シャーロック・ホームズの帰還 (新潮文庫 ト-3-2 新潮文庫)

  • 新潮社 (1953年4月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784102134023

感想・レビュー・書評

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  • 結末知っている話も多いのに、こうして改めて読んでも面白いのはさすが。『空家の冒険』は帰還後初の二人のやりとりに妙にドキドキ。『プライオリ学校』『六つのナポレオン』『第二の汚点』の決着のつけ方ににんまり。解説も楽しい。

  • 宿敵モリアーティとライヘンバッハの滝に落ちたはずが、読者の熱意により”奇跡の復活”を遂げたホームズ。
    この経緯からして面白く、またホームズものをやめたがっていたドイルには申し訳ないですが、またこうして二人の活躍が読めて嬉しいですね。

    ホームズものの短編集は冒険、思い出と読んできましたが、すっかり二人のスタイルも固まり、本作が読んでいて一番安心感を覚えました。
    楽しい図形が描かれた「踊る人形」(ストーリーは胸が痛い……)、「美しき自転車乗り」「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」などが洗練されていて面白かった!
    「犯人は二人」では、ドラマでポワロさんも泥棒していたなぁとニヤニヤ。優れた探偵にはやはり優れた犯罪者の素質があるのでしょうか?
    ある程度この時代の知識を抑えておけば、こちらはかなり読みやすい部類の一冊かと思われます。

    そして延原訳では訳者あとがきまで欠かせません!
    毎度こちらで明かされるドイルの”勘違い”や行き過ぎたシャーロキアン達の行動は、感服するやら呆れるやら……。しかし、そこまで熱狂する読者がいるということで、ホームズものが『ストランド』誌読者にどれだけもてはやされていたかがわかりますよね。

    短編集の利点は、どんなスキマ時間でもささっとその世界に没入できること。
    江戸川乱歩選の短編集も手に入れたので、おいおい読んでいきたいと思います(^^)/

  • シリーズで言えば6作目。
    今回の短編は殺人が多い。
    監視カメラや科学捜査がなく物的証拠と人の証言、現行犯などでしか犯人逮捕の手段がない時代。裁判も陪審員の心情に訴えたもん勝ち感すらある。そりゃ犯罪は多かっただろうし、人の都合によって迷宮入りや誤認逮捕なども多発していたんでしょうね。
    やっぱりホームズの正義のためなら殺人OKみたいなスタンスは肌に合わない。
    そんな人間を警察は頼りにしてはいけないよ。と思ってしまう。
    まぁ、その他の部分はホームズ大好きです。

  • ライヘンバッハの滝で死んだはずのホームズが帰ってきた!
    本書には、彼の帰還を描いた「空家の冒険」をはじめとした10編の短編が収められています。
    小学生の時に初めて読んで、暗号解読の過程にわくわくさせられた「踊る人形」や有名どころの「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」など、読みごたえのある短編集でした。
    「アベ農園」などホームズの人間味が感じられる作品が多いのも魅力です。

    「第二の汚点」は初めて読みましたが、最後のホームズの台詞がしびれます。
    気が利いていて、なおかつかっこいい。

    ライヘンバッハ以前よりも、ワトスンとの絆が強くなったような気がします。
    新米警部のホプキンズに対して、なかなか手厳しいコメントが多いホームズですが、彼に対する期待の裏返しなんだろうな…と思うと微笑ましくも感じられるのでした。

  • 短編ながら、伏線回収や構成は圧巻。

  • The Return of Sherlock Holmes(1905年、英)
    ホームズ・シリーズ、短編集。シリーズ復活の第1作「空き家の冒険」、ポーの「黄金虫」の流れをくむ暗号解読もの「踊る人形」、傑作と名高い「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」など。

  • 本書はモリアーティ教授との闘いでライヘンバッハの滝から落ちたホームズがかの有名なエピソードを基に復活する短編集で少年の頃にワクワクして読んだ「踊る人形」も含まれている。
    しかし「踊る人形」は今読んでみるとポーの「黄金虫」の亜流だとしか読めなかった。
    ここまでくるとホームズ物も当初の斬新さが薄れ、凡百のミステリと変わらなくなってきているように感じた。
    「犯人は二人」のように義侠心からホームズとワトスンが窃盗を働くユニークな一編があるものの、やはり全体としては小粒。ネタも途中で解る物も多かった。こんな冷めた感慨しか持たない自らを鑑み、大人になるというのはいかに残酷かを痛感した。

  •  元々原作者のドイルが「最後の事件」でこのシリーズを終わらせたかった・終わらせるつもりだったというのを踏まえれば『思い出』で終わっていてもそれはそれで「アリ」な気もしますが、こうしてベイカー街に生還した姿を見ると、やっぱり何か嬉しいというか、「まだ読めるんだ!」という気持ちになりますね。

     単純に「帰ったよー久し振りだね!」と玄関のドアを開けて入ってくるようなことはせず、わざわざ親友を驚かせる(つもりは本人的にもそこまで無かったようですが……)やり方で自己を演出してくるあたり「らしい」感じがして微笑ましい。「第二の汚点」でも、そうした茶目っ気というか、彼の人柄が見えるようで良かったです。

     また、「犯人は二人」ではいつもとは少し違った手法(?)で解決まで持っていった力技加減が面白く、全体的にホームズの色々な側面が楽しめる一冊でした。

  • ホームズ終わったはずだけど、読者から要望されて再登場。
    よくマンガで見るパターンで復活してました。
    敵も結構悪知恵働いててシリアスでした(空家の冒険)
    「踊る人形」と「犯人は二人」が好きでした。

  •  劇的に再登場するかと思いきや、意外とあっさり帰って来る『空家の冒険』はもちろん、暗号にわくわくさせられる『踊る人形』、ホームズとワトスンが犯罪に手を染める『犯人は二人』、『六つのナポレオン』など秀逸な短編がてんこ盛り。個人的には『美しき自転車乗り』が好き。いくら心配だったとはいえ単なるストーカー行為で不気味極まりない。愛情が高じてというケースが多い気がする。『第二の汚点』のスッとぼけ振りも大いに笑える。『シャーロック・ホームズの冒険』も面白かったが、バランスが良いのは本書かな。

  • やはりどうしても「そんなこと書いてあったか?」とかフェアじゃないだろ、とか思ってしまうのだが、本書が書かれた時代にフェアだアンフェアだなんていう概念が存在しないのは言うまでもない。

    それでも、やはりこのホームズシリーズが近代探偵小説や、探偵像の基礎を作り上げたのは間違いないだろう。

    〈収録作〉
    空家の冒険
    踊る人形
    美しき自転車乗り
    プライオリ学校
    黒ピーター
    犯人は二人
    六つのナポレオン
    金縁の鼻眼鏡
    アベ農園
    第二の汚点

    特に良かったのは、『金縁の鼻眼鏡』
    ただの鼻眼鏡からそれの持ち主の人物像を暴きあげるのも見事だし、「近眼で視力が極めて悪い人物が、鼻眼鏡なしに草の上だけを上手く歩いていくことはできない」という推理も納得。

  • 第二の汚点では最後にユーモアラスなシャーロックの言葉が良かった。

  • 私は当然シャーロック・ホームズが発表されていた時代の人間ではないけれど、「空家の冒険」でホームズが"帰還"した場面を読むたびに「やった、またホームズに会えるんだ!」という気持ちになります。ホームズのいたずらがなんともにくい!
    「踊る人形」もわくわくしてすき。

  • 「第二の汚点」事件のハッピーエンドが好きだ。

  • ホームズシリーズも折り返しまでやってきた
    名前は聞いたことのある有名なエピソードもあり、序盤の作品よりも面白くなってきたなぁと感じる。

    本人は渋々書いている?という話もまた面白いのだが、考察深まるような表現がシャーロキアンを魅了するのもまた納得。
    ホームズはやはりミステリートリックを楽しむというよりはヒーロー物に近いのだなぁという感覚を改めて再認識

  • 相変わらず面白い。
    発刊順にここまで読み進めた読者の多くがそうなのであろうが、すっかりホームズの虜になってしまった。個人的には謎を解いていく痛快さだけでなく、ホームズとワトソンの何気ない会話や立ち振る舞いも面白い。またホームズ・ワトソンが出かけて行った場所のいわゆる「聖地巡り」もするようになった(先日は『冒険』の橅屋敷に出てくるウィンチェスターに)。

  • シャーロック・ホームズが帰ってきた!
    「空屋の冒険」:モリアーティ教授の死後、ホームズに復讐しようと"ロンドンで2番目に危険な男”が迫る
    「踊る人形」:家中に子供の落書きのような踊る人形の絵。そこに隠された真相をホームズがあばく。
    「犯人は二人」:恐喝王とよばれるミルヴァートンから手紙を取り返す依頼された ホームズ。しかし驚くべき結末が・・・。
    「六つのナポレオン」:次々とナポレオンの石像が壊される事件がロンドンで続発。次第に殺人事件とも絡みあう。犯人の目的とは・・・。
    「アベ農園」:強盗が押し入り、妻の目の前で夫が殺されたという一見単純な強盗殺人。現場にも証言にも不審点は見当たらず。しかしホームズの精妙な観察と推理で真実を読み解く。
    他全10編。

  • みどころは死んだはずのホームズが突然現れて意識を失ったり、彼が本当に実在しているのかを疑い、思わず触って確認するワトソン君です。とても可愛らしい。
    一方のホームズは相変わらず変人で、自分の推理のネタばらしをしてワトソン君から「なあんだ、そんなことか」と言われて不機嫌になったり、動いている汽車からワトソン君の手を引いて飛び降りたり、大きな銛を持って馬車に乗ったりとやりたい放題。100年以上前に描かれた彼らが今日も元気そうでなにより。

    ところで私はホームズ→ワトソンは「ワトソン君」でワトソン→ホームズは「ホームズ」だと勝手に思ってたんですが、この本の中に「ホームズ君」という呼称が出てきてひっくり返った。「ワトソン君」という呼称には「君はいつも分かってないな」感が含まれると思ってたので。総じて君付け可愛い。好き。

  • 今回はホームズの裁量で裁かれたり、ちょっとブラックなホームズを感じるお話が多かったです。
    『青いガーネット』がクリスマスの出来事で特別許されたのかと思っていたのがそうではなかったんだなというのと、140年近く前の話でシリーズを読む前の神格化されたホームズ像がだんだん崩れた今回だから法に背いたり、ブラックなのも受け入れやすかったかなと思いました。
    『踊る人形』『犯人は二人』『六つのナポレオン』『金縁の鼻眼鏡』『第二の汚点』と気に入った作品も多く、垣間見えるホームズとワトスンの信頼関係や日常も良かったです。

  • ライヘンバッハの滝へ落ちたはずのホームズが復活を遂げる今作。

    今作は有名な踊る人形事件が含まれているが、コナン好きな私にとっては、これこそが!みたいな気持ちにさせられた。

    毎回のことだが、ホームズシリーズの短編集は登場人物を記憶する前に話が終わってしまうので物足りなく感じてしまう。

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2023年 『コナン・ドイル① ボヘミアの醜聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アーサー・コナン・ドイルの作品

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