八点鐘―ルパン傑作集〈8〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102140086

感想・レビュー・書評

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  •  推理作家・二階堂黎人氏による「足跡のない殺人リスト(不完全版)」という「足跡のない殺人もの」ミステリの一覧表があります。ここで海外編の筆頭に「テレーズとジェルメーヌ」および「雪の上の足あと」の『#八点鐘』2作が堂々と選出されています。
    《足跡のない殺人リスト(不完全版)》二階堂黎人・編
    http://nikaidou.a.la9.jp/asiato.htm
    そして、リストアップに添えて、以下抜粋のように言い添えています。(←ここ重要)

    【 2. 海外編 】
    ●「テレーズとジェルメーヌ(短)」 モーリス・ルブラン 1923   (^_^) 『八点鐘』アルセーヌ・ルパン全集(14) 偕成社
    (最近、#アルセーヌ・ルパン が少し軽んじられているようで、僕ははが ゆい気持ちで一杯だ。ルパンの活躍の中にはトリックやプロットがふん だんに盛り込まれていることを忘れるべきではないと思う。  この作品おトリックは、同時に密室殺人の一トリックの先駆けとして も有名である)
    ●「雪の上の足跡(短)」モーリス・ルブラン 1923 (^_^) 『八点鐘』
    #アルセーヌ・ルパン 全集(14) 偕成社
    (『八点鐘』という一冊の短編集の中に、二つも「足跡のない殺人」が出て来るのだから驚くばかりだ。
     ここで生み出されたトリックも、「足跡のない殺人」のトリックの完全なるスタンダードである)

    以上が抜粋ですが、「ルパンの活躍の中にはトリックやプロットがふんだんに盛り込まれていることを忘れるべきではないと思う。この作品おトリックは、同時に密室殺人の一トリックの先駆けとしても有名である)」というコメントは嬉しいです。冒険小説として探偵小説と分けられる感のあるルパン譚ですが、純粋にトリックを使った事件を扱う小説として、もっと認められて良いと思います。
    なお、この件は「怪盗ルパンの館」からのご紹介でもあることを申し添えます。http://www2s.biglobe.ne.jp/tetuya/lupin/lupin.html


    「わたしのほしいものは、古いコルサージュの留め金です。金線細工の台の上にルビーをはめこんだ留め金です。…」(『#八点鐘 メルキュール骨董店』偕成社刊P338)
    これは、ヒロイン・オルタンス嬢が探している大切な品の記述。「ルビー」をはめこんだ留め金という翻訳の部分を原文と比べてみた。原文では「composée d'une cornaline sertie dans une monture de filigrane.」ルビーと訳された〇〇は「cornaline」とある。「carnelian」は「カーネリアン」とある。【カーネリアン(carnelian)は鉱物の一種で玉髄(カルセドニー)の中で赤色や橙色をしており網目模様がないもの。紅玉髄(べにぎょくずい)ともいう。網目模様があるものを瑪瑙と呼ぶ。】https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3
    化学式は SiO2(二酸化ケイ素)。モース硬度で 6.5 - 7。比重は 2.61。
    「カーネリアン」とは、赤色や橙色のカルセドニーのことを指す。他の玉髄などと同様、工芸品や彫刻の材料、印鑑や印章、アクセサリー等に使用されている。
    また、【ルビーは、コランダム(鋼玉、Al2O3)の変種である。ダイヤモンドに次ぐ硬度の赤色が特徴的な宝石である。】https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC
    「ルビー」も「カーネリアン」も共にアクセサリーに用いられ、西洋ではどちらも7月の誕生石とされている。
    http://www.maquani.com/category/item/birthstone/07-july/
    「ルビー」と「カーネリアン」はどちらも赤色で、アクセサリーに使われる。
    オルタンス嬢の「大切な留め金」が、どんなものかとの興味本位で調べてみた。翻訳がどうのこうのという意図はないことを書き添える。
    小説の記述から小道具について知りたく思い、調べてみた個人の( ..)φメモ。
    #アルセーヌ・ルパン からオルタンス嬢への指示から。「切り子面のついた黒玉の首飾りを…」(『#八点鐘 #メルキュール骨董店』偕成社刊P340)この部分の原文は「…un collier de boules de jais,taillées a facettes,…」「黒玉」=「jais」とはどんなものか。仏語「jais」=英語「jat」。
    黒玉(こくぎょく、jet)は水中で長い年月を経て化石化した樹木。琥珀のような樹脂ではなく、樹木の幹そのものの化石である。褐炭の一種であるが、宝石として扱われる。非常に軟らかく、軽い。独特の柔らかい光沢をもつ。
    夫のアルバート公を亡くしたイギリスのヴィクトリア女王が長い喪に服した折、服喪用ジュエリーとして用いたことで名高い。女王が自らに謁見する女性にもジェットを身につけることを奨励したため、イギリス貴族女性の間で大流行した。ja.wordow.com/french/dictionary/jais …
     アルバート公は1861年12月に薨去した。ヴィクトリア女王の服喪はその後国政に大きく影響する。(Wikipediaより)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2_(%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E5%A5%B3%E7%8E%8B)#.E3.82.A2.E3.83.AB.E3.83.90.E3.83.BC.E3.83.88.E8.96.A8.E5.8E.BB …

    『#メルキュール骨董店』は、初出1922年7月「メトロポリタンマガジン」誌に英訳発表。1923年1月「エクセルシオール」紙に仏文発表。ヴィクトリア女王の服喪で大流行した黒玉はフランスでも使われていただろう。※日本語でいう「カーネリアン」は、(仏:Cornaline)(英:Carnelian)と表記。(『石のおはなし』http://saradnentika.net/ohanashi/index.htm …)
    ※「カーネリアン」補足(仏:cornaline、英:Carnelian)

    カーネリアンにはサイド・ストーリーとして、ナポレオンが常に携帯していたとされる「カーネリアンの八角形の印章」が有名。#八点鐘 #メルキュール骨董店
    #ナポレオン が護符とした逸話からも、#アルセーヌ・ルパン 譚にはふさわしい石ではないでしょうか。(ナポレオンの印章 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8D%B0%E7%AB%A0 …)#アルセーヌ・ルパン 「#ナポレオン の印章」は養女で弟の妻オルタンス・ド・ボアルネ、その三男ナポレオン3世、その嫡男ナポレオン・ウジェーヌ・ルイ・ボナパルトの4代に渡って護符として引き継がれている。継承人物の「#オルタンス」にちなんで『#八点鐘』のヒロインが名付けられたのかも。

  • レニーヌ公爵と名のって、若く美しい婦人オルタンスの前に登場した怪盗ルパンは、彼女を8つの冒険へと誘う。怪紳士レニーヌは、生得の天才的なひらめきと、過去の強盗の体験から身につけた豊富な知識で、無実に泣く人達や、虐げられた人びとを救うために大活躍。最後に、オルタンスの愛も手に入れる。その後のミステリーで定番となったトリックを惜しげもなく繰り出した評判作。 (「BOOK」データベースより)

    8つの冒険に誘われるなんて、うらやましすぎだわ、オルタンス。
    こんな生活してみたい、と心から思いました(笑)。
    8つの物語の中で、たくさんのトリックが使われていて、お得な詰め合わせ的な本でした。
    本当に人を救うためなんでしょうかねえ。
    真実を突き止めたいという探究心を満たすためのかもしれないなあとちょっと思います。
    それが悪いことではありませんけどね。

  • 一応、長編となっていますが、物語は8つあり、連作短編集のようなものでもあります。
    レニーヌ公爵と名乗って、若く美しい婦人オルタンスの前に登場したルパンは彼女を8つの冒険へと誘います。
    怪紳士レニーヌは生得の天才的な閃きと過去の強盗の体験から身につけた豊富な知識で無実に泣く人達や虐げられた人々を救う為に大活躍します。
    最後にはしっかりオルタンスの愛も手に入れます。

  • 盗まないルパンの話。
    その知恵とコネクションとをフルに使って問題を解決するルパンはかっこよい。
    また警察ではないので、必ずしも犯人を捕まえるわけではないあたりもいい。
    8つの問題と8時を掛け合わせた構成がおしゃれ。内容もトリックものあり、本格あり、で楽しめた。

  • 登場時点では、「自信過剰な勘違い野郎?」と鼻につく伯爵(=ルパン)。でも読んでいくうちに・・・ふっふっふ。実は恋愛方面では意外とトホホな目ばかりにあっている彼がいい目をみられる貴重な作品。
    ミステリとしては小粒なのでシリーズの中では知名度は低いかもしれないけれど、何度でも繰り返し楽しめる、ロマンス風ミステリ。

  • 前評判の高い作品ではあったが、評価は上のように落ち着いた。

    内容は、確かにヴァラエティに富んでいる。
    物的・心理的トリックを駆使した本格物から、サイコ・スリラー物まで、アイデアもいい。
    まあ、でも大人になった現在、かなり苦しいものがあるなと痛感した。

    大人になって読んで実感できるものと云えば、この八つの物語、全てリュパンがオルタンスを口説くためだけの前工作に過ぎないという点だ。
    いやはや、ここまで投資する恋があるとはねぇ…。

  • 『塔のてっぺんで』
    ロッシニーと駆け落ちを計画するオルスタン・ダニエル。配偶者同士が駆け落ちしたオルスタンの叔父オーグルロッシュ夫妻。駆け落ちを阻止したレニーヌ伯爵。オルスタンを冒険へと誘う。塔の上から見えた案山子ののような遺体。白骨化した男女の遺体の謎。

    『水瓶』
    レストランで驚愕する男を見つけたレニーヌとオルスタン。逮捕されたジャック・オーブリュの死刑の決定。彼の無罪を信じるジュトルイユとジャックの家族の元へ。殺されたジュトルイユの従兄弟ギヨームと盗まれた6万フラン。6万フランの行方を探すレニーヌ。

  • たぶんルパンまとめ読みしたときに読んだはず。

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著者プロフィール

1864-1941。作家。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンを生み出し、一世を風靡、冒険推理小説に金字塔をうち立てた。レジオンドヌール勲章受勲。

「2019年 『怪盗ルパン 二つえくぼの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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