贖罪 上 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784102157237

みんなの感想まとめ

テーマは贖罪と罪の重さであり、特に一人の少女が抱える内面的葛藤が描かれています。物語は1930年代のイギリスの裕福な家庭を舞台に、家族と親戚が集まる中で展開されます。登場人物たちの紹介が丁寧に行われる...

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は1935年(第2次大戦直前?)のイギリスの地方富裕家。多感な13歳の少女ブライオニーは、思い違い?から、大好きな姉を不幸のどん底に落としてしまう。1日の出来事が300ページで語られるのだが、構成が巧みで飽きることがなかった。
    ブライオニーをはじめ、登場人物の感情描写が印象的でした。目次によれば物語は1999年までありそうなので、下巻での展開が楽しみです。

  • 下巻まで読み終え、全体の感想はそちらに書いたので、ここでは、上巻を読んで下巻を読むか迷っている人(面白いのでいないと思うけど)へ。

    絶対に下巻を読んで下さい。上巻だけでも十分楽しめます、なんてことは、この作品では絶対にないです。

  • ▼ここ何年も、ずーっと「マキューアンを読んでみたい、読もう」と思っていて果たせず、ようやく実行できました。


    ▼近所のブックオフで買って読んだんですが、正直この上巻の前半は辛かった・・・


    ・1930年代かな?

    ・イギリスの郊外の、金持ちの別荘かな?

    ・主人一家と、その親戚たちが集まって何かパーティみたいなことをしようとしている。

    ・そんな中の、ひとりひとりを(主に10代の子どもたち)人物紹介的に描いていく


    という感じですが、文章がなかなかこねくった長文が多く、物語内で事件が起こらない。正直、挫折しかかったんですが・・・。


    ・その中に、金持ち一家の使用人の息子、という二十歳くらいの?青年がいて、金持ち一家の慈悲でいい学校に通わせてもらっている。名をロビー・ターナー。


    ・このロビーが、金持ち一家のお嬢さんと、良い仲になる。


    ・だが、なんと、痴漢、強姦、の・・・罪に問われる。のだけど、これははじめから冤罪。であることは読者はわかっている。


    という展開を見せてきて、終盤は面白くなりました。


    下巻に期待。

  •  たった一言で、姉とその恋人の人生を台なしにした少女の”償い”の物語。
     1935年の夏の暑い日、13歳のブライオニーは幼なじみの青年ロビーから姉のセシーリア宛ての手紙を託され、好奇心からそれを盗み読みしてしまう。その内容に衝撃を受けた彼女はロビーを姉から遠ざけようと考えるが、その日の夕方2人が密会しているのを目撃。セシーリアとロビーは互いの気持ちを確かめ合っていたのだが、難しい年頃のブライオニーはロビーに強い嫌悪感を覚える。
     そして夜遅くに、ブライオニーの従姉・ローラが屋外で男に襲われる事件が発生。犯人の顔を見ていなかったにも関わらず、ブライオニーはロビーがやったと警察に証言してしまう。作家になることを夢見る少女の、自分が作り上げた正義の妄想に浸る危うさと思春期特有の潔癖さ、頑ななまでの思い込みによってロビーは刑務所送りとなる。
     上巻ではロビーにとって「運命を変えた悪夢の一日」が、優雅で格調高い文章によってゆったりと描かれる。その緩やかな時間の流れが、彼の人生を狂わせたものがほんの些細な選択ミスであったことを残酷に際立たせていき、ふと自分の日常生活の中でも「取り返しのつかない言葉」を放つことへの恐怖を実感させられる。

  • 文芸活動に耽溺する13歳の少女が姉とその恋人に対して犯した罪およびその贖罪に対するテーマを描く。上巻はその罪を犯すまで。

  • 読み終えたとき、私は憤りと感動と衝撃でひどく混乱した気持ちになってしまった。作者に騙されたことに傷ついたが、そもそもこれはお話、フィクションだとわかって読んでいたのだから、「ひどい!騙された」とショックを受けるのはそもそも変なのだ。そんなことでイチイチ怒ってたら物語なんて読めない。にも関わらず、私は本当に動揺した。いや事実と混同したのではなく、ちゃんとフィクションだと頭で理解していたのに、私はこの物語にのめりこんでいて、ロビーもセシーリアもブライオニーも何とか過去を乗り越えて、幸せになって欲しいと願っていたのだ。
    読後、3日経つが、物語とは何だろうと考えずにはいられない。この本にはいくつかの仕掛けがあるが、メタフィクションにありがちな実験性がみじんも感じられない。上巻のきらめくような豊かな表現と下巻の苦痛に近い凄まじい表現と、普通に文学として素晴らしい。特に上巻はある1日を人物の視点を変えながらゆったりと描く。全然時間が進まなくてびっくりしたが、その悠々さに気持ちよく身をゆだねていると、上巻後半の不穏な結末に一気に持っていかれる。下巻は一転、第二次大戦のフランスからのダンケルク撤退を描くが、特に退却してきた兵士たちを迎える病院の場面にさしかかった時、手が止まり何日か読む気がしなかった。辛いからと言って飛ばすわけにもいかず、ここを乗り越えないとと意を決して再開したが、泣きながらうめきながら必死に読み進んだ。言葉というのは恐ろしい。映像や写真はケガや死体をある程度「物体」として見ることができるが(もちろんテレビや映画レベルなので本当にすさまじいものもあると思うが)、文章は否応なく私の脳に入ってきて勝手に想像させるのだ。他の本で読むのが辛い場面にあたったとき、ダメージをできるだけ減らそうと私はよく心の動きを止めて読もうとする、そしてそれはまあまあ成功するが、贖罪はダメだった。本当にうめきながら読んだ。
    まとめきれないが、物語とは語りとは騙りとは何か。作者とは何か。小説の深淵を考えるとともに、普通に登場人物たちの幸を願ってやまなくなる本。

  • 多感な少女の衝動的な思いが引き起こす悲劇。映画を見てから読んでいるけれど…まあなんと嫌な小説であること!筆力と名声が共に絶頂期に至った作家の、ナルシスティックにも思えてしまうほどの絢爛たる文体。これでもかと精緻に美しく描き出される登場人物たちの思念。

    上巻ではある夏の一日とその夜に起こった事件が語られる。タリス家の豪壮ではあるが些か古び始めた邸宅に集う家族と客人たちの心の動きが、うだるような熱気と眩しすぎる真夏の光の中で揺らめくような動線を描く。細かな表現まで息を呑むほどに美しい上に、痛々しいまでに真実味がある。ブライオニーの妄想癖とも言えそうな思い込みの激しさなど身につまされる…はぁ。

    嫌味なほど上手いのと少女が痛すぎるのでどうしても諸手を挙げて絶讃するのは躊躇われるのだが…それにしても上手すぎる!

  • 豊崎由美センセご推薦の本

  • 登場人物たちの仔細な感情表現が素晴らしく、青年期にあるそれぞれの思惑と行動に心が奪われる。

    • 田中さんさん
      キーラ・ナイトレイ主演の「つぐない」もご覧ください
      キーラ・ナイトレイ主演の「つぐない」もご覧ください
      2020/08/03
  • 何という長い序章だったのだろう。ここまで来て、やっと物語は動き始める。社会階層と恋愛、思春期、家族。これらのテーマがないまぜになって、それぞれの思惑は交わることなく、物語は太い骨格を表し始めた。

    とにかく人物、心情描写に舌を巻く。

  • ”アムステルダム”が素晴らしかったんで、それならばということで手に取ったマキューアン作品。兄が帰ってくる期待とか、従兄弟との諍いとか、隣人と姉の葛藤とか、とかく比喩表現の連発で緩やかに進行する前半、正直ちょっとかったるく思えたりもしました。いざ兄が帰って来てから、引きこもる母が登場したり、従兄弟が派手な喧嘩をしたり、徐々に不穏な気配が高まっていく。その果てに起こる暴行事件。いかにも冤罪。”贖罪”というタイトルの意味が浮かび上がってくるであろう後半戦、その展開に期待しつつ、心して読ませていただきます。

  • まぁなんとも読みづらいイギリス純文学。
     イアン・マキューアンってブッカー賞作家なんですってね。日本でいう芥川賞?読みづらいはずだわ。かなりハイレベル本。雑誌の書評で絶賛されていて即購入、即読破したけれど、ちょっと期待が大きすぎた。「奇跡のような傑作」とか「衝撃のラスト」とか…大げさでしょう。

     衝撃の…というけれど、第三部で休暇中のブライオニーが書いた小説に対して出版社が書評を手紙で返してきた内容を読むと、ブライオニーが書いた作品はまるっきり第一部そのものではないですか。ってことは、従妹のふたごちゃんが行方不明になった事も姉のセシーリアが強姦された事件もみんなブライオニーの小説の中の作り事?となるじゃないですか。

     結局第一部も作り事だったのか、二部と三部だけ作り事だったのかよくわかりませんが、「贖罪」とタイトルつけてるんだからやっぱり第一部は実際の出来事だったんでしょう。無実のロビー(使用人の息子)を妄想で犯人に仕立て上げ、刑務所送りにしてしまった、姉との仲を引き裂いたその罪を小説の中でハッピーエンドにして償ったというわけか。なんだか最後までブライオニーの妄想につき合わされた感じで腹立たしい。

     
     ただイギリス郊外の美しい庭と豪邸、湖、教会、そこに住む家族と預けられてきた従妹たち、久しぶりに帰ってきた長男とその友達、使用人たち。何もかもが夢のような、それこそ小説の中のような描写で、この風景をぜひ映像で観たいと思わせる。まぁ結局ブライオニーの作り話ではあったけど、第二次世界大戦のさなか、ドイツ軍に追われる連合軍、フランスから引き上げる船を待つ負傷軍人の悲惨さが真に迫っていて、このあたりはおもしろく読める。

     小説では感動が得られなかったので、ぜひ映画でおさらいしたい。
     

  • ぐわーっと読んでしまった。下巻がたのしみ。ブライオニーよ、少しは反省しろ。

  • 2018.06.15

  • 英国の現代作家マキューアンの傑作。悲恋の物語、戦争の物語としても十分おもしろく読めるのだが、なにより〈物語〉について、〈書く〉という行為について、深く考えさせる作品である。結末のどんでん返しにいたって、読者はまったく異なる視点から物語をふたたび辿りなおすことになるだろう。
    (選定年度:2016~)

  • とある夏の、長い長い一日に降り注いだ、
    それぞれの新しい自分、
    新しい想い、
    その変化はいずれも喜ばしいものであったはずで、
    そこから人生の広がりと深みが訪れるはずだったのに。

    それぞれの視点から語られる一日と、
    そこに繋がるまでの現実的時間や、
    心的現実の複雑な絡み合いが、
    なんとも言えない複層をなしており、
    これぞ文学だから実現しえる同時性!



    映画作品を先に見て、
    結末を知っているにも関わらず、
    純粋な文学の面白さに強力に惹き込まれる。

    映画では、ブライオニーの初恋と嫉妬として表現されていたような一連の心の動きは、
    危うくも確かに誰しもが体験する、
    無邪気と無知という幼児性と、
    それ故の潔癖さ、
    そこから脱して大人になったのだという勘違いと、
    知性が驕りを駆り立てた結果といった、
    情緒発達の過程であったのか。
    そのほうが、物語の奥行きがぐっと増す。

  • 上級者向けの一冊。描写も心理も最初は恐ろしくまどろっこしく、遅々として進まない感じに、読みにくさを感じた。気持ちのぶつかり合うところは、息飲む面白さだった。

  • 本当に大好きな作品。
    少女の犯した罪が全てをかえてしまうのだけど、思春期真っ盛りの少女の目から見た世界って、こんなにも不思議で尖っている。ブライオニーに自分の少女時代が重なった。 小説の技法を上手く取り入れたミステリーでもある。最後にはあっと驚かされた。

  • 再読、★評価は読了後に。
    それにしても特にブライオニーの人物造形、誰にも身に覚えがある厭らしさを完璧に表現しきっていて少々辟易するくらい。これで訳が完璧だと言うことないけど、それを言うと原作を読めばといつもの結論になるし、、、
    この本はまず映画を観てから読んだのだけれども、それでも衝撃的だったという初読時の記憶あり。映画もなかなか捨て難い出来だったことも考えると相当のハイクオリティ。さてさて楽しみに進みますかね、下巻に。

  •  第二次世界大戦期イギリス、一人の少女の信じられないような嘘から坂道を転がり落ちるように展開する重厚な人間ドラマ。大河恋愛小説のような趣もありますが、マキューアン独特のいびつさとか、ラストの(ある意味ルール違反ともとれそうな)どんでん返しなど、小説としての技巧や果敢さもふんだんに含まれた第一級の作品です。映画版もいいんですけど、やはり小説を推します。

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