自負と偏見 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (649ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102131046

作品紹介・あらすじ

イギリスの静かな田舎町ロングボーンの貸屋敷に、資産家ビングリーが引っ越してきた。ベネット家の長女ジェインとビングリーが惹かれ合う一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの気位の高さに反感を抱く。気難しいダーシーは我知らず、エリザベスに惹かれつつあったのだが……。幸福な結婚に必要なのは、恋心か打算か。軽妙な物語(ストーリー)に普遍の真理を織り交ぜた、永遠の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 書店で「傲慢と偏見」で探してて見つからないというのを二回くらいやって購入、滑稽な人が次々と出てくるため「吾輩は猫である」を読んでる時の様な感覚に…下手な展開ですが、二人の感情が爆発してからは楽しめました。
    名前を追うのに少し苦労した。

    この人痛い目に合わないかな〜って人が結構いて、現実にもいるので笑えない感じでした。前半がなかなかつらかったけど、そういう人間観察、描写がこの作者の持ち味なのかな

  • 再読。12月は再読月間。

    ラストは何度読んでも顔がにやける。
    いや、ラストに限らずエリザベスとミスター・ダーシーの絡みは全部。
    てらった風景描写がないところも素晴らしい。

    「お前という人間は、心から尊敬できる男が相手でなければ幸せになれないし、世間に向ける顔もあるまい。
    自分より優れていると思える相手でなけりゃいかんのだ。
    不似合いな結婚などをしてみろ、先に待っているのは不名誉と不幸だけだ」

  • タイトルから古典的名作であるということだけは知っていたが、ここまで正統派な恋愛小説であるとは思いもしなかった。

    エリザベスがダーシーに対する気持ちを変化させていく描写や、リディアの駆け落ちをきっかけに彼への愛を自覚する場面では不覚にもときめいてしまった。最終的に二人はどうなるのかが知りたくてたまらなくなり、作者の掌でいいように転がされるというこれ以上ない読書体験ができた。

    また何度も言われているとは思うが、作中にたくさん登場する変わった人たちの描写が巧みだと思った。個人的にはコリンズがエリザベスに求婚し、断られたのに「若いお嬢さんは心の中では受け入れるつもりでも最初は断るもので、実は私の求婚を後押ししているのかもしれませんね」と自分に都合よく解釈するシーンの「この人会話が通じないな」感に爆笑した。

    本筋のエリザベスとダーシーの恋愛模様だけでなく、経済的な理由から打算的な結婚をしたシャーロットの行動の是非や、自分では中立な判断をしているつもりだったのに、ダーシーについて偏見を持っていたことをエリザベスが自覚して後悔する場面などに時代が変わっても通用する普遍性を感じた。翻訳の違いで受ける印象も変わると思うので、読み比べてみたくなった。

  •  本当に面白い小説でした。今から二百年以上前の一八一三年に英国で出版された作品ですが、「文学」だとか「古典」だとか堅苦しいことを抜きにして、純粋に娯楽小説(ラブコメ)として楽しむことができました。

     この小説はいまだにとても新鮮です。小説が書かれた頃と今とで文化や習慣は全く変わっているけれど人間の根本的な部分は変わっていない、その変わらない部分を上手く描き出しているからこそこの小説は古くならないのだと思います。

     人物の描き方が秀逸です。知恵者でありながら面倒くさがり屋で皮肉屋のミスター・ベネット、了見が狭く単純で愚かなミセス・ベネット、うぬぼれ屋で間抜けで打算的なミスター・コリンズ、性悪のウィッカム、尊大で気難しく見えながら実は誠実なミスター・ダーシー、いかにも育ちのいいミスター・ビングリー、思いやりがあって人を疑うことを知らず天使のようなジェイン、そして常に物事を深く考え正しい道を進もうとするエリザベス ── 彼らが繰り広げる人間模様は本当に面白く、自分の周りにも似た人がいるなあと苦笑いをさせられます。

     小山太一氏の翻訳は素晴らしいです。ジェイン・オースティンの文章って、実はかなり難しいのです。それをこんなにも親切な日本語にして頂いたことに感謝します。作者の意を酌んだ自然な日本語によって物語がすいすいと頭の中に入ってきました。小山氏は物語の社会的な背景を知り尽くしておられ、しかも要所ごとに注釈をつけることでその背景が自然と読者に伝わるよう工夫されていました。

    • 日曜日さん
      おはようございます!メッセージを有難うございます。「高慢と偏見」楽しいですよね。何度でも読んでしまいます。最近、新潮文庫で色々新訳が出て嬉し...
      おはようございます!メッセージを有難うございます。「高慢と偏見」楽しいですよね。何度でも読んでしまいます。最近、新潮文庫で色々新訳が出て嬉しいですね。
      2017/08/16
  • 前に読んだ岩波文庫版はうろ覚えなのだけれど、こっちの方が読みやすいかな。
    ダーシーとエリザベスのすれ違いぶりは映画でもドラマ版でも原作でもどんな媒体でもときめく!ダーシーほんとツンデレよね。そして一途だ。
    それにしても周囲の人間が強烈だ…。わたしはミスターコリンズがほんとつまらなくてムリ……この人が喋るだけで眠気がくるわ……。でもシャーロットの選択はそんなに責められたものではなくない?そりゃ大好きな親友が嫌な男とくっつくってなったらそうなるのかもしれないけれどさ〜〜〜!

  • 新訳のおかげかとても読みやすい。古典にありがちな難解さやひとりよがりな文学趣味に走ったところがなく、ていねいな感情描写とエリザベスの賢い語りで、物語に引き込まれる。

  •  イギリスの田舎町で暮らすベネット一家は両親と年頃の5人の娘の7人家族。ある日、近くの貸屋敷に資産家のミスター・ピングリーが越して来ることを耳にしたミセス・ベネットは娘の誰かを嫁がせようと躍起になる。  
     長女のジェインは見事、彼の心を射止めたように見えたが、次女のエリザベスは、ミスター・ピングリーの友人のミスター・ダーシーの高慢な態度に我慢できず……。

     相続が男子に限るという「限嗣相続(げんしそうぞく)」という制度のため、いずれは財産を持てずに家を出ることになるベネット家の娘たちと、彼女らを取り巻く男性陣の恋愛模様。「やきもき」という言葉がぴったりの作品。真っ直ぐで知的、姉思いのエリザベスの恋の行方から目が離せず、最後まで一気読みでした。

  •  終始、面白可笑しい皮肉調で描かれているから、クスクス笑いながら読んでしまう。何か衝撃的な出来事があるわけではないけど、全場面が楽しくて、非常に好きな作品になった。つまらない場面が全くなかった。

     登場人物の生き方はみんな違っていて、それぞれの生き方は悲しかったり、惨めだったり、皮肉に思えたりする。人間の性質や流涎している思想の具現化にも思えた。

     どの登場人物についても、客観的な納得のいく描写によって、その人間性が鮮やかに描きだされている。仔細な人間描写により、読者は登場人物を身近に感じることができる。物語の世界に引き込まれる。エリザベスがダーシーの人間性を誤認し、嫌悪してしまういきさつ、手紙でのダーシーの弁明、エリザベスの誤解解消への心の動きが、十分すぎる程の説得力を持っていて、読者に自然に感じられるのは、オースティンの描写能力があってこそだなと感じた。

     自分も、エリザベスのように人間を批判的に見てしまうところがあるから、非常に共感する点が多かった。共感するからこそ、身につまされる点も多かった。高慢な態度で偏見を抱き、それが正しいと思い込まないように…。

     エリザベスは、洞察力が高くて、深く物事を考えるタイプで、社交的で、柔軟性があって、機知に富んでいて、芯があって…何もががカッコいい。地位や階級を重んじる社会を理解して納得してはいるけれど、それよりも人間の尊厳や慈愛を大切にしていて、その信念を貫いているところがすごく好き。こういう人間でありたいなぁと思った。

  • おもしろかった!!

    昔に書かれた本なのに、友達の話を聞いているみたいだった。(いい意味です)この世界の片隅に の すずさんを、友達と感じるようになるのと同じで。

    久しぶりに夢中になって読みました。

  • キーラ・ナイトレイ主演のこの映画を見なきゃと随分前に録画していて、その前に原作を読もうと購入。そうだ、恋愛ってこういう事だよなぁ。階級がはっきりしていた時代の話だけれど、普遍性を感じた。ダーシーのはじめの告白、断られたあとエリザベスに書き渡した手紙、そこからのエリザベスの思いの変化...何度も読み返してます。他の翻訳も読もうかしら。随分前に読んだ「ブリジットジョーンズの日記」も思い出した。

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著者プロフィール

ジェイン・オースティン(Jane Austen)
1775年生まれ。イギリスの小説家。
作品に、『分別と多感』、『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』、『ノーサンガー・アビー』、『説得されて』など。
1817年没。

「2019年 『説得されて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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