愛の続き (新潮文庫)

制作 : Ian McEwan  小山 太一 
  • 新潮社
3.58
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本棚登録 : 145
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102157220

作品紹介・あらすじ

科学ジャーナリストの「ぼく」は、英文学者の恋人とピクニックにでかけ、気球の事故に遭遇する。一人の男が墜落死し、その現場で「ぼく」は奇妙な青年パリーに出会う。事件後のある夜、パリーが電話をしてくる。「あなたはぼくを愛している」と。それから彼は「ぼく」に執拗につきまとい始める。狂気と妄想が織りなす奇妙で不思議な愛のかたちを描いた、ブッカー賞作家の最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 『贖罪』には及ばない気がするがこれも相当のもの。
    冒頭の異様な緊迫感に始まり、途中この話はもしかして心を病んだジョーの妄想なのか?と思わせる位のねじ曲がり。被害者であるはずの人間が信じ愛していた(あるいは信じ愛されていた)人間との絶望的すれ違いにより追い込まれていく描写は小説を読むことの価値の何たるかを雄弁に語っている。
    結局誰もが救われないまま終わってしまう物語なのだが、人間は孤独を超えたところに何を見出すのだろうか?真摯に突き付けた課題につき読者に熟考を促す、まさに必読の作家の一人ですな。

  • たまに覗くブログの筆者が薦めていた一冊。
    イアンマキューアン、何となく名前は知っていたけれど外国の小説自体がかなりご無沙汰でした。
    内容は、気球の事故を発端に主人公の男性がストーカー(男性)被害に遭う…という何ともヘビィな設定。
    主人公の視点から描かれているのだが、現実と妄想がごちゃまぜになってきたり、周りの人間に対する猜疑心がモヤモヤ沸いて来たり…
    (とにかく暗い…)
    (けど結末が気になる…)
    という感じに、まんまと乗せられて読み切ってしまった。

  • 気球事故を境に、変人パリーに付きまとわられるジョーの物語。
    客観的で中立的な認識は存在しない。私たちが普段目にし、考えることは、それぞれの感情や立場など、主観が多分に入り混じったもの。
    気球事故がおこる。何を勘違いしたか、パリーは、ジョーから愛のサインを受け取ったと勘違いをする。
    その後、妄想にとりつかれたパリーのストーキングが始まる。
    手紙を書き、電話をする。家の前に何時間も待ったりする。ジョーが、やめろと威嚇しても、パリーにしてみればそれは愛の裏返し、効果なし。ジョーが、生垣の葉に触れただけで、後日「あの君の愛のメッセージ見逃さなかったよ」と手紙がくる。お手上げ。

    主人公であるジョーは、そんな変人パリーに対し、冷静に論理的に対処しようとする。パリーはド・クレランボー症候群であると自ら突き止め、警察や恋人であるクラリッサに相談する。
    ジョーの辛いところは、それがわかってもらえないところ。どんなに冷静に対処しようとしてもクラリッサには、「あなたおかしいわよ」「あなたの妄想なんじゃないの」みたいにあしらわれる。ジョーの不安が的中した時でさえも、クラリッサは自分の非を棚上げし、ジョーが悪いと突っぱねる。(クラリッサには女性の感情的に物事を捉える側面が露骨に描写されてます)

    終わってみると真実に向かって突き進んでいたのは、ジョーであり、その他の登場人物は何らかの錯覚?をしているのだけど、面白いのは、俯瞰してストーリーを追っている自分自身も途中でジョー実は変なんじゃない?頭おかしいかもしれんはこいつと、感じてしまうところ。こんな状況で正しく認識できないのなら、いわんや現実をや、です。

    全体的に軽いタッチで書かれていて読みやすい本でした。アムステルダムよりは好き。





    パリージョット、ジョー、クラリッサ

  • 資料ID:C0026799
    配架場所:本館2F文庫・新書書架1

    エルサレム賞

  • 西村玲子さんおすすめ。

  • 帯には最高傑作と書いてあるけれど、私にはそうでもなかった。
    この作品でブッカー賞を獲らせなかったから次の『アムステルダム』でブッカー賞をあげたのだという意見に私は賛成しかねる。私は断然『アムステルダム』の方がいいと思う。

  •  「アムステルダム」のイアン・マーキュアン。
     「アムステルダム」はいまいちだと思ってたくせに、これを買ったということは、実際にはよかったのかもしれない<をい
     これから順次文庫化されると思うんだが、楽しみ。

     で、気球からの落下事故を目撃したカップルと、男。その男が、カップルの男性(主人公)に一方的な恋愛感情を持つ。それによって、カップルもぎくしゃくしだして…。
     って書くと、軽そうだが、マーキュアンなので深くまで掘り下げていく。いや、掘り下げていくという言葉だとニュアンスが違うな。なんていうか、沈んでいくというか、薄布をめくっていくというか、そんな感じ。
     ストーカーもの(これでの症状はド・クレランボー症候群)って、どう説明しても相手に全然わかってもらえないもどかしさや、不毛感、嫌悪感が、嫌なんだが、これは切なさが先にきたな。
     「アムステルダム」より、よかったです。

  • 気球事故にはちあわせたパラノった男に、ストーキングされてしまう主人公。
    彼女との関係もしあわせだったのに、危うくなる。
    自分の将来も見えなくなる。
    ただそれだけと言えばそれだけ。簡単なストーリー。
    なのに、面白い。

    「人生においてもっとも尊重される経験のひとつである愛が精神病と区別がつかないという事実は、時としてわれわれ人間には承認しがたい」

    夏目漱石も「恋は罪悪」なんて言う。
    愛も恋も、思いこみって言えばそれまでだけれど。

    原題はEnduring Love
    愛はendureするものなのか、と、ちょっといろいろ考えたりもしてみる。

  • 旅先の本屋さんで手に取りつつ、 </br>
    1ページも開かずに持ち帰った本。
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    巧みな構成も、丹念な描写やスマートな会話、</br>
    そしてちょっとした救い…、
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    何もかも素晴らしいようでいて、 </br>
    全てが零れ落ちていくかのよう。 </br>
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    何か絶対的な虚しさを刷り込まれるような気さえする。</br>
    好みの問題でいえば、私は好きな本ではなかった。
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    著者の「アムステルダム」がブッカー賞を獲ったのは、</br>
    「アムステルダム」の前年に出版された本作「愛の続き」に賞を授与し損なったから、 </br>
    という逸話もあるほどというのだけれど…。</br>
    なんだか世間的な評価を得ていることが、
    「世の中の病んでるカゲン」の表出にも思えてきてしまう。
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    まぁ、アムステルダムも読んでみたい。
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    もともと本屋さんで手に取ったのは、
    「ピクニック」が素敵に感じたから。
    ところがその冒頭シーンすら事件のはじまりで、</br>
    読んでいる方としてはたちまち虚無的な暗闇に放り込まれる。
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    。。想像と違っていた格差が余計に底無し沼に誘ったのかも。 </br>
    とにかく読んでいる間、こちらの神経まで蝕まれていくような、それだけ力のある本ではあったと言えるかな。
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    映画化されるにあたっての逸話も面白く、
    初めに映画化の権利を取ったハリウッドの会社は、映像化に困難を極めたため最後は投げ出し断念したのだとか。
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    。。映画も見に行っちゃいそう。
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    2006年03月09日 11:22

  • イアン・マキューアンはどれ読んでも面白い。そしてどれを読んでもいろいろと想像が喚起される。
    マキューアンのこの本が好きだから、というのではなくマキューアンという人が書くものがすきなんだと思う。多分、イアン・マキューアンていう人は意地悪なところがあって、そこが好きに違いない。

  • 誰かに愛されたいと願う。でもこんな形はいやだ。

  • 解説:小山 太一
    関係:翻訳者

    感情の起伏を、ここまで正確に丁寧に
    表現できるのかと愕然とする。
    崩れていく日常と個人が綿密な文章で進む。

    この作家さんは、全体的にどっしりとしたストーリーで
    最近お気に入りの一人だ。

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