最後の診断 (新潮文庫 ヘ 4-3)

  • 新潮社
3.71
  • (7)
  • (9)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 97
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102145036

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  アーサー・ヘイリーの初期もの。舞台は時代遅れになりつつある大病院だ。ホテルや大空港と設定はよく似ており、主人公ケント・オドーネルもどこかで見たことあるなという類型的な感じ。こういう執筆スタイルが売りだとすればそこをとがめるのは的外れであり、水戸黄門だと思えばよいのだ。病院が舞台なので、旧態依然の老医師と改革派とのバトルが主題で、検査体制の不十分による患者の死という重大事件が勃発して納得の幕切れとなる。終わってみれば悪役といえるほどのキャストはなく、結果はともかくそれぞれが良かれと思って懸命に努力していたのだ、というヒューマンなところがこの著者の作品すべて(読んだものは)に流れているのが魅力なんだろうな。

  • 今月6日に翻訳家・永井淳さんが亡くなりました。残念なことです。
    永井淳さんと言へば、あの名翻訳家・大久保康雄さんの弟子に当ります。その大久保さんは、翻訳家といふ職業を確立した人。それ以前は、各分野の学者(つまり分かりやすい日本語を書くことが不得手な人)が片手間に手がけてゐたさうです。
    ゆゑに昔の翻訳本は、生硬な直訳、日本語ならざる日本語が主流で、例へば観念的な哲学書などはさつぱり読んで分からない翻訳になつてゐました。戦前の岩波文庫などは酷い状態だつたと言ひます。
    さらに困つたことに、その読んで分からない翻訳をありがたがる読者が少なからず存在し、あまつさへ通常の日本語の文章も翻訳調に影響された悪文が跋扈したのであります。
    つまり私の中では、英米の文芸翻訳に関しては「大久保以前」「大久保以後」といふ分類が存在するのでした。

    永井淳さんを語るつもりが、大久保康雄さんについて言を費やしてしまひました。失礼。
    さて本書『最後の診断』はかつてのベストセラー作家、アーサー・ヘイリーの初期の傑作であります。まあ「傑作」だの「愚作」といつた評言はまことに主観的なものですから、聞き流してもらつて結構。

    スリー・カウンティズ病院の病理部門では、旧態依然の古い体質が蔓延り、患者の治療にも悪影響が及ぶほどでした。原因は、病理の責任者たるジョー・ピアスンが改革を拒否し、現状を維持することに汲々としてゐるからなのです。外科部長兼医師会議議長のケント・オドーネルは、このままではいけないと危機感を抱き、改革実行のため、若きドクター、デーヴィッド・コールマンを招聘します。
    コールマンはピアスンと対決し、病院の再生を目指すが...

    ピアスンに対して「ざまあみろ」と思つたりしましたが、最後の場面では、コールマンと同じく「胸がいっぱいで言葉につまった」といふところでせうか。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-26.html

  • 巨大病院の裏側を書いた本。
    裏側といっても経営だったり、大口の支援者だったり、メロドラマだったりできな臭いものではない。
    主な視点を病理に置いていることで患者と医者のやり取りは少ない。この辺が医学ドラマと言うよりは病院ドラマと思わせているのかと。
    そのために小難しいことがほぼ出てこないので、素直に読み勧められた。面白かった。
    ただ時に出てくる傍点が邪魔臭かった。言いたいことは勝手に読み取るからいいよ、って思った。
    こういう作品は小細工しない方が読み手の心に残るものだと思う。

  • 病理や臨床検査室の話なので多少内容はわかる。 しかし・・・。単調な進み方のため途中で飽きてしまう。 もともとなのか、翻訳なのかは謎。 

アーサー・ヘイリーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アーサー ヘイリ...
宮部 みゆき
三浦 しをん
ピエール ルメー...
アーサー ヘイリ...
アーサー ヘイリ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×