四つの署名 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102134061

感想・レビュー・書評

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  • 今作もおもしろかったー!
    退屈な日々を過ごしていたホームズのもとに、メアリー・モンスタンが相談にやってくる。
    十年前に行方不明になった父、六年前から毎年送られてくる一粒の真珠、そして謎の人物からの呼び出しの手紙が届いたとの内容。
    そこから、次々と謎に次ぐ謎が現れていき、え?どういうこと??と完全に引き込まれていった。
    ホームズの天才的な観察力と推理力が、今作でも遺憾なく発揮されている。もうカッコよすぎるよね。冷血なようでいて、ワトスンが怒ったときには素直に謝ったりと、人間味も感じらてよかった。
    そして、なんといっても今作は、ワトスンの恋の行方もみどころ。ワトスンの誠実な人柄が素敵だ。幸せになってね。

  • 先日、緋色の研究を読んで、順番通り読み進めています。
    そういえば、小学生以来のホームズさんです。
    ただ、当時の記憶としては、「まだらのひも」がやたらと恐ろしくて他は全然覚えていませんね。
    で、四つの署名なのですが、推理というかどちらかと言うと冒険?ですかね。
    のっけからホームズさん、ぶっ飛んでいるし、ワトスンさんは恋愛モードだしWikiによれば、“聖書に次ぐベストセラー“ですか・・・・。
    こんなに俗っぽかったかな。嫌いではないですが。
    それと、1880年代の暗黒部(差別や薬物)を興味深く読めました。
    何か間に挟んで、モリアーティまでは読み進めてみようと思います。

  • シャーロック・ホームズって、本当に不思議な人だと改めて思う。

    ざっと書き連ねてみると、

    無気力で怠惰な時と、情熱的に行動する時がはっきりしている。

    詩人の一面も持つ(人間てなんというちっぽけなものだろう。こうした小さな功名や競争意識で動いているなんて、自然の偉大なる威力にたいして、なんという情けなさだろう?)。

    ときに自らヴァイオリンを奏で、ワトスンを眠らせてあげる優しさも持っている。

    それから、ホームズの人間性について、利己的で変わり者の印象も見られるが、ジャン・パウルの言葉を引用したり(人間の真に偉大なるゆえんの主たる証明は、自己の弱小さを認識しうるところにある)、人間とは、それぞれ不滅のなにものかを身内に包んでおり、最初からこうだと決めつけるわけにはゆかないことから、「人間て実に不思議な謎」と言っているホームズ自身が実は、人間らしい人間だと思えるような気がしてきました。

    また、そこには仕事への誇りを誰よりも持っている一面もあり、自ら、「世界唯一の私立顧問探偵」だと名乗ったり、仕事そのものが無上の報酬だと言っていることからも覗えるが、何より、結婚をしない理由を知ったときが、最も彼の探偵への熱い情熱と責任感を改めて思い知らされたようで、感動すら覚えたのでした。

    今作は、事件の推理的要素が少なく、犯人に対しても半ば自業自得の感を覚えたため、ホームズの事ばかりになってしまいましたが、そういった犯人にも、きっちり思いの丈を吐き出させてあげる、ホームズの姿勢には、また目を見張るものを感じました。

  • ホームズ長編シリーズ2作目。
    ワトソン運命の出会い。
    前作同様復讐劇で、周りに回ってその子どもたちに迷惑が被る。
    謎の部族というものは、情報がない時代にとっては恐怖でしかなかったのだろうな。
    激しいボートチェイス。
    これまた悪人成敗し、捕まっても後悔ないですパターン。
    物悲しげなホームズ。
    ワクワクする展開でした。

  • 相変わらず伏線の回収はお見事。推理に追跡に変装、ホームズらしさ十分で、ストーリーもわかりやすく面白い。大好きな一冊になりました。

  • 前作に引き続きキャラクターが魅力的で、犯人のバックボーンが丁寧に描かれており、
    物語としての厚みは前作の方があったように感じたが、最後まで面白く読めた。
    今回は少し追跡劇もあり、緊張感のあるスリリングな展開が良かった。
    観察力と推理力というセリフ通り、ホームズの人間離れした謎解きは魅力。
    今回は前作に比べるとそこまで謎一辺倒ではないものの物語もそこまで長くないので割とサクサクと読める。

  • 酸いも甘いも嗅ぎ分けた大人になった現在、ホームズ譚を読むと論理の飛躍性に苦笑を禁じえない。瞬時の観察でもうそれが唯一無二の絶対心理だとの賜る推理はもう穴だらけで必然性が全く感じられず、全て偶然性に寄りかかっている感じが強い。
    が、ともあれストーリーの構築としては先の『緋色の研究』もそうだったが、過去の遠大なるエピソードを真相に絡ませるのは○。
    ただこうしてみるとホームズと御手洗が非常にダブって見えるよなぁ。

  • 緋色の研究に続き二作目のホームズ。
    相変わらず表紙が素敵。表紙下部に数字を浮かび上がらせているのいいですね。
    それにしてもこの古風な新潮訳……落語とかを聞いている気分になるなー。「とっつぁん」とか、銭形警部を思い出しちゃったよ。

    緋色の研究の時も思ったが、著者コナン・ドイルの歴史小説家としての一面が物語に深みをもたせているように思う。犯人の背景はイギリスを飛び出して世界の様々な場所を舞台にして語られる(今回は主にインド)。実際にあったインド大反乱を物語にからませているわけで、当時の読者にとってはかなりリアリティが感じられたんじゃないかな。

    でも相変わらずミステリとしてはあんまり上手くない気がする。読者も推理に参加できるわけでもなく、一体誰が!?/どうやって!? と謎に驚かされるわけでもない。……まあ、これはフェアな評価ではないかな。そもそも当時の常識や風俗、ロンドンの地理が推理部分に密接に関わってくるので当時のロンドン市民ならいざ知らず、現代日本人が謎そのものを楽しんで頭を捻って真相を考えるのは無理があるだろうから。
    とりあえず「四つの署名」とか「アグラの大財宝」とか、読者を惹きつける舞台装置は上手いと思う。

    物語内容について。
    悪人の矜持。任侠モノとか好きな人は、きっと犯人を嫌いになれない。今よりもずっと差別意識が強かっただろう当時に彼らを仲間として最後まで重んじる犯人は、なかなか魅力的な人物だと思う。大財宝の正当な所有権は誰にあるべきなのか? と考えるとこれは難しい問題だなあ。

    最後に。
    ホームズ冒頭からコカインきめちゃってるわけだけど、これを理由にホームズシリーズが学校図書室から排除されないといいなと思う。ないとは思いたいけど、最近の風潮を思えば十分可能性のある未来だ。

  • シャーロックホームズシリーズを読むとホームズに影響されて推理したくなってしまう。

    理論を聞くとなるほど、と思うけれどその理論にたどり着くプロセスがどれほど難しいか

  •  前作より冒険色が強くミステリ要素も薄いが、私が想像するホームズのイメージそのものの話。テムズ川の追跡劇あり、インドの財宝あり、ワトスンのロマンスありと盛りだくさんの内容。『四つの署名』というタイトルから想像していた真相とはまったく別物だったが。意外とホームズとの共同生活が長くなかったことにびっくり。時代の違いかお国柄の違いかはわからないが、動機等が一風変わっているのが興味深い。

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2024年 『コナン・ドイル 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

コナン・ドイルの作品

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