探偵小説の古典とも言える作品。
ペダントリがふんだんに発揮されています。
グリーン家で起こる連続殺人事件。
犯行現場が図で示され、読者の理解を助けます。また、クライマックスに差し掛かったところでは、事件の事実を一覧表にまとめ、読者へ提示されます。
98にも及ぶ項目を改めて確認することで、読者の推理が促されますが、「手掛かりは全て与えた、犯人が分かるかな?」という作者からの挑戦でもあります。実に分かりやすいです。
お陰で、「アダとマンハイム夫人が親子じゃないか」とか、「犯人は最もあり得ない気がするアダじゃないか」など、なんとなく推理できてしまいます。細かい点では、分からないところも沢山ありましたが、、
ヴァンダインの作品はそう多くないようですが、章の始めに時日を示したり、読者への明確な挑戦スタイルは、さすが一時代を築いた作家だと思います。
あと、時代を感じる言葉が新鮮でした。
喫煙服とか脱靴器、片眼がねといった時代を象徴する物、また、文章の訳は、古臭い感じ(直訳的な?)で若干分かりづらいですが、こういうのもたまに読むと面白いですね。