- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102149317
作品紹介・あらすじ
食べること、歩くこと、泣けること…重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。死は逃れようもなく、目前に迫る。失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。
感想・レビュー・書評
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談話室で薦めて頂いて読了。
翻訳ものは久しぶりだったので、最初は違和感みたいのを感じたけれど、第1章を読み終わる時には涙が。
人ってどんなに苦しい時でも、誰かに喜んでもらえると幸せを感じられるのかもしれない。
生きてるって凄いことだけれど、どうやって生きるかが大切だと思った。 -
ホームケアワーカーさんが主人公のお話。
『~の贈り物』というタイトルの連作短編が11編。
メインタイトルからして柔軟な印象と、江國香織さんの書評(泣く大人『読書日記』より)の「彫刻のような手ざわりの幸福な小説集」と評されていた文章、そのふたつから私の持つホームケアワークの印象から魅力的な乖離を感じて手にした。
重い病(エイズ)に侵された人に対する尊厳を尊重することを念頭にケアをしている主人公から見えた人々の人となりやコミュニケーションや生活は、シンプル且つ人間の根源的なタイトルに包まれて、悲しいけれど温かさを感じるお話で全編通して読後感が優しい。 -
【本の内容】
食べること、歩くこと、泣けること…重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。
私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。
死は逃れようもなく、目前に迫る。
失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。
熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
最初はただの淡々とした日記なのかと思っていた。
だけど、ホームケアワーカーの私は全力で「普通の生活」を守っていた。
HIVに感染された人たちは、「私」にとって大切な人間になりかけると、はかない贈り物を残して、旅立っていく。
そんなことの繰り返しに彼女も力尽きかける。
人が亡くなるのを看取ると「アウトテイク」と呼ばれるカウンセリングを受けるが、どれだけ周りが配慮をしてくれていても、心に大きく開いた穴はふさがらない。
でも人は生きているだけで、存在するだけで大きな力を発揮する。
それは例えば、リックが用意したシナモンロール、コニ―の優しい気遣い、マーガレットのおびえのない強さ。
人間の尊厳を静かに描ききって、読後なにか力がわいてくるような、そんな連作集だ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
すごく良かった。
題材はエイズと死とホームヘルスケアエイドという一見お涙頂戴になりそうなものなのに、全く悲しみを脚色してないところが好感が持てた。
この本の中には悲しみは悲しみとして死は死として寸分違わぬ重さで入っている。
主人公は大きな感情の起伏を見せないけどでも彼女が悲しんでいるのも疲れているのもすごくよく伝わってくる。
そしてこの本の登場人物たちは何故こんなに愛らしいのだろうか。
最後の章には涙腺が緩んだ。
死を覚悟している人は美しい。 -
エイズのホームケアワーカーである語り手と、その患者との交流を描いた物語。
・・・うーん、ちょっと気が乗らないなと思いながらも読んでみたら素晴らしかった。
テレビのドキュメンタリーなんかによくある
押し付けがましい陳腐な感動に終わらないのは、
限られた瞬間瞬間を愛おしむような、微細で丁寧で穏やかな、
淡々と、でも切実な、時と感情の描写のおかげだ。
命が息づいて、体と心が触れあい擦れあうことの痛さや暖かさ。
そしてふとそれが離れたときの涼しさ、冷たさ。
それが具体のたしかな重みを伴って心に沁みこんでくる。
「誰かが死ぬと、いつもそこに穴がひとつできた。
穴はいつも人々の真ん中にあった。」
この言葉に触れてはっとした。
自分の体験が喚び起こされ、解き放される。
死んだときだけではない。いのちは誰のものであれ、
どんなものであれ、いつでも人々の真ん中にあるものなんだ。
それをほんとうに実感できたら、たくさんの人にとって
素晴らしい救いなのではないかと思う。 -
やっと読み終える。途中から読むのが嫌になってしまった。面白くないとかじゃない。嫌になったのだ。エイズ患者の人の世話をするボランティアをしている体験を書いている。一つ一つの話に何故贈り物という題名が憑いているのかわからなかった。世話している患者とのふれあい、そしてその症状はだんだん悪くなっていく。いずれは訪れる「死」、その途中の人たちの様々な形での人生、少しでも快適に暮らせるように世話していく中で通じ合うもの、お互いに打ち解けていく人たちは必ず別れが待っている。それが嫌になってしまう。彼女自身「死」を看取ったり仲良くしていた相手がホスピスで終焉を迎えようとしているとき疲れを感じ逃げ出したくなる。「死ぬのって、救いになりうると思う」そう患者から聞かれたとき彼女は「思う」と答える。私もそう思う。多分彼女はそれまでずっと自分の病気と戦い続けてきた人を見続けているのだから私の思うとはだいぶ意味合いが違うだろうが、「救い」になることは確かにあると思う。希望を持ち続け闘病している人たちがやがて以前見た人たちとおなじ道をたどっていく、その虚しさ、絶望感、何度も繰り返し感じる喪失感と無力感、・・・。彼女の所属する団体の事務局にいた人が発病する。「辞めようか」と思い出した彼女にその人は言う。休みなさい。戻りたくなったら戻りなさい。少し違うかもしれないけれど、老人病院やがん患者などもホスピスで働いている人たち、そこに入りたくて待っている人たちはたくさんいる。障害者の施設にしてもそう。空きが出来るという事の意味はみな同じだろう。そこで繰り返し繰り返しみる別れ、休むことが出来る人はいい。生活のために働き続けなければならない人たちはどうやってそれに対処していくのだろう。親しくなり心が通じ合えば合うだけ終焉は最善のものにしてあげたいと思うだろう。だけど、そこに見送ったという満足感は在るのだろうか。辛くなる、感情を殺し、なるべく希薄な関係でいたいと思うようになるのではないだろうか。彼女はその後に「家庭の医学」を書いている。そこで自分の母親を看取っている。いろんなことを考えながら読むうちに嫌になってしまった。彼女が「贈り物」と感じたことを私はなかなか感じることが出来ない。
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わたしは若くて健康ですが、いちど読んでみるといいと思いました。人は皆ばらばらにいなくなっていくのですね。
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死へ向かう人を世話するホームケアワーカーが病人から与えられる何か、それを「〜の贈り物」と記すことで気付かされる肯定的な感じ方。
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新書で出版されたときに、友達に勧められた本。最近文庫版で出版されたので買いました。
病気に罹った人の生活を助ける仕事をしている人の視点で描かれた作品。世話をしている人はどんどん死んでいく。そんな中にも確かな幸せのカタチがある。言葉では伝えきれない深みのある作品。 -
悲しいストーリーのはずなのに、心はあたたまる。
著者プロフィール
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「誰かに喜んでもらえると幸せを」感じられるような話でしたら読んでみたい。。。
私は図書館で借りて読んでみました。
死を前にした人々と関わる話なのですが「さぁ、泣いてください」みたいなもので...
私は図書館で借りて読んでみました。
死を前にした人々と関わる話なのですが「さぁ、泣いてください」みたいなものではなく、淡々としていて逆に私には染みました。
(病気で)自分自身で出来ないことが増えても、大切な人を喜ばせたい、ということは一種の希望だと思う部分がありました。
好みに合うといいのですが。
そうなんだ、、、「大切な人を喜ばせたい」と言う言葉に押されて再チャレンジしてみようかな。
そうなんだ、、、「大切な人を喜ばせたい」と言う言葉に押されて再チャレンジしてみようかな。