月と六ペンス (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102130278

感想・レビュー・書評

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  • 人なら誰でも何かしらからの解放を求めている。それは物質的なものかもしれないし、精神的なことかもしれない。しかし利己的に解放を求めることは自制がかかる。
    ストリックランドという人間は理性とか恥とか外聞とか人を人たらしめるものをかなぐり捨てて、貪欲に求めたのだろうと思う。
    まさしく動物的であるけれども、とても人間的でもある。
    ストリックランドという人物が相反する二面性を感じる。そしてそんな男に女は愛情を注ぐことは不思議な真理である。

  • 素晴らしい翻訳。

  • 奇特な一生を過ごした偉大とされる画家、チャールズ・ストリックランドの半生を友人の視点から描いた話。チャールズ・ストリックランドは架空の人物だが、ポール・ゴーギャンをモデルに描かれたと言われている。

    「自らの理想を追い求め続けるということはそれ以外のすべてを捨てること……ではないんだよ。どんなひとにもふさわしい居場所ってあるんだよ」というお話だと思った。自分にぴったりな場所が見つかったからこそ、チャールズ・ストリックランドは晩年を有意義に過ごせたのだと思う。

  • 突然妻子を捨てて出て行ったストリックランド。
    “わたし”はパリでストリックランドと再会し、何故こんなことをしたのかを訊ねる。

    絵を描くことにしか関心のない男ストリックランド。
    いわゆる天才と呼ばれるひとの多くは、こういうものなのだろう。自分の人生を賭けて打ち込む何かにしか目が向けられない。
    そういうひとを家族に持つと、自分を犠牲にして支えたいと思えなければ、身勝手すぎて辛く不幸なことだろう。

    モームははじめて読んだ。
    いつか読んでみたいと思って随分前から購入してあった本書を、ようやく読んだ。
    読んでみて、こんなに面白いのならもっと早く読めば良かったと感じた。

    会話が軽快であり、登場人物の性格が上手く表れている。
    また、作中で“わたし”が感じた、人間とはこういうものといった一般論が的を射ていて素晴らしい。

    他人のことなど気にしないといくらうそぶいても、たいていの人間は本心からそう思ってはいない。彼らが好き勝手に振る舞うのは。自分の奇行はだれにも知られていないと安心しているからだ。また多数派に背を向けるのは仲間に支持されているからにすぎない。どれだけ世間の型からはずれても、内輪の型にはまっていれば安心できるし、そのぶん大きな自尊心を得られる。危険を冒すことなく、自分は勇敢なのだと自己満足に浸ることができる。(P87)

    この他にも胸に沁みる言葉の多い作品だった。
    傑作とはこういう作品なのだろう。

  • すごく好きな小説に出会ってしまった。
    こういった時はもっと早く読みたかったという感想になってしまう。
    まだまだそんな作品がたくさんあると思うとぞくぞくする。

  • 最初は退屈だったけど、ストリックランドが単身で飛び出し、絵を描き始めたあたりからグイグイと本に引き寄せられ、マルセイユに移ってから再び停滞し、晩年辺りで最後の追い込み。一気に読み終えた。
    どうして、こんなにもストリックランドに魅かれるのか。
    自分には出来ない生き方をしているからだと思う。

    傍にいたら絶対イヤな奴なのに!

    とか言いながら、きっと私はまたストリックランドに会いたくなるのだろう。

  • ベストセラー?
    おそろしく退屈で胸の悪くなる小説でした。
    まず主役のストリックランドがトップ オブ クズなので魅力を感じられない。
    語り手の青年は、主役のストリックランド、嫁の兄であるマカンドルー大佐、友人のストルーヴェ、それからニコルズ船長、好意を持って接してくれる全員のことを見下して軽蔑している。
    この嫌味と皮肉があくまで「主人公の人柄」というなら傑作だけど、作者の考え方がそうであるならイギリス人はどあほうだ。
    終盤でいきなりストリックランドが恩義を感じることのできるいいやつになって、幸せに暮らしました、おしまい。なんだこれ!

  • 社会生活がどうでもいい人間としてストリックランドにすごく共感して読んだ。すべてのアーティスト、かくあるべし。

  • 人間の狂気=月を裏返すと、幸せの六ペンスコインが張り付いていた。

    天才画家の凄絶な生涯。

    本能的に従順で
    不自由な魂に取り憑かれた男。

    その魂に惚れ抜き
    振り回され、悲劇を辿る女。

    異なる視点が「美と幸福」を痛みと共に教えてくれる。

  • 一人の変人天才画家との交流をかいたもの。
    殺人もなければロマンスも冒険もない。でも先が気になる。このネタでここまで読ませるのは、やはり巧いのでしょう。
    セリフ回しが好き。もしかしたら訳も良いのかもしれない。

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