日々の泡 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102148112

作品紹介・あらすじ

愛を語り、友情を交わし、人生の夢を追う、三組の恋人たち-純情無垢のコランと彼の繊細な恋人のクロエ。愛するシックを魅了し狂わせる思想家の殺害をもくろむ情熱の女アリーズ。料理のアーティストのニコラと彼のキュートな恋人のイジス。人生の不条理への怒りと自由奔放な幻想を結晶させた永遠の青春小説。「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評される最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 安部公房、川上弘美と並んで
    わたしの中の奇々怪々小説家TOP3。

    あまりにも美しい「うそばなし」 に
    おもわず溜息 エンダ 嫉妬。
    最後の最後まで美しい嘘が無数に咲いて来るので
    とてもしおりじゃ追いつかなくて
    メモ紙を千切ってお気に入りのページに挟み込みながら
    ゆっくり ゆっくり 読みました。

    岡崎京子さんもすきなのですが
    意地でもこちらを先に読んで正解でした。
    視覚で色や輪郭を狭めてしまう前に
    「文字」を食べて 濾過して 味わうこと
    文字で読むことの美しさを体感出来る本だと思います。

  • こういうの好き。駆け足で読んでしまったから、もう一度、ゆっくり再読したい。

    翻訳がちょっと、ずれているというか・・・。「ナイロン靴下」ってストッキング??他にも随所に、ええっ?と思うような表現で、夢の世界から現実に一挙に戻ってしまうことがあったのがとても残念

  • 僕にとって現代フランス×幻想×恋愛小説というのは最悪の食い合わせだったようで、酔ったような甘い雰囲気と、鼻につくしつこいナンセンスにひどく胸焼けを起こしてしまった。幻想描写は南米の作家のようにドライな方向とか、ラブレーのように徹底的にお下品とか、澁澤龍彦のように偽学術的とか…そういうののほうが好みだな。

  • 読みながら、自分の加齢をひしひしと感じた。昔読んだ時は描写の美しさと、コランとクロエ可哀想!みたいなピュアな感想しかなかったのに、今読むと「お金が無いって本当にツラいよな〜」みたいな感想になってしまう(恋愛部分はさして……。アリーズの肩を持ちたい)。

    果たして労働は尊いのか卑しいのか。金が無いと人間的文化的な生活は出来ないという絶望感。俺をすりこぎにしちまった奴!そいつはだれだ!だれなんだ!hey you !(from ヘイ・ユー・ブルース)

    昔も今も、イケメン料理人のニコラが好き。

  • ◆ほんとうに大切なものは、かわいい少女そのものと、彼女との恋愛だけなのに…。生まれたままが一番素敵なのに…。この「なのに…」がとてもつらい。美しく儚く苦しい物語。シャンパンの泡のようなJazzと諧謔に酔いしれながら静かに世界に失望していく。
    ◆曾根元吉訳(1970)。ハヤカワepi文庫・伊東守男訳(1979)と読み比べ。◆最初はハヤカワ伊東訳より硬く古めかしい訳に思えたが、読んでいくうちに気にならなくなる。ハヤカワ版に比べて言葉遊びを拾っている率も少ないが、その分、見え隠れする時代の思潮・空気感がより鮮明に訳出されているように思われた。
    ◆ハヤカワ版小川洋子の解説よりも正統派の解説で、読解の役に立ち、ありがたかった。

  • この小説が原作の映画「ムード・インディゴ」を見に行く前に読み返した。
    読むのは、もう何度目かわからない。
    好きな小説は何かと聞かれると、一番に浮かぶ小説。
    「20世紀で最も悲痛な恋愛小説」と言われているそうだけれど、空気はとても軽やかだ。
    ただ、読者を選ぶのは間違いない。
    現実と虚実が編み込まれた、ひどく悪趣味で美しい世界。
    その文章=小説の額縁は、中に描かれている愚かで、けれど(というべきか、だからこそというべきか)胸を打つ恋人達の姿にぴったりである。
    容赦ない、しかし不思議な明るさを持ったラストが見事。

    ちなみに映画の「ムード・インディゴ」は星をつけるなら三つ。
    悪くはなかったけど…うーん。

  • 13.06.30 朝日新聞朝刊 16面 鹿島茂

  • 幻想と皮肉と遊びと悲壮の入り交じった、美しいメルヘンです。根底に暗澹とした「不条理」が見え隠れしているところなんかは、いかにも当時のフランスらしい感じもしますが、簡単にフランス文学と一括りにはできないほど力強い作品だと思います。耽美で独特な描写は、このボリス・ヴィアンでしか見たことがありません。

    ストーリーだけ追ってしまうとなんだかいただけないのだけど、その見せ方は本当に秀逸です。ストーリーのトーンと同調して、描写の色合いも変化していくところはとても見事でした。おおまかに言うと、前半はライトでファンタジック、透き通った色水のようなのですが、物語が進むにつれてそこに濃紺のインクがぽたりぽたりと滴り、暗く滲んでいくような感じです。

    普通の青春群像劇として読むと、現実と空想の境目にあるこの世界観を味わえないどころか、嫌気が差してしまうんじゃないでしょうか。通勤途中に途切れ途切れ、ではなく、休日の晴れた昼下がりに紅茶でも淹れて読み始めるのがいいと思います。
    他の作品も読んでみたいなあ。

  • 舞い上がりすぎて、なぜか安島さんにオススメの本とか訊いてしまった。
    わたしは大概音楽とかライブとあまり関係ないことを喋りすぎな気がする(;´д⊂)
    でも勧めてくれたので、読みました。
    とてもおもしろかった。
    初めは綺羅綺羅しい恋愛小説かと思ってたんだけど、一筋縄じゃいかなかったw
    こういうシュールさは好きです。
    綺麗なだけじゃなかった。描写とか美しいんだけど。
    けっこうめちゃくちゃ。おいおいってつっこみたくなるけど、その投げ捨てるみたいな奔放さとか好き。
    斜陽の様子はかなり切ないし、最後もほんと哀しい。
    むしろ無茶苦茶なところが、悲哀さを増すんだろうね。
    ひどい!って言いたくなっちゃう。
    作者はかなり若くして亡くなってる。最近ほんとに、良い作家さんの夭折って多いんだなぁと思う。
    残念だなぁ。
    この人の本をもっと読んでみようと思います!

    美男でお金持ちのコリン、友人で収集癖のシック、料理人のニコラと、クロエ、アリーズ、イジスの美女3人。華やかで純粋な恋愛模様の前半と、斜陽の切ない後半。軽快だけどシュール。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「軽快だけどシュール。」
      華やかで物悲しいですよね、、、
      この作品は「うたかたの日々」と言うタイトルで、伊東守男訳(ハヤカワepi文庫)と野...
      「軽快だけどシュール。」
      華やかで物悲しいですよね、、、
      この作品は「うたかたの日々」と言うタイトルで、伊東守男訳(ハヤカワepi文庫)と野崎歓訳(光文社古典新訳文庫)が出ているので、私は訳文に定評がある野崎訳で再読したいと思ってます。
      2012/12/06
  • 夢のような儚いお話。

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著者プロフィール

(Boris Vian) 1920年、パリ郊外に生まれる。エンジニア、小説家、詩人、劇作家、翻訳家、作詞・作曲家、ジャズ・トランペッター、歌手、俳優、ジャズ評論家など、さまざまな分野で特異な才能を発揮した稀代のマルチ・アーチスト。第二次大戦直後、「実存主義的穴倉酒場」の流行とともに一躍パリの知的・文化的中心地となったサン=ジェルマン=デ=プレにおいて、「戦後」を体現する「華やかな同時代人」として人々の注目を集め、「サン=ジェルマン=デ=プレのプリンス」 とも称される。1946年に翻訳作品を装って発表した小説『墓に唾をかけろ』が「良俗を害する」として告発され、それ以後、正当な作家としての評価を得られぬまま、1959年6月23日、心臓発作により39歳でこの世を去る。生前に親交のあったサルトルやボーヴォワール、コクトー、クノーといった作家たちの支持もあり、死後数年してようやくその著作が再評価されはじめ、1960年代後半には若者たちの間で爆発的なヴィアン・ブームが起こる。

「2005年 『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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