- Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102134023
作品紹介・あらすじ
自ら歴史小説家と称していたドイルは『最後の事件』をもってホームズ物語を終了しようとした。しかし読者からの強い要望に応え、巧妙なトリックを用いて、滝壼に転落死したはずのホームズを"帰還"させたのである。本編はホームズ物語の第三短編集で、帰還後第一の事件を取上げた『空家の冒険』をはじめ、いよいよ円熟した筆で読者を魅了する。
感想・レビュー・書評
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結末知っている話も多いのに、こうして改めて読んでも面白いのはさすが。『空家の冒険』は帰還後初の二人のやりとりに妙にドキドキ。『プライオリ学校』『六つのナポレオン』『第二の汚点』の決着のつけ方ににんまり。解説も楽しい。
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ライヘンバッハの滝で死んだはずのホームズが帰ってきた!
本書には、彼の帰還を描いた「空家の冒険」をはじめとした10編の短編が収められています。
小学生の時に初めて読んで、暗号解読の過程にわくわくさせられた「踊る人形」や有名どころの「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」など、読みごたえのある短編集でした。
「アベ農園」などホームズの人間味が感じられる作品が多いのも魅力です。
「第二の汚点」は初めて読みましたが、最後のホームズの台詞がしびれます。
気が利いていて、なおかつかっこいい。
ライヘンバッハ以前よりも、ワトスンとの絆が強くなったような気がします。
新米警部のホプキンズに対して、なかなか手厳しいコメントが多いホームズですが、彼に対する期待の裏返しなんだろうな…と思うと微笑ましくも感じられるのでした。 -
短編ながら、伏線回収や構成は圧巻。
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本書はモリアーティ教授との闘いでライヘンバッハの滝から落ちたホームズがかの有名なエピソードを基に復活する短編集で少年の頃にワクワクして読んだ「踊る人形」も含まれている。
しかし「踊る人形」は今読んでみるとポーの「黄金虫」の亜流だとしか読めなかった。
ここまでくるとホームズ物も当初の斬新さが薄れ、凡百のミステリと変わらなくなってきているように感じた。
「犯人は二人」のように義侠心からホームズとワトスンが窃盗を働くユニークな一編があるものの、やはり全体としては小粒。ネタも途中で解る物も多かった。こんな冷めた感慨しか持たない自らを鑑み、大人になるというのはいかに残酷かを痛感した。 -
元々原作者のドイルが「最後の事件」でこのシリーズを終わらせたかった・終わらせるつもりだったというのを踏まえれば『思い出』で終わっていてもそれはそれで「アリ」な気もしますが、こうしてベイカー街に生還した姿を見ると、やっぱり何か嬉しいというか、「まだ読めるんだ!」という気持ちになりますね。
単純に「帰ったよー久し振りだね!」と玄関のドアを開けて入ってくるようなことはせず、わざわざ親友を驚かせる(つもりは本人的にもそこまで無かったようですが……)やり方で自己を演出してくるあたり「らしい」感じがして微笑ましい。「第二の汚点」でも、そうした茶目っ気というか、彼の人柄が見えるようで良かったです。
また、「犯人は二人」ではいつもとは少し違った手法(?)で解決まで持っていった力技加減が面白く、全体的にホームズの色々な側面が楽しめる一冊でした。 -
劇的に再登場するかと思いきや、意外とあっさり帰って来る『空家の冒険』はもちろん、暗号にわくわくさせられる『踊る人形』、ホームズとワトスンが犯罪に手を染める『犯人は二人』、『六つのナポレオン』など秀逸な短編がてんこ盛り。個人的には『美しき自転車乗り』が好き。いくら心配だったとはいえ単なるストーカー行為で不気味極まりない。愛情が高じてというケースが多い気がする。『第二の汚点』のスッとぼけ振りも大いに笑える。『シャーロック・ホームズの冒険』も面白かったが、バランスが良いのは本書かな。
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第二の汚点では最後にユーモアラスなシャーロックの言葉が良かった。
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私は当然シャーロック・ホームズが発表されていた時代の人間ではないけれど、「空家の冒険」でホームズが"帰還"した場面を読むたびに「やった、またホームズに会えるんだ!」という気持ちになります。ホームズのいたずらがなんともにくい!
「踊る人形」もわくわくしてすき。