続813: ルパン傑作集(Ⅱ) (新潮文庫)

制作 : 堀口 大学 
  • 新潮社
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本棚登録 : 268
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102140024

感想・レビュー・書評

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  • 前作『813』を読んだのが、何と10ヶ月前!!ほとんど内容の方は忘れてしまっていて、何が何やらさっぱり判らなかった。
    『813』で残された謎が次々と明らかにされていっているんだろうけれど、もう謎自体、忘却の彼方へ押しやられて、ただ文字の流れを見るのみになってしまった。
    こんな読書はいけないのだろうけれど、他の作者の本を読むときは物語世界に入っていけるのだから、これはやはり作者のせいだろう。

  • 神出鬼没 VS 超神出鬼没


     前哨戦(『813』)を終えて分かったのは、我らがアルセーヌ・ルパンは殺人犯などではなく、まだなお無血を守る怪盗紳士であること。一方、事件の首謀者は仲間を殺すことも辞さない、冷酷な人物であること。『続813』は、ついにルパン対殺人鬼の一騎打ちとなります。

     戦いは、ルパン側の苦難の連続! 投獄されて足を封じられ、脱獄からの再出発。まるで姿を見せない敵はなぜかルパンの手口を見通していて、神出鬼没で鳴らしているルパンを上回る、超神出鬼没なのでした。
     神出鬼没は、超神出鬼没に出会うと無効化される。特殊な性質や能力があっても、同種の特性において相手に上回られた場合、その力は損なわれるのです。

     手がかりをあらかた消し去っていく相手の手腕と、ルパンと違って血を流すことも厭わないやり口に、高まる恐怖感――。
     この強大な敵を前にして、ルパンからあらたな魅力がにじみ出ます。風のように現れたり、煙のように消えうせたりすることはないかわり、肉体の物質感を獲得したルパン。血が通い、汗もかき、焦りや苦痛をおぼえることだってある、熱い思いを抱く一人の人間になりました。

     変幻自在の怪盗紳士は、香水のようにおしゃれなフェロモンをふりまいてきたけれども、この作品でルパンがまき散らすのはおしゃれ系さらさらフェロモンではなく、したたる汗系へと変わりました。ふりかかる苦難を乗り越え、何事かを成し遂げる者からでなければしたたらない塩水です。


     ところが、続編まで謎を持ち越した超大作を追った果てに待っているのは、その時代の人間でなければ納得しかねる結末。率直に言っちゃうと、私は今まで読んできた時間をむなしく感じたな……。小説家は自らが生きた時代に作品を縛られずにはいられないのか。これが古典の限界か……?

  • この話のルパンは、アニメのルパン三世のおじいさんなんだね。なんとまあ、ルパンの話だったなあ。ひょうきんで、頭が回り、度胸もあるが、義に厚く情にもろい。そして恋した人を失い、ほろ苦い終わり。意外とよかった。

  • 久しぶりに再度読み返した。読み進めると同時に、ルパンに対しては「こいつ実に嫌な奴だな」という感情が徐々に強くなり、終いには「こいつどうしようもないワルじゃん」と確信するに至る。

    当時の歴史背景や政治情勢がもっと語られていればもう少し読むのに面白くもあったろうが、そういうとこはことごとくスルーで、恋愛、活劇、権力、名誉、物欲金銭欲をめぐってお話は展開されていく。言ってみればルパンというのは当時のフランスの大衆の属性そのものの具現化だと言っていいのではないかな。

    自分の両の手で絞め殺すまで真犯人が誰だか気づかなかったっていうのは推理小説としてはスンゴク型破りとは言えるな。しかしこれじゃ洞察力も観察眼もゼロだよ。

    結末が虚無感一色で終わるという点にこの作品の一筋縄では行かなさが表れているとも思った。後味の悪いような不思議な読後感を生む。ただ、最後の最後でまたぞろワルの芽がムクムクと...。ということでやっぱりルパンは懲りてないのでした。

  • 子供の頃に読んだと思うが内容を覚えていなかった。少年用で全文でなかったのだろう。新鮮だった。訳がわかりづらかった。ルパンが人を殺めるなんて驚いた。2015.4.27

  • 訳者さんの訳がどうしても私にはルパンに思えないのは前編同様。
    一度読んだことがあるので内容は何となく覚えてました。

    ネタバレになりますが、
    セルニーヌ公爵=ルノルマン=アルセーヌ・ルパン。
    ルパンが好敵に翻弄されつつも、最後は意外な相手が犯人だと発覚。
    ルパンの娘さんが出て来たり、最初はルパンに頑なだった乳母のビクトワールが最後はやっぱり「私の坊や」に心動かされたり。

    結末はお楽しみ、と言うところで割愛しますが、最後のアレはルパンが体鍛え過ぎなんだと思います…。

  • Maurice LeblancのArsène Lupinシリーズで、1910年発表の「813」の下巻である。813の数字やAPO ONの謎が明らかとなるが、あまり推理によって解けたという感じではない。冒頭の牢屋の中にいながらたくさんの事を仕掛けやり遂げてしまうルパンに巧妙さ、ヘルロック・ショルメスとの静かな戦い、7人の敵を金によって負かす大胆さがおもしろい。

    終盤は、謎の暗殺者の正体が明らかとなり物語は一気に悲劇へと変わる。そこからのルパンの内面描写がすごいが、訳が直訳に近いので読むのもそこからかなり大変になる。「これが、それが、あの、何ともつかぬ、であったではないか」という感じ。

    常に情熱的に行動し、車と電車が衝突しようと屈せずある男を助けようと奮闘するルパンがかっこいい。

  • これって、名訳書なんですかね?

    私にはストーリーよりも、日本語が辛かったです。

  • まさかと思ったが、あの人が真犯人だったとは・・・!
    それなら、犯人とされた彼は何者だったのだろう?

    普通のビジネスの話かと思ったら、歴史的重要事項にまで話が広がった。
    実際にこういうことがあったんだろうか?と気になってしまう。
    ありそうな歴史的書簡だし。

    やはりラストはさみしい感じ。
    いつも冷静沈着で、次々人の上をいくルパンが、狂人のように取り乱したシーンでは、人間くさくて私は好きだった。

  • 昭和60年38刷。
    前作813からの続編であり完結編。

    ルパンは前作が初めてだったが、完璧超人な紳士をイメージしていたので少し驚いた。口調に関しては和訳の問題もあるかもしれないが。

    野心があり、傲慢そうで、時に弱気になったり、怒ったり、劣勢を強いられるルパンがとても人間くさくて好感が持てる。中盤から完全にのめりこみ、辛気臭い結末からの展開がとても「ルパンらしい」と思ってしまった。

    山場山場で明らかになる事実やどんでん返しがとても気持ち良く、飽きさせない。前述のように決して後味の良い結末ではないが、読後の爽快感はかなりのもの。

    当然ながら『813』、『続813』と続けて読むことをオススメしたい。

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著者プロフィール

1864-1941。作家。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンを生み出し、一世を風靡、冒険推理小説に金字塔をうち立てた。レジオンドヌール勲章受勲。

「2019年 『怪盗ルパン 二つえくぼの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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