感じない。プレイボーイは亡くした夫より実生活が荒んでいそうだ。
     そんなところへ、パーティーのときに、たまたま親切にしてやったオーストリア人がストークしてきて屋敷の自室に忍び込み、拳銃自殺してしまう。状況からして部屋にいたメアリは容疑者にされてしまうに違いない。動転した彼女は、プレイボーイを電話で呼び、どうしたらいいか相談する。
     プレイボーイは、メアリを手伝わせて、死体を車に積み込むと、森の中に隠した。途中、夜遊び帰りのイタリア紳士たちを乗せた車がやってきて、死体を運ぶところをみられそうになる。しかしそこで、プレイボーイが以外な度胸と機転をみせる。なんと恋人を装って熱烈なキスをするというものだった。
     無事に死体を処分したプレイボーイは、実は南アフリカの大地主だった。そしてメアリにプロポーズした。こうして美貌の未亡人は危険な香りのする男に嫁ぐことになった。
     モームのこの小説を映画にしたのが、邦題『真夜中の銃声』。ミステリー三分割法で、第二幕で原作のラストをつけている。映画のオリジナルは第三幕部分で、原作では控えめだった老貴婦人・王女がキャスティングボードを握る。オリジナルな登場人物であるファシスト党の大尉が、死体遺棄の件で、プレイボーイを疑って牢にぶちこむ。
     メアリはたまたま、酒を飲んだ王女が、大尉の収賄資料を持っているという話をもらしたのを憶えていた。彼女は、書類を盗み出し、大尉を脅してプレイボーイを助けるというオチをつけた。
     実はこの物語、学生時代の必須英語2科目のうちの1つでテキストだった英文小説。苦労して和訳したのだけれど、出席日数が足りなくて落とし、翌年度に最履修。でも、お洒落な爺様教授のおかげで、本作を知った。ほろ苦い(いや激辛な)思い出のある作品である。

  • モームの絶版本。美貌の未亡人・メアリイと彼女を取り巻く3人の男たちの物語。理屈では玉の輿を狙ってエドガーを選ぶべきかもしれない。けど、彼女を愛し、愛されたと思った亡命オーストリア人青年に目の前で自殺され、その窮地を救ってくれたジゴロ・ロウリイを最後に選んでしまう気持ちもわからなくもない。女って身勝手な生き物なんだよね。そもそもメアリイは亡くなった夫以外誰も本気で愛してないよね(笑)2012/178

  • モームは以前に「劇場」を読んだだけ。あの作品は今でも好きで、たまに気持ちが落ち込んだ時に読み返している。
    この「女ごころ」は特に情報もなく、モーム作品だというだけで買ったもの。
    「劇場」でも思ったが、心理表現が巧みだなと感心した。
    しかしまあ、彼女が最後に選んだのが彼と言うのには納得。善悪両方の面を知ったうえでそのまま受け止めてくれる人に惹かれるのは当然だろう。
    誠実さを貫こうとする男性と、その男性の本音を感じ取った彼女との駆け引きの場面がよかった。

  • ある種の寓話。美しい未亡人が
    ・地位、名誉、金、「立派な」人格を備えた年の離れたイケメン
    ・働かず、資産で暮らす愛嬌のある放蕩者
    ・夢見がちで赤貧の年下の亡命者
    に言い寄られ、選択をする。
    三人の男はそれぞれ主人公の理性、感情、衝動を象徴しているのかな。
    メロドラマではあるが、丁寧に人物を描き出しているので意外に退屈しない。

  • サークルの課題図書。

    文章がやさしくサラサラ読める。

    お酒の好きで財産を使い尽くした夫は悲劇的な死をとげる。残された美貌の妻メアリイ・パントンは 性格も 見た目も バックボーンも違うの三人の男から求愛される。
    ところが、三人のうちに一人が夜中にメアリイの目の前で自殺する。そこから彼女の人生が、さらに違う流れに漂う。

    自分の意思で人生を歩むことのない 主人公にはイライラさせられるし、三人の男たちも 今のことしか考えない。

    こんな、女性にはなりたくないと思うが、やはり、『S・モーム』うまく引き込むな、と思う。面白い。

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著者プロフィール

モーム W. Somerset Maugham
20世紀を代表するイギリス人作家のひとり(1874-1965)。
フランスのパリに生まれる。幼くして孤児となり、イギリスの叔父のもとに育つ。
16歳でドイツのハイデルベルク大学に遊学、その後、ロンドンの聖トマス付属医学校で学ぶ。第1次世界大戦では、軍医、諜報部員として従軍。
『人間の絆』(上下)『月と六ペンス』『雨』『赤毛』ほか多数の優れた作品をのこした。

「2013年 『征服されざる者 THE UNCONQUERED / サナトリウム SANATORIUM 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

モームの作品

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