人間の絆 下巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102130261

感想・レビュー・書評

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  • ★★★2021年4月★★★


    読み終わってから4か月たつが、いまさら感想を書く。
    イギリスに帰って医者をめざすフィリップ。
    お金が底をつき医学の勉強を続けられなくなり塗炭の苦しみを味わう。お金のために、叔父の死を強く願う。
    ここが一番衝撃的。
    パリで苦楽を共にした友人の死や没落。
    読めば読むほど暗い気分になる。

  • 下巻は一気に展開する.
    パリで交流したクロンショーとのロンドンでの再会を経て,パリで彼から受けた謎かけともいえる「ペルシャ絨毯」に関する問答に対する答えを自分で見つける場面が,ある意味クライマックスである.
    フォリップの人生は帰国後も順調とはいえず,行き当たりばったりを繰返し,さらに度々ミルドレッドの邪魔を受ける.この紆余曲折はフィリップの自業自得といってもいいのだが,しかし,この過程を経て,かつ,破産を経てこそ,フィリップはようやくペルシャ絨毯の意味を解くのであり,また,最後の幸福な結末に到達するのであろう.
    若い頃にあれほど意気投合していたローソンやヘイウォードとは全く話があわなくなるということは,人が成長する過程でよくあることであり,しかるべきタイミングでアセルニー一家やドクトル・サウスと巡り会うことができた,というのも,またこれも人生である.

  • 主人公 フィリップ・ケアリ君は
    パリにて絵の修業をしていたが、己の才能の限界を知り、
    医者を目指すことに…。

    ミルドレッド、傍からみれば脈なし未来なし、
    フィリップ君のことを思えばやきもきもするが…

    ノラとの顛末には心から残念だったなあ。

    医者の修業時代に出会った
    ソープ・アセルニーとその一家との交流のシーンは
    わたしの心を大変に和ませる。

    偏屈なドクトル・サウス、

    パリでの修業時代に出会った、ファニー・プライス、
    貧乏で不器用な娘。

    今はこの本を手元においてパラパラ、
    ああ、あったあった、そうだそうだと
    今もなお楽しい。

    忘れられないシーンがたくさん、
    なんどでも読みたいんだ。

    そしてそして今日、なんと、
    岩波文庫の行方さん翻訳も買ってきた!
    こんなことする小説、はじめてだ。

    とにかく「人間の絆」に関することは
    ちゃんと知っていたいと言う気持ち。

    (岩波文庫版はいろいろ参考資料もついていると
    聞いたので)

    ラストは賛否両論あるみたいだが、
    わたしは素晴らしく気に入っている。

  • 40歳の時に書いた半自伝的小説。
    訳者である中野好夫氏によると、この作をもってモームは「自己の精神史の一時期が終ったものであるとなし、彼の中にあったある種の暗い精神的しこりを解消するために、自己解脱の一つの記念碑として書いたものであると称している」という。


  • 他のものと並行しつつようやく下巻を読了。作者の半自伝的小説。モームは数奇な運命をたどってきたのだな。

  • ミルドレッドとの愛憎交えた関係が展開される下巻の前半は、読むのが苦痛だった。
    僕はミルドレッドが好きじゃないし、彼女にいれこむ主人公も好きじゃなかった。
    それに対してノーラのパートはとても楽しく、二人の関係がずっと続けばいいのにとわくわくして読んでいた。
    やはり主人公を自分と同一視してしまうからだろうか。
    主人公が不幸せだと読むのが面白くなく、幸せだと読むのが楽しくなる。
    そういう意味ではノーラやサリーのパートは読んでいてとても楽しかった。

  • 冒頭とは予想外のカタルシス。フィリップを締めつけていた何かから解放され、初めて自らの人生を歩き始める彼の後姿が、目に浮かんで消えない。

  • 人生において、
    無駄なことなんて何一つないと私に教えてくれた作品です。

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著者プロフィール

モーム W. Somerset Maugham
20世紀を代表するイギリス人作家のひとり(1874-1965)。
フランスのパリに生まれる。幼くして孤児となり、イギリスの叔父のもとに育つ。
16歳でドイツのハイデルベルク大学に遊学、その後、ロンドンの聖トマス付属医学校で学ぶ。第1次世界大戦では、軍医、諜報部員として従軍。
『人間の絆』(上下)『月と六ペンス』『雨』『赤毛』ほか多数の優れた作品をのこした。

「2013年 『征服されざる者 THE UNCONQUERED / サナトリウム SANATORIUM 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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