贖罪〈上〉 (新潮文庫)

制作 : Ian McEwan  小山 太一 
  • 新潮社
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レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102157237

感想・レビュー・書評

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  • 多感な少女の衝動的な思いが引き起こす悲劇。映画を見てから読んでいるけれど…まあなんと嫌な小説であること!筆力と名声が共に絶頂期に至った作家の、ナルシスティックにも思えてしまうほどの絢爛たる文体。これでもかと精緻に美しく描き出される登場人物たちの思念。

    上巻ではある夏の一日とその夜に起こった事件が語られる。タリス家の豪壮ではあるが些か古び始めた邸宅に集う家族と客人たちの心の動きが、うだるような熱気と眩しすぎる真夏の光の中で揺らめくような動線を描く。細かな表現まで息を呑むほどに美しい上に、痛々しいまでに真実味がある。ブライオニーの妄想癖とも言えそうな思い込みの激しさなど身につまされる…はぁ。

    嫌味なほど上手いのと少女が痛すぎるのでどうしても諸手を挙げて絶讃するのは躊躇われるのだが…それにしても上手すぎる!

  • 上級者向けの一冊。描写も心理も最初は恐ろしくまどろっこしく、遅々として進まない感じに、読みにくさを感じた。気持ちのぶつかり合うところは、息飲む面白さだった。

  • 現代の名匠による衝撃の結末は世界中の読者の感動を呼び、小説愛好家たちを唸らせた。究極のラブストーリーとして、現代文学の到達点として―。始まりは1935年、イギリス地方旧家。タリス家の末娘ブライオニーは、最愛の兄のために劇の上演を準備していた。じれったいほど優美に、精緻に描かれる時間の果てに、13歳の少女が目撃した光景とは

  • いろいろな「○○小説」という側面のある一冊ですが、風俗小説としての細部にも注目とのこと!

    で、描写が細かすぎて読みづらい、と聞いていたのけど、長嶋有が『いろんな気持ちが本当の気持ち』収録の一篇(タイトル忘れた)で語ったような、サリンジャーのキャビネット、固有名詞と一般名詞にあふれたそれに比べて(…たまたま読んでたので比較しちゃっただけだけど)、ぜんぜん読みやすいし、細かさの種類がまあ違うとはいえ、意味ありげにかかれるぶん、結構一般的な風景描写なのではないでしょうか。
    と、ここまで言っちゃうと下巻で困るか。
    それよりも、p.43-44のような、端的な説明のほうが入ってこないと思った。

    ところどころ、いかにも翻訳といった口調。p.13「ブライオニーは、世界をきちんと整理する欲望に取りつかれた子供のひとりだった。」

    p.99「離婚(ディヴォース)」の発音の考察「柔らかい子音にはいわく言い難い猥褻さ」「消え入る語尾は家族の恥をささやいていた」これはいい! p.195、「擬態語的」なcとuと…の文字の形に関する感じ方も同様。

    猥褻といえば、ローラがチョコレートバーをかじるp.109の3行。伏線でもあり。

    p.250女として、年齢や世代や立場に関係なく、それだけで同じラインで戦ってしまうこと。

  • 2011/09/21

    子供であるが故の真っ直ぐな正義感、高揚、単純さ、
    それが引き起こしてしまった取り返しのつかない過ち。
    一番守ろうとしていたその人を傷つけてしまうという皮肉。

    小説を読むとき特有の高揚感というものを、
    本当に久しぶりに味わうことができた。

    エミリーの冷静な観察眼と憤懣と諦めとが、特にツボに入りました。

  • 他人の人生に取り返しのつかない一撃を放ってしまった瞬間から、自分自身もそれまでの自分には戻れなくなる。作家として生きねばならない業の怖さ。

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