贖罪 下 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784102157244

感想・レビュー・書評

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  • 下巻はロビーが無実の罪で逮捕されて5年後の1940年。ロビーは服役後、西部戦線に送られ、ダンケルクへの撤退。ブライオニーは、姉と同じ看護婦を目指し、見習い看護婦として働いている。戦場の描写、病院の描写に圧倒される。
    ロビーとセシーリア(ブライオニーの姉)が再開できるか、ドキドキしながら読み進めましたが、予想外の結末(1999年)でした。

  • ▼基本的には。イギリス、イングランドの20世紀前半の話で、お金持ちの話なんで。割と身分制ですから、下記のように思い出せば良い。

    ※大金持ちの令嬢(大学生)=セシリア(序盤に、多分19歳とか?)

    ※セシリアの家の召使の息子(大学生)=ロビー(序盤に、多分22歳とか?)

    (このロビーは、召使の息子なんだけどあまりに秀才で、ご主人さんが「学費出してあげるから大学行ってインテリ階級になりなよ」というありがたい恩寵を授かって、大学に行っている) 


    ※セシリアの妹=ブライオニ―(序盤に、多分12歳とか?)



    ▼ざっくりいうと上巻で起こったことは。全てがセシリアの家の郊外の邸宅でのある半日の出来事。親戚たちを招いたパーティーの日。

    1:色々あるけどセシリアとロビーは惹かれあって、親戚パーティーの夕べに誰もいない書斎?かどこかで、双方合意の上でドラマチックな初Hに至る。

    2:なんとそこの「最中」に闖入してきたのがまだまだ子供のブライオニ―。当然ながら中断して、ササっと逃げ出すセシリア姉さん。ブライオニ―は(子供だし、色々ここまでの経緯があって)、「ロビーが変態である。異常者である。そして、セシリアにいやらしいことをしていた」と激しい勘違いを強くする。

    3:色々あって、その日の夜、別の親戚の娘が庭園?の暗がりで、レイプされるという大事件が起こる。ブライオニーが駆けつけて「目撃」したときに、暗い暗い闇の中で、男性がひとり逃げて行った。被害者の娘は「襲われて暗くて、誰だか全然分からなかった」。ブライオニーも、全然見えなかったんです。人相は。なんだけど、思い込みで「ロビーだった!私は見た!確かに見た!」と警察にも証言してしまう。

    4:読者は、犯人がロビーじゃないということを知っている。だけど、折悪く、アリバイが無い。結局逮捕されてしまうロビー。(上巻ここまで)

    ここまでが、確か1930年代のとある一日だったはず。


    ▼下巻は、上巻と違って歳月が飛ばし飛ばし進みます(上巻は僅か半日くらいの出来事)。


    ※以下、ネタバレになるので、読みたくない人はここまでで※




    5:数年後。多分1941年かな。第2次世界大戦の、フランスの戦場。

    6:英国陸軍は仏軍と共同しナチスと戦った。ところが、けんもほろろに負けに負けた。部隊によっては壊滅状態、無秩序に兵たちが各々生きるために「ドーバー海峡へ」とぼとぼ歩いている。

    7:その中にロビーがいる。ロビーは、ブライオニ―の大嘘証言のせいで、有罪になった。刑務所で暮らした。悲惨だった。ただ、セシリアだけは家族全部と縁を切って、ロビーを信じてくれた。従軍志願すると刑期が短くなる。志願した。セシリアは、ロビーを信じない家族と縁を切るため、大金持ちのお嬢さんだけど経済自立するために看護師になった。ロビーは兵隊になった。なったら第2次世界大戦が始まってしまった。フランスの戦場に二等兵として従軍。またまた悲惨な思いをして、負傷もして、へろへろになって海に向かって歩いている。セシリアが待ってくれていることだけが、生きる希望。当然、ブライオニ―のことは八つ裂きにしたいくらいに怨んでいる。

    この、「戦場を生きるためだけに敗走していくロビー」のくだりが長い。これが面白い。ちょっと胃が疲れるけれど、かなり面白い。こういう形で戦場を描いたものってあまり知らない。スリルとサスペンスとげんなりする胃の重さ。ロビーがいつ死んでもおかしくないし、次にどうなるか分からない。(もちろん、「ああ、死なずに生き延びて、セシリアと幸せになって欲しい」と感情移入させられる)

    8:その頃。ロンドンでは。ブライオニ―が18歳くらい?になっている。そして、新米看護師になっている。

    9:かつて、何百回でも「私は見た。ロビーがレイプした」と言い張ったブライオニ―だけど、成長するにしたがって、「私は偏見から、嘘をついた。そしてセシリアの、ロビーの人生を破滅させてしまった」という、当たり前のことがじわじわ分かってきた、ということが過去にあったらしく。謝ろうとしたけど、セシリアは一族から離脱して話もしてくれない。そしてブライオニ―は悩み、のほほんと幸せになることは(当然だが)できず、超大金持ちの娘なんだけど、姉の後を追うように両親の庇護から脱走して看護師になった。

    10:「新米看護師の、ADブギ的な苦労話」がしばらくある。おまる洗ったりとか。軍隊式の規律とか。大変やなー、と思う。

    11:その病院に、「ロビーたちのような負傷兵がどっかりやってくる。顔が半分無いような兵隊、すぐ死んでいく兵隊がごろごろ。ブライオニ―もどえらい思いをする」。
    このくだりで「ひょっとしてロビーがこの中にいるのか?」と思わせますが、出てきません。え~!ロビー、死んでもうたんか?そりゃあんまりやがな…。

    12:一息ついたブライオニ―は、かつての「レイプ事件の被害者、親戚の娘」の結婚式に出る。結婚相手は、「あのパーティーの夜」にもいた、一族の友人である、青年実業家。ふたりは金持ちでハッピーである。ここで衝撃。

    13:ブライオニ―の心理で描かれるのだけれど、なんと、「レイプ事件の加害者は、今日、今、目の前にいる新郎である」そうなんです。つまり、レイプ事件の被害者と、加害者は、(その時には本当に、女性側は、相手が分からなかったのだろうけれど)数年して、恋愛関係になって結婚してまうのである。ちなみに今はお互いに「いやー、あんときは俺、君をレイプしちゃったよね」と軽く言い合える仲なのか、そのあたりは描かれないから分からない。

    14:真犯人?が分かったところで次の幕では、ブライオニ―が絶縁されている姉のセシリアの元を訪ねます。用件は「やっぱりあの時に、自分は嘘をついていた、ということを、ロビーの名誉回復のためにも公に言おうと思う。法的にも。まずは親戚家族の中でそれを言おうと思う。」と告げに来た。

    15:そうしたら、セシリアの一人暮らしの部屋には、ロビーがいた!つまりはロンドンに生還して、無事で、まだ軍に所属しているけれど、一時休暇で今この時は、セシリアとラブラブしているのである。

    16:というわけで、ロビー、セシリア、ブライオニ―、と気まずい三者がばったり対面。ロビーとセシリアは、ブライオニ―に対して平たく言えば怒っている(そりゃそうだよな)。でもまあ、荒立ったりせずに、「じゃあちゃんと公的に告白ざんげしてくれよ」と通告して終わる。

    17:‥‥そして、終章はドーンと1999年。ロンドン。ブライオニ―が77歳。職業作家になっている(もともと作家志望の少女だった)。そして、どうやらロビーとセシリアのふたりは、あのあとすぐに死んでしまっている(ロンドン空襲で、だったかな)。ブライオニ―は、「大嘘証言してロビーを冤罪に叩き込んでしまった過ち」をとにかく公的にしようと努力をずっとしてきたみたいなんだけど、そう上手くもいかない。どうしてかっていうと、「真犯人と被害者夫婦」が大金持ちのセレブで、当然ながら認めないからだ。

    18:で、ブライオニ―は77歳の今、「徐々にボケていって死にますわ」という診断を受けたばかり。そして、「自分が死んだら公開する、全ての真実が固有名詞もありのままに書かれた原稿(ルポ?ノンフィクション?)」が存在することが分かる。

    で・・・・終わりです。


    ▼下巻の方が上巻より遥かに面白かった。なるほどなー、と思った。なんだけど、全般に恐らく原文の語り口がちょっと、「文が長めで描写がくどい」 「語調がけっこう、ウェットでしつこい」 感じがあって、そのあたりは好みとしてはイマイチでした。

  • ただただ、本当に衝撃の結末。上巻は少女たちの痛々しさに苦しみながらも、繊細な語りのおかげでなんとか読み終えたが、下巻は流れが変わったかのように引力が強くて、一気に読み終えた。ただ、この結末はとても不安な気持ちになる。小説内の嘘と真実、現実の嘘と真実は必ずしも一致せず、その混乱に加えて、最後の最後でこれまでの話を握りつぶして放り投げるようなことを言われては!緻密で、鎧のように堅く、とても変な小説でした。早く新刊買いに行こう...。

  •  下巻は各章の初めの一文字が特大で印字され、読者に何かの仕掛けがあることを匂わせる。事件から5年、ロビーは刑務所から戦地へ送られていた。セシーリアは家を出、看護婦になった18歳のブライオニーは己の罪を償うかのようにひたすら瀕死の傷病兵の看護に当たる。「決してあなたを宥さない」という姉の怒りに怯えながら。
     だが終盤、1995年に話が飛び、作家になった老ブライオニーがもたらすどんでん返しに読者は驚愕させられる。彼女の行動は「償い」と言えるのか。59年にも及ぶ重い罪悪感から逃げた卑怯者ではないのか。読み終わった時には皆しばし茫然とするだろう。イギリスを代表する作家イアン・マキューアンの技巧に富んだ構成は、「これぞ小説の醍醐味」と唸らせる読後感である。
    (※改版により現在は全1巻に統合されている。第二部からが下巻に相当。)

     なお、これを映画化した「つぐない」も原作の雰囲気を損なわずブライオニーの罪悪感、緊張感に満ちた傑作。ぜひ見て頂きたいと思う。

  • ひとつの罪があった。けれども恋人たちもいた。

    原題 ATONEMENT
    個人的には「贖罪」より、宗教観のない「償い」とか「罪滅し」のほうがしっくりきます。

    かつて小説家が犯した罪は、小説による償いが可能か——

    いわゆる作中作なんだけど、絶妙な設定とあまりにもみずみずしい(もしくはなまなましい)文章が小説と現実の境を曖昧にしていて、ブライオニーの告白を聞いてもしばらく判然としない感じ、がいいです。

    感性で引き起こされたことは、感性で償おうとするしかない、という試みの小説だと思うけど、やはりというか、償いは為し得ず・・・やるせないなぁ。

  • 皆の運命を変えたタリス邸の事件から時は流れ、舞台は1940年戦時下のダンケルク、そしてロンドンへと移る。第一部の技巧を凝らした文体は影を潜め、ロビーとブライオニーが、全ヨーロッパが直面した戦禍が重厚な筆致で語られる。そして最後に明かされる、この小説の仕掛け。
    前半と後半のトーンの落差やヴァネッサ・レッドグレーヴの登場場面の違和感など、映画の不満点が原作を読んで全て解消された。本書の白眉は構成そのもの、小説による贖罪という主題そのものだろう。第一部の夏の一日と第二部・第三部の戦争物語の間隙が埋まることはない。しかしそれが終章で突如一つの枠組みにすっぽり収められる。違和感までもが意図されたもので、読み手は作家の罠にまんまとはまり嘆息するのみ。

    ただこの小説の真の素晴らしさは、第二部のダンケルクへの行軍と第三部のブライオニーの病院勤務の、静かではあるが生々しく迫ってくる描写にあると思っている。これがあるからこそ第一部の嫌らしいまでの美しさが意味を成す。その逆も然り。あまりに重たくて、トリッキーな構造の中では突出してしまいそうにも感じる。しかしそれすらも作家の仕掛けのうちなのだろう。

    作家の腕前にうなりつつ、やっぱり手放しで好きとは言えない。ただ第二部・第三部は、そんなへそまがりでもひれ伏さずにいられないほどの圧倒的な語りだった。

  • 下巻は舞台が替わって戦場へ。償うべきブライオニーではなく、罪を押し付けられたロビーの戦場シーンがしばらく続く。結末を知っていて読んだのでこの下巻の半分程度を占める戦場シーンを読み進めるのは少し苦痛だった。
    ネタバレは知っていたのであまり驚きはなかった。ただ、いわゆる信頼できない語り手による作品で、被害者のローラに対する見方や真犯人についても、真相究明というよりは、なお自己の世界に陶酔する少女のような偏執によるものだと思うと怖くなる。

  • ブライオニー(主人公)を全然好きになれなかった。自愛と自己憐憫(作中何回かこの言葉出てくる)しか感じない、ある意味新鮮な主人公。セシーリアとロビーの一時の触れ合いがやけにリアル。感情の描写もリアル。贖罪と言ったってあくまで自己満足。共感を呼びやすそうな作品。

  • 久しぶりに「やられたー!」と言いたくなる小説。
    純愛小説という殻を被った小説論であり作家論。その構造がだんだんと明らかになっていく過程に痺れる。まさか上巻の冒頭部分を「読みにくいなー」と思いながら読んでいた(いや、読まされていた)、あれすら仕掛けだったとは…。

  • 人は誰しも少なからず、大小を問わず罪を犯すものだと思う。それを大人になって自慢したり吹聴する者もいれば、償うこともある。果たして償うという行為は、1つの行動なのだろうか。その行動をした途端、赦されるのだろうか。否。被害を受けたものは永遠にその過去を消せはしないのに、なぜ加害行為をした人間が赦されるのだろうか。贖罪とは継続を意味するはず。

    イアン・マキューアンは、ブライオニーの心情を長編に渡って描き出した。いや、結末は読めなかった。名作と呼ばれているのも納得の文書であった。

  • あいかわらず,読むのに時間がかかる.小説はとくに.

    さて,著者は第二部の終わりを思いついた時は嬉しかっただろうな.豊穣の海の幕切れを思い出す.

  • 52
    やっと下巻まで読んだ。
    あと2回ぐらい読んでみないと
    この作品は心にしみ込んでこない。

    海外物は読み慣れてないとだめだね。
    ラドラムの作品でも中断しているのがあるし、、。

  • 上巻で締めくくられた切実さが、次元を変えて、その度を増す。

    そして、まさかのセカイ系だったとは。
    小説の本質とは、物語を求めてしまう読者の心象とは。

    戦争に関する叙述、リアリティは凄まじかった。

    ・人間関係のせばまりが第一に意味するのは自分のアイデンティティが抜け落ちていくこと。

  • 後半戦。前半で冤罪を着せられた彼の従軍光景を描く第2章と、その彼を冤罪に追いやった張本人の贖罪が描かれる第3章。はっきりとした結末まで描かれないまま、それぞれの章が幕を閉じるから、実際のところどうだったのかという真相は明かされないまま。未成年だから許されるものなのか、また成長後、その罪を贖うことは出来るのか。ここに提示される問題は重い。

  • 13歳の少女が、姉の恋人に無実の罪を着せてしまい、成長した少女がその罪をどう償うのか―という物語である。
    精緻な描写と衝撃のどんでん返しが高く評価されているという。
    その点に関しては、確かにその通りだと思う。
    けれど、上巻の裏表紙には「世界中の読者の感動を呼」んだ「究極のラブストーリー」とあるが、個人的にはそうは思えなかった。

    まず、前半の冗長さに挫折してしまい、大分読み飛ばしてしまった;
    もちろん描写が精緻で綿密に練られたゆえの長さであり、この部分によって主人公のブライオニーをはじめ登場人物が生きてくるわけだし、退屈とも思えるほどのゆったりした時間の中で恋人たちの愛が描かれ、それゆえに「事件」が起きてからの悲劇性が一層際立つ訳だが。
    それにしても長すぎる…!

    翻訳もの独特の読みにくさも強く感じた。
    海外作品の独特の言い回しになじめないのか、翻訳が合わないのか、どちらなのかはわからない。

    それと、何よりも作中の「事件」が、その顛末も含めて、どうしても受け入れがたかった。
    「魂の殺人」とも呼ばれる性犯罪を、ラブストーリーの中の小道具のひとつとしてカタルシスとともに綺麗に流してしまうことは、私にはできない。
    奇しくも同じタイトルの湊かなえ氏の『贖罪』に嫌悪感を覚えたのも、この点だ。ただ、湊氏の場合は「イヤミスの女王」と言われるだけあって、あえてそういう題材を作品の中心に据えたのだろうと考えれば(そもそも綺麗な話にする気など毛頭ないのだし)まだマシだ。
    けれど、本作の場合は別だ。これを綺麗に描いてしまうあたり、やはり男性の作者だなと思わずにはいられない。
    もちろん、すべての題材にケチをつけていたらキリがない。結局のところ受け入れられるかどうかというのは人それぞれ、ということだろう。



    それでも☆をつけたのにはいくつか理由がある。
    一つは、長すぎて挫折した前半ではあったが、それはこれでもかというほど「ブライオニー」を描いていたからであって、少女独特の未熟さ、それゆえの残酷さが際立っていたこと。

    それから、ブライオニーが見習い看護婦として、戦地で負傷した兵士たちと向き合う場面の描写が、とても印象に残ったこと。

    そして、最後の「わたし」の述懐。

    結局のところ、ラブストーリーとしての部分より、その他の部分が私には印象に残った。



    レビュー全文
    http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-503.html

  • 作品全体のレビューです。

    映画「つぐない」でこの作品を知りました。
    映画ではロビーとセシーリアが主にフォーカスされていたのに対し、原作ではまさにタイトルの通りブライオニーの贖罪が主題となっている。
    映画が台詞を抑えて映像や表情などの力も借り匠に物語を描写したのに対し、原作では丁寧に各人物の心理描写がされることで各人物の造形に深みが生まれたように思う。
    とくにブライオニーの内面は興味深く、謝罪をしている最中に些細な優越感に浸るなど、一見相反するような感情が混在している。
    ただし、ブライオニーの内面が混沌としているというよりも、良くも悪くも知的で人間的だということに他ならないような気がする

    ロンドンで看護学生生活を送るブライオニーが中心となる3章では、セシーリアとロビーへの謝罪のための訪問で章が終わり、そこに1999年ブライオニー・タリスと添えられいて、ここまでがブライオニーが描いた作品であることを読者は知る。

    最終章では、ブライオニーは認知症の診断を下され作家として筆を折る覚悟を決める。
    ブライオニーの誕生日では大勢の親族に囲まれ、亡き夫との結婚生活も含め幸せな生活を送ってきたことが伺える。

    贖罪とのタイトルだが、反語的で

  • くー、楽しみに読んでいたのにふとみたブログに普通に結末が書かれていて、うっかりそれを読んでしまい激しくテンションが下がった。普通にさらっと書いとくなよなーくそー。見る自分が悪いのだけど。これから読む人は、何の前情報もいれずに読んで頂きたい。

  • 2016.06.19

  • 英国の現代作家マキューアンの傑作。悲恋の物語、戦争の物語としても十分おもしろく読めるのだが、なにより〈物語〉について、〈書く〉という行為について、深く考えさせる作品である。結末のどんでん返しにいたって、読者はまったく異なる視点から物語をふたたび辿りなおすことになるだろう。
    (選定年度:2016~)

  • 映画を先に観ていたので、
    この小説の複層性は理解していたのだが、
    それでもなお、
    驚嘆と深い切なさをもって読みきった。

    これは文学だからこそ成し遂げられる、
    内面性の可視化であり、
    想像力が持ちうる可能性と限界の同時発生的証明であり、
    小説家の罪深さと豊かさの体現であって、
    また、どこまでも主観的な物語なのであった。

    ひとは誰しもが、
    大小の差はあれども、
    己の物語の文脈でしか理解できないという、
    人間性の本質を掴んで離さない作品である。

    過剰にも映るレトリックの複雑さと豊かさは、
    この作品には必要悪のようにも感じる。
    実に素晴らしい。

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著者プロフィール

イアン・マキューアン1948年英国ハンプシャー生まれ。75年デビュー作『最初の恋、最後の儀式』でサマセット・モーム賞受賞後、現代イギリス文学を代表する小説家として不動の地位を保つ。『セメント・ガーデン』『イノセント』、『アムステルダム』『贖罪』『恋するアダム』等邦訳多数。

「2023年 『夢みるピーターの七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

イアン・マキューアンの作品

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