自負と偏見 (新潮文庫)

  • 新潮社
4.42
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本棚登録 : 402
レビュー : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (649ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102131046

作品紹介・あらすじ

イギリスの静かな田舎町ロングボーンの貸屋敷に、資産家ビングリーが引っ越してきた。ベネット家の長女ジェインとビングリーが惹かれ合う一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの気位の高さに反感を抱く。気難しいダーシーは我知らず、エリザベスに惹かれつつあったのだが……。幸福な結婚に必要なのは、恋心か打算か。軽妙な物語(ストーリー)に普遍の真理を織り交ぜた、永遠の名作。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから古典的名作であるということだけは知っていたが、ここまで正統派な恋愛小説であるとは思いもしなかった。

    エリザベスがダーシーに対する気持ちを変化させていく描写や、リディアの駆け落ちをきっかけに彼への愛を自覚する場面では不覚にもときめいてしまった。最終的に二人はどうなるのかが知りたくてたまらなくなり、作者の掌でいいように転がされるというこれ以上ない読書体験ができた。

    また何度も言われているとは思うが、作中にたくさん登場する変わった人たちの描写が巧みだと思った。個人的にはコリンズがエリザベスに求婚し、断られたのに「若いお嬢さんは心の中では受け入れるつもりでも最初は断るもので、実は私の求婚を後押ししているのかもしれませんね」と自分に都合よく解釈するシーンの「この人会話が通じないな」感に爆笑した。

    本筋のエリザベスとダーシーの恋愛模様だけでなく、経済的な理由から打算的な結婚をしたシャーロットの行動の是非や、自分では中立な判断をしているつもりだったのに、ダーシーについて偏見を持っていたことをエリザベスが自覚して後悔する場面などに時代が変わっても通用する普遍性を感じた。翻訳の違いで受ける印象も変わると思うので、読み比べてみたくなった。

  •  本当に面白い小説でした。今から二百年以上前の一八一三年に英国で出版された作品ですが、「文学」だとか「古典」だとか堅苦しいことを抜きにして、純粋に娯楽小説(ラブコメ)として楽しむことができました。

     この小説はいまだにとても新鮮です。小説が書かれた頃と今とで文化や習慣は全く変わっているけれど人間の根本的な部分は変わっていない、その変わらない部分を上手く描き出しているからこそこの小説は古くならないのだと思います。

     人物の描き方が秀逸です。知恵者でありながら面倒くさがり屋で皮肉屋のミスター・ベネット、了見が狭く単純で愚かなミセス・ベネット、うぬぼれ屋で間抜けで打算的なミスター・コリンズ、性悪のウィッカム、尊大で気難しく見えながら実は誠実なミスター・ダーシー、いかにも育ちのいいミスター・ビングリー、思いやりがあって人を疑うことを知らず天使のようなジェイン、そして常に物事を深く考え正しい道を進もうとするエリザベス ── 彼らが繰り広げる人間模様は本当に面白く、自分の周りにも似た人がいるなあと苦笑いをさせられます。

     小山太一氏の翻訳は素晴らしいです。ジェイン・オースティンの文章って、実はかなり難しいのです。それをこんなにも親切な日本語にして頂いたことに感謝します。作者の意を酌んだ自然な日本語によって物語がすいすいと頭の中に入ってきました。小山氏は物語の社会的な背景を知り尽くしておられ、しかも要所ごとに注釈をつけることでその背景が自然と読者に伝わるよう工夫されていました。

    • 日曜日さん
      おはようございます!メッセージを有難うございます。「高慢と偏見」楽しいですよね。何度でも読んでしまいます。最近、新潮文庫で色々新訳が出て嬉し...
      おはようございます!メッセージを有難うございます。「高慢と偏見」楽しいですよね。何度でも読んでしまいます。最近、新潮文庫で色々新訳が出て嬉しいですね。
      2017/08/16
  • 前に読んだ岩波文庫版はうろ覚えなのだけれど、こっちの方が読みやすいかな。
    ダーシーとエリザベスのすれ違いぶりは映画でもドラマ版でも原作でもどんな媒体でもときめく!ダーシーほんとツンデレよね。そして一途だ。
    それにしても周囲の人間が強烈だ…。わたしはミスターコリンズがほんとつまらなくてムリ……この人が喋るだけで眠気がくるわ……。でもシャーロットの選択はそんなに責められたものではなくない?そりゃ大好きな親友が嫌な男とくっつくってなったらそうなるのかもしれないけれどさ〜〜〜!

  • おもしろかった!!

    昔に書かれた本なのに、友達の話を聞いているみたいだった。(いい意味です)この世界の片隅に の すずさんを、友達と感じるようになるのと同じで。

    久しぶりに夢中になって読みました。

  • キーラ・ナイトレイ主演のこの映画を見なきゃと随分前に録画していて、その前に原作を読もうと購入。そうだ、恋愛ってこういう事だよなぁ。階級がはっきりしていた時代の話だけれど、普遍性を感じた。ダーシーのはじめの告白、断られたあとエリザベスに書き渡した手紙、そこからのエリザベスの思いの変化...何度も読み返してます。他の翻訳も読もうかしら。随分前に読んだ「ブリジットジョーンズの日記」も思い出した。

  • イギリス文学が好きだった若い頃を、先日訪れたイギリスで思い出し、エマ、自負と偏見を立て続けに読み返しました。
    200年前に書かれたとは思えない普遍の人間模様。
    次女のエリザベスの自由奔放でありながら、美しく聡明な姿とイギリスの田園風景。
    脇を固める少し(どころではなく)イラッとくるような登場人物たち。
    ミスターダーシーとの結末をハラハラしながら一気に読めます。

  • お恥ずかしい限りなのだが、自分はこの「高慢と偏見」(当本では「自負と偏見」)という題名のせいで、過去30年の間とんでもなく間違った認識を持ち続けていた!

    実は旧訳でも、英文でも最初の1ページだけ読んでいたのだが、どれだけ多くの難解な哲学的抽象論を越えて行かなければならないのか?と思わせる書き出しであり、それより先に読み進める事が出来なかった。

    今回は新潮社からの新訳が出たとの事で、思い切っての再々々々度のチャレンジなのだが、当訳の何と素晴らしい事!

    英語訳とは思えない程、日本語に流れがあり、これ程スラスラと読みこなせる訳本は過去にも無いと思う。エリザベスやダーシーの気性や、コリンズの狡猾さなど、それぞれの登場人物の特徴が文章からはっきりと伝わってくる。

    この歳になって読むジャンルの本ではないのだろうが、これをきっかけにジェーン・オースティンの本を読んでゆきたいと思っているし、来月のロンドン出張時には、古本屋で(オースティンの本は結構沢山並んでた)革装丁本を買って来てコレクションとしてゆきたいと思う。


  • 読んでいる間中、
    「あっはあ、おもしろ。あーあッ、おもしろ」と
    『犬が星見た』の銭高老人状態。

    わたくしの大・大・大・大好きなこの小説。

    『高慢(自負)と偏見』の翻訳を読み比べるのが
    人生の楽しみ!

    新潮文庫の『自負と偏見』が新訳になったときいて、
    (今裏表紙をみたら二年前の七月みたい)
    さすがに家にあり過ぎるかな…、中野先生訳だけど
    新潮文庫版もあるし…とちょっと知らないふりしてみたけれど
    やっぱり堪えきれず、買いました。
    (そしてしばらく本棚で寝んね)

    ストーリーとしては、
    かしこぶって、意地をはっていた美人の娘さんが
    本当の愛に気付いて玉の輿にのる話、
    と言う、ざっくり書くと身も蓋もない感じがするけれど、

    オースティンの小説の面白いところの一つに
    出てくる変な人の描写がものすごく凝ってる、と言うのがある!
    もうまるで、隣に座っている?、と言うくらい。

    厚顔の駄目男、ウィッカム。

    権力者に媚びへつらい、慇懃無礼なミスター・コリンズ。

    ちやほやされ好きの頭空っぽ娘、リディア。

    このリディアの馬鹿さ加減が読むたびに
    毎回毎回苛々して頭が痛くなるほどなの!(でも読む)

    今回の翻訳ではエリザベスのお父さんが
    一家の主としてどういう風に駄目なのか、
    がすごくよく理解できた。

    当時の風習とか豆知識(?)みたいなのを
    ページの端にちょいちょい親切に載せてくれるから、
    「あ、そういうことだったの!」と
    より理解が深まった。

    会話の部分はちょっと「気さく」過ぎて、
    そこは私の好みではなかった。

    地の文章がさっぱりしていてわかりやすかった。

    でも誰かに『「高慢と偏見」が読みたいけれど
    どれがいい?』と聞かれたとき、
    お勧めするのはこれじゃない、んだね(ごめんね)

    私がお勧めするのはね…(また今度)

    • yamaitsuさん
      日曜日さん、こんにちは(^^)/
      「高慢と偏見」と読もうと思ったときに、どの翻訳で読もうかさんざん迷い、ちくまや岩波は上下巻だけど新潮文庫...
      日曜日さん、こんにちは(^^)/
      「高慢と偏見」と読もうと思ったときに、どの翻訳で読もうかさんざん迷い、ちくまや岩波は上下巻だけど新潮文庫は1冊ですむからもうこれにしようかなと思いつつブクログのレビューを徘徊していたら、日曜日さんのこちらのレビューが目に留まり、なるほど、これじゃない、のかと(笑)

      また今度と言わずおすすめ教えてください!とよっぽど訴えようかと思ったのですが(笑)いろいろ比較してとりあえずちくま文庫で読みました。もとが面白いので、どの翻訳で読んでもきっと面白いのでしょうね。
      2017/03/27
    • 日曜日さん
      yamaitsuさん、こんばんは!コメント有難うございます。お勧めは河出文庫版(安部知二先生翻訳)だったのですが、最近光文社古典文庫の小尾芙...
      yamaitsuさん、こんばんは!コメント有難うございます。お勧めは河出文庫版(安部知二先生翻訳)だったのですが、最近光文社古典文庫の小尾芙佐さん訳を求めまして、「…これか…?」とちょっと思っています。まだチラチラみている段階ですが…。出てくる登場人物、イライラさせられる人達も含めてみんな良い、ってすごいですよね!
      2017/03/27
  •  終始、面白可笑しい皮肉調で描かれているから、クスクス笑いながら読んでしまう。何か衝撃的な出来事があるわけではないけど、全場面が楽しくて、非常に好きな作品になった。つまらない場面が全くなかった。

     登場人物の生き方はみんな違っていて、それぞれの生き方は悲しかったり、惨めだったり、皮肉に思えたりする。人間の性質や流涎している思想の具現化にも思えた。

     どの登場人物についても、客観的な納得のいく描写によって、その人間性が鮮やかに描きだされている。仔細な人間描写により、読者は登場人物を身近に感じることができる。物語の世界に引き込まれる。エリザベスがダーシーの人間性を誤認し、嫌悪してしまういきさつ、手紙でのダーシーの弁明、エリザベスの誤解解消への心の動きが、十分すぎる程の説得力を持っていて、読者に自然に感じられるのは、オースティンの描写能力があってこそだなと感じた。

     自分も、エリザベスのように人間を批判的に見てしまうところがあるから、非常に共感する点が多かった。共感するからこそ、身につまされる点も多かった。高慢な態度で偏見を抱き、それが正しいと思い込まないように…。

     エリザベスは、洞察力が高くて、深く物事を考えるタイプで、社交的で、柔軟性があって、機知に富んでいて、芯があって…何もががカッコいい。地位や階級を重んじる社会を理解して納得してはいるけれど、それよりも人間の尊厳や慈愛を大切にしていて、その信念を貫いているところがすごく好き。こういう人間でありたいなぁと思った。

  • どの訳で読むか散々迷った挙句、新訳で読んでみた。
    非常に読みやすかったと思う。
    そして何故この本が名作だと言われているのかがよくわかった。説明不要に面白いのだ。
    恋愛小説としてもドキドキするし、家族小説としても感情移入でき、当時のイギリスの中の上くらいの階級の生活に飛び込んだ気分になれる。それくらい鮮やかに作品世界が描かれていて、また人間の描写も素晴らしい。何百年たってもリアリティをもって共感できる巧みな人物描写。
    ネットを見ていたらダーシーが元祖ツンデレと書かれていて笑った。うん、まあ確かに言われてみれば、彼はツンデレとしての魅力が詰まったキャラであるかもしれない(笑)
    映画の「プライドと偏見」も観た。こちらもまあおすすめ。

    ところでタイトルの訳、原書は"pride and prejudice" だが、日本語に訳されるときは
    「高慢と偏見」
    「自負と偏見」
    「プライドと偏見」
    の三つのパターンがあるようで、タイトルの訳にこうまでばらつきがあるのも珍しいのではないか。prideをどう訳すかで割れているのだが、確かに「高慢」でも「自負」でもカタカナの「プライド」でも、どれも内容から言っても外れていないと思う。でもイマイチしっくりこない、物足りないというか…。ニュアンスの問題で。イメージ的にはこの三つともを混ぜ合わせた感じなんだよなあ。

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著者プロフィール

ジェイン・オースティン(Jane Austen)
1775年生まれ。イギリスの小説家。
作品に、『分別と多感』、『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』、『ノーサンガー・アビー』、『説得されて』など。
1817年没。

「2019年 『説得されて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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