ドラゴン・ティアーズ 下巻 (新潮文庫 ク 33-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102143124

作品紹介・あらすじ

おまえを夜明けまでに殺してやる、チクタク、チクタク…。そう脅迫してくるあの恐ろしい怪物は、一体どこから来たんだろう?ハリーとコニー、それから元広告代理店勤務のアル中男と、ぽんこつ車で暮らすホームレスの母子と愛らしい飼い犬。彼らはどうやってあいつの正体を突き止めるのか。夜明けまではあと数時間-。パワー全開で突っ走る、第一級のエンタテインメント大作。

感想・レビュー・書評

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  • (上巻の感想からの続き)
    あと演出の上手さも光る。
    いろいろあるが、今回は特に冒頭の無差別殺人鬼を捕らえるシーンでのエルヴィス・プレスリーの題名で犯人との交渉を行うシーンが面白かった。
    こういう遊び心が小説を彩る事をよく解っているなぁ。

    題名の“ドラゴン・ティアーズ”は中国の格言から来ている。

    「ときに人生はドラゴンの涙のように苦きもの。しかしドラゴンの涙が苦いか甘いか、それはその人の舌しだい」

    本当にこういう格言があるのかどうか寡聞にして知らないが、“ドラゴンの涙”=“人生の試練”という暗喩である。
    しかし“人生の試練”にしては今回はとてつもなくばかでかい試練だし、意味合いとしては苦難か。ちょっと内容とマッチしていないような気がするが。

    そして本作の影の主役が犬のウーファー。犬好きのクーンツがまさに犬の気持ちになって第一人称で語るそれは、なかなか面白い。
    一種、着地不可能と思われた本作がどうにか無事に着陸できたのも、このウーファーの御蔭だ。物語の設定としてはギリギリOKとしよう。

    今回の作品の底流を流れるのが“狂気の90年代”というテーマ。それはかつて悪とされていた事が今では正義ともなってしまう理不尽さのことである。恐らく訴訟大国アメリカの、「裁判は正しい者が勝つのではなく、勝った者が正しいのだ」という風潮、そして価値観が多様化した現在、誰もが自分を可愛く思い、妻、恋人、我が子や両親も自分の幸せのためには犠牲するという考えに警鐘を鳴らしている。
    本作にはコニーの口を通して信じられない犯罪―ベビーシッターの不都合で自分の誕生日パーティに行けなくなりそうな主婦が自らの子供を殺して嬉々として出かける、船乗りの妻が夫の出航を遅らせるためにわざと娘に怪我をさせる、etc―が語られるが、巻末の筆者の言葉によると全て実話だそうである。
    今、“狂気の90年代”はもう彼方にあるが、その狂気はコロナ禍の閉塞感を経てまだ続いている。

  • 久しぶりに読んだクーンツ。もともとすごい好きってわけじゃなくて、何となく暇な時とか疲れた時とかにふと手に取る感じ。なのであまり期待もしてないので、まあこんな感じなのかな。それでも、もうちょっと、新しい何かが欲しかった気がする。人物もストーリーもホラー要素も犬も、何もかもが以前に見たもののようだったので。 後書きに(ずいぶん気合が入った後書きだった)クーンツの生い立ちのことが書いてあって、初めて知ったこともあり、ああなんだ、お気楽なエンタメ系ホラーおじさんじゃなかったのか、と。救出者をずっと待っていたのは……。

  • うーむ、一気読みだったが、サラッと終わってしまった。読後感も、スッキリなんだけど何か物足りない。

  • 01mmdd読了

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