シャーロック・ホームズ最後の挨拶 (新潮文庫)

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感想 : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102134092

感想・レビュー・書評

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  • His Last Bow(1917年、英)。
    ホームズ・シリーズ、短編集。ホームズが扱った最後の事件で、シリーズ中の異色作「最後の挨拶」など。

  • シャーロックホームズの素晴らしさはトリックだとかどんでん返しにあるのではない。
    ワトスンの語りから垣間見えるホームズという人間、ワトスンとの関係、魅力的な依頼人と犯人にあると思う。
    基本的に人物の心情について細かに書いてあることは少なく、事実が多い。だからこそシリーズを読み進める過程でホームズの人間像が少しずつ自分の中で厚みを帯びてきて気がついたらお気に入りの人になっている。
    まるで本当に事件を通して友達になったみたいに!
    きっと世界中、たくさんの時代の人がホームズに夢中になってホームズを作り上げてきたんだと思う。だからこそ映画化、ドラマ化が絶えなくて。
    「最後の挨拶」は今までの短編とは雰囲気が違う。三人称で引退後のホームズ。ワトスンも初老。時が作り出すものはなんだか少し悲しい。それと同時に愛しくもある。ワトスンとホームズの友情も気づけば何十年積み重ねたものなんだなあって思った。ワトスンはまた戦争に行くみたいだ。もうホームズと会えないかもしれない。東風の話をするホームズとのんびり答えるワトスンに胸が締め付けられた。小説の中の主人公はやろうと思えば歳をとらないこともできる。それでもやはり沢山の事件を通して歳を重ねたワトスンとホームズがわたしは大好きだ。
    シャーロックホームズシリーズは紛れもなく2人の男の人生の断片を描いていると思う。
    忘れ去られることが死ぬということなら、シャーロックホームズはたとえ現実にいなかったとしても、数え切れない数の人の中に命を宿した紛れも無いヴィクトリア朝時代のイギリスに生きた探偵だ。

  • う~ん、とうとう来るべきものが来たという感じ。今回に関しては各短編全てにおいて興趣を欠いていた。
    有名な短編としては「瀕死の探偵」が挙げられるが、この話もホームズの馬鹿さ振りを髣髴させるエピソードとして色んな作家の作品中で語られるものなので実は大したことはない(実際、この短編におけるホームズはアホである。それにまんまと引っかかるワトスンもまた斯くや)。
    短編集の題名になっている「最後の挨拶」はもはや本格ですらない。これこそドイルがホームズ譚を執筆するのにうんざりしていた証拠になる。
    「亢龍やがて堕つべし」というがホームズもまた同様である。
    まあ『恐怖の谷』が読めただけでもホームズ譚を読む事の収穫は大いにあった。

  • 8つの短編集。「ボール箱」「悪魔の足」が良かった。シリーズとしてなお1冊余してるのに表題の「最後の挨拶」が含まれてるのかは、巻末の解説にある。2019.2.17

  • ホームズの物語の中で、時系列的に一番最後の「最後の挨拶」が収録されている短編集。このあとに「シャーロック・ホームズの事件簿」がまだ執筆されるわけだけれど、引退したホームズの最後の事件か…と思うと、寂しいものは寂しい。馬車じゃなくて自動車が登場したり、ホームズが60代になっていたり…当時の読者はホームズロスになったんじゃなかろうか。

    個人的に好きだったのは「瀕死の探偵」それまでの作品とはひと味違った展開をみせるから。
    あと「悪魔の足」も。ホームズ作品って、未開の地の神秘を要素に入れてることがけっこうあるよね。当時の人々の冒険心とか文化人類学的な興味を刺激したんじゃなかろうか。
    まあ今の感覚でいったらたとえば「四つの署名」にみられるような人種の扱いはアウトかもしれないけど、昔の文学作品にあんまり野暮なことはいいたくない。

    さて、なるべく刊行順に読んできたホームズシリーズ、次は「シャーロック・ホームズの事件簿」といきたいところだけれど、新潮社版ではこれまで収録しきれなかった短編を集めた「シャーロック・ホームズの叡知」がある。
    最初は読みづらいと思っていた古風な訳もくせになってきたけど、新潮社版のこの仕様だけはいまだに納得いかないなー

  •  『冒険』ほどではないにせよ個人的に粒揃いだと感じた今回の短編集の中、ひときわ印象強い読後感が残ったのはやはり表題の「最後の挨拶」でした。

     これまでの作品群には現実の歴史的事件の匂いを感じるようなものは然程ありませんでしたが、この短編に関しては第一次大戦の不穏な気配が色濃く表れており、ホームズの取り扱った他の事件とは少し毛色の異なる緊張感が漂っています。
     そしてこの緊張感が、読者が抱くこのシリーズへの「慣れ」という、悪く言えば一種のマンネリ感とも言うべきものを取り払った部分が少なからずあるのかなと感じました。他と比べて異色であることは確かなので好みが分かれそうな短編だと思いますが個人的にはとても気に入りました。
     ホームズが探偵業を引退してから長らく交流が無かったであろう彼とワトスンとの関係も、ひとたび両者が合流すれば再び以前のように息の合ったコンビネーションを見せるそのままの関係が垣間見えるのも微笑ましい。「最後の挨拶」直前までの短編でホームズの現役時代の話を読んでいるはずなのに、久方振りに共同で事件にあたった二人のやり取りに読者としてもどこか懐かしい気持ちにさせられます。

     「東の風になるね、ワトスン君」から始まる二人の最後のやり取り、特にホームズの言葉は彼の口を介して出たドイル自身の言葉なのかな。ホームズ物語はこの後もう一冊(いま読んでいるのは新潮社版なので後二冊)ぶんの展開があることは頭には入っているものの、個人的にはこの「最後の挨拶」は適度にセンチメンタルな読後感を残してくれる良い最終回だと思います。全ての短編を読み終わった後にもう一度この一篇に戻って来たいと思える作品でした。

  • えっ?終わんの?と思う本。


  • やっぱりシャーロックホームズは面白い!

    ちょっと堅物なホームズだけど結局ワトスン君のことが
    大好きな感じが堪らない..❤︎
    20年経ってもなお、相変わらずの友情!

  • 以前このシリーズを特集している番組で、出演していた方が「瀕死の探偵」を推していたのをずっと覚えていて、読むのを楽しみにしていた。ページ数としては多くないけど、最後にひっくり返される面白さはさすが。ワトスンの振り回されっぷりも好き。
    トリックでは「フランシス・カーファクス姫の失踪」が面白い。この話は、ワトスンが単独で調べている時のどや顔を想像するのも楽しかった。(その後の展開を予想するのも含めて…)
    改めてワトスンは自分の好きなタイプのキャラクターだと認識できた巻。うまいこと騙されたり利用されたりしても、結局は「ホームズ君スゴい!」になるところなんか、愛されキャラだと思う(個人的に)。それでいて行動力があったり、きちんと常識人だったりするところが良いんだよなぁ。

  • 最後の挨拶、とはいってもこれぞ最後ってのがあるわけでもない。

    つーかそもそもホームズの物語って終わりのないものだと。
    なんたって作者が殺しても生き返っちゃうんだからなー。
    コナンドイル、めっちゃすごいもの生み出したなあ。

    「最後の挨拶」はなんかいつもと違う感じだなーっと思っていたのだが、どうもワトソン語りじゃなかったからみたいだ。
    まあ、ホームズの手際のよさはいつも通りですが。
    しかも、引退後らしいので結構なお年、なのか?

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著者プロフィール

1859年スコットランド、エディンバラ生まれ。小説家。推理小説、歴史小説、SF、戯作など、多岐にわたる作品を残す。中でも「シャーロック・ホームズ」シリーズは、現代のミステリ作品の基礎を築いたとされる。1902年にナイトに叙せられ、「サー」の称号を得る。1930年没。

「2021年 『シャーロック・ホームズの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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