フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

制作 : Simon Singh  青木 薫 
  • 新潮社
4.24
  • (1253)
  • (768)
  • (528)
  • (41)
  • (10)
本棚登録 : 7507
レビュー : 890
  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159712

作品紹介・あらすじ

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが-。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 数学が苦手でも楽しめます。フェルマーの最終定理に魅せられた数学者アンドリュー・ワイルズの挑戦、紀元前からの数学の歴史、若くして亡くなった天才数学者。などなどドラマがいっぱいでした。
    自分一人では答えの出ない難問を、過去や現在の成果を駆使して証明を積み上げていく様子は感動します。また逆に、難問に挑戦していく過程で数学的に非常に重要な発見がなされて行くのもわくわくします。

  • 数学や数学者の生き方の面白さを存分に味わえるノンフィクション。面白いとは聞いていたが、こんなに面白い本とは思わなかった。

    フェルマーの最終定理とは、3 以上の自然数n について、xn + yn = zn となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組が存在しないとする定理。
    リーマン予想とは違い、命題内容そのものは単純。17世紀にフェルマーという数学者が予想。しかも、フェルマーは「私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」という言葉を残している。しかし、3世紀を経ても、この問題は解決されず、1993年アンドリュー・ワイルズによって、やっと完全証明がなされる。本書は、そこに至るまでの幾多の数学者の数々のドラマを描く。

    この命題の証明は、とてつもなくやっかいだ。命題が偽であるという証明は、この式が成立する解(反例)を示せば良い。しかし、この命題が「真だとすると、少なくとも反例を挙げるという明快な証明方法はなくなってしまう。つまり、フェルマーの最終定理が真だったとしても、それを証明する方法が存在するとはかぎらないのである」。
    1980年代、イリノイ大学は n=4百万まで該当する自然数が存在しないことをコンピューターで計算したが、それだけでは証明したことにはならない。また、該当する自然数が有限数であることを証明した数学者もいたが、これも証明には至らない。

    フェルマーの最終定理の証明には、日本人数学者の谷山=志村予想が重大な役割を果している。ワイルズは、この予想を使い背理法と帰納法で最終定理を完成している。ただし、残念なことに谷山=志村予想は難解。「すべての楕円方程式はモジュラーでなければならない」と書かれても、全く分からない。しかし、本書は敢えて、詳細な説明を避けている。要は、この証明がわからなくとも、本書の面白さは全く減ずることはない。
    本書の主人公は、最終証明に成功したワイルズだが、3世紀にわたって登場する数学者たちの生き方、友情、運命は、フィクション以上のすごさがある。
    また、フェルマー定理以外でも、数学の楽しいエピソードが紹介されている。青木薫さんの翻訳も素晴らしいと思う。

    読み終えるのが、もったいないと思えるような稀有な本。絶対お勧めの★5つ。

  • 積読状態だったものを読破。

    これはもう本当に素晴らしい一冊だった。

    数学、数論という非常に難解な世界を、
    その誕生から遡り、一般読者にも分かりやすいよう丁寧に説明しながら、
    本書のゴールであるフェルマーの最終定理の証明まで、一切飽きさせることがない。
    むしろクライマックスに近づくにつれ、益々読者を引き付けていく。
    最初の証明から破綻、そして再証明まで、ワイルズの心情が真に伝わってくる。

    本書、そしてフェルマーの最終定理証明までの物語は、
    どんな人にも薦められる、素晴らしい人類の財産だと思う。
    そして、物語の中核に多くの日本人が関わっていることが、
    同じ日本人として非常に嬉しく誇らしい。

  • 見た目はピタゴラスの定理とほぼ同じ、2乗がn乗に変わっただけ。中学生でも理解できる等式、それがフェルマーの最終定理。これを満たす自然数解はないとフェルマーは本の余白に書いた。そこから一流の数学者を悩ます長い350年が始まった。
    これはある種、宝探しである。宝(自然数解)を見つけても、宝がないことを示してもどちらにしても名声を手に入れることができるはず・・・。
    フェルマーの最終定理完全証明までの苦闘、諦め、誤り、協力、発見、挫折そして達成と証明者のワイルズだけでなく過去、現代の偉大な数学者、証明の大きな礎となる予想を立てた日本人数学者までその功績を証明の過程に合わせてわかりやすく説明している。
    日頃、物理の世界については本なども多く読むが、数学の世界にも魅せられる部分があることに気付かされた。
    中学生の時、角の三等分線を目盛りのない定規とコンパスでは作図できないと教えてもらい、それでも夢中で試行錯誤したことを思い出した。(鋭角を三等分できれば、どんな角でも三等分できることまではわかったが、肝心の鋭角の三等分線は結局というか当たり前のごとくできなかった)
    そんな無邪気な好奇心を持って、もう一度数学を勉強したくなった。

  • 『x³+y³=z³において指数がn=3以上になると、これを満たす整数解は存在しない。』
    有名なフェルマーの最終定理であるが、実は固有名詞として知っていたけれど式は忘れていた。
    この定理が有名なのは、フェルマーがこれを明示し、さらに「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」
    と書き記したからだ。
    以降あまたの数論学者が解き明かそうとしたが、350年間解けなかった定理をアンドリューワイルズが8年間を費やして証明するに至る、ドキュメンタリー。
    難しそうな話が続くのか思いきや、これがなんと感動のドキュメンタリー。
    数学に全く興味のない人はそもそもこの本は手に取らないだろうから、ホンの数学初心者でも判りやすく面白く描いている。
    ピタゴラスの定理からドイツ暗号解読で有名なエニグマ機まで話題は幅広い。
    また日本の数学者が提唱した「谷山・志村予想」が解明に大きく寄与していた等、日本人の活躍も詳しく描写されているのも嬉しい。
    読み応えありました。最初の章でいったん解き明かしたと思いきや重大な不備が発覚、どうなってんねん、どうすんねん、と思いページをめくると、次章からフェルマー以前からの数論の歴史。フェルマーも含めた数々の研究者の紹介(変人多し)と構成も上手い。
    1年以上かけて不備を解明していく過程、そして最後のヒラメキ!不覚にも涙が出ました。
    偶然見つけた本なんだけど固い内容の割にレビューも多い。
    みんな面白い本上手に見つけるんだね~。

  • 【新潮100冊】
    「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」

    3世紀に及んで証明されることのなかった不屈の予想問題、数論学界最大の魔物『フェルマーの最終定理』に挑んだ数学者たちの苦闘をドラマティックに描いた数学ノンフィクションです。
    さまざまな数論問題や数学テクニックが登場しますが、数学に興味がない人でも飽きなく読めるように充実した巻末補遺と丁寧にかみ砕かれた説明がされています。
    特筆すべきは青木薫さんの名翻訳!流れるような日本語と限りなく正確で優しい言葉選びに惚れぼれとしました。もうとにかく読みやすいし面白い!

    ピュタゴラスやユークリッド、オイラー、ニュートンといった有名な数学者・物理学者たちの人間的な部分に触れているところも良かったです。そして、そんな歴代の勇者(数学者)たちが門前払いにされてきた『フェルマーの最終定理』がいかに難攻不落の難問か・・・。さながら少年ジャ○プの熱い冒険ファンタジーを読んでいるかのような高揚感と感動を味わえる一冊でした。

    わたしにとって2014年ベスト3間違いなしです(灬╹ω╹灬)

  • これは素晴らしいわ。今まで読んだ本の中でトップ10に間違いなく入る。数学、とりわけ数論の話なんやけど、分からんなりに分かるし、ガウスとかテイラーとかオイラーとかフーリエとか馴染みのある(公式や定理として)レベルの人が登場人物になってたりするのも面白い。なんとか畑でつかまえてとか、若い時に読んでおきたかったとか言うけど、これを中学とか高校の時に読んでたらやばかった。知的興奮だとかロマンだとか、私が大事だと思うものがたくさん詰まってた。いやはや面白かった。オススメってレベルじゃなく、無理やり買って読ませるレベル。

  • もともと数論的なものは好きなのですが。
    残念ながら頭がついていかないので専門的な本は読めないし、
    かと言って暇つぶしの「頭を使う本」みたいなのは物足りない。
    という私には非常にぴったりの本でした。

    サイモン・シンの一冊目ということで読んだのだけれど、
    やっぱり面白い。
    カール・セーガン亡き後、
    今一番追いたい(広義の)ライターです。

    もちろん「フェルマーの最終定理」という言葉は知っていたし、
    これまでの人生で何か耳にした記憶は朧げながらあったのだけど、
    そうですか、証明されたんですか。
    感慨深いです。

    本そのものの事を書くと、
    やはり第一作目なためか、
    構成がすごく練られている感じがする。
    フェルマーの最終定理が生まれた時代、
    そもそものフェルマーその人から現代のワイルズまでの
    フェルマーの最終定理を巡る歴史と、
    ワイルズが幼少の頃から証明を果たすまでの彼の人生を
    オーバーラップさせてある点、
    またワイルズが定理を証明するシーンの盛り上げ方、
    そういった作為的な演出に
    なんとなくサイモン・シンの気負いのようなものを感じる。
    この気負いや作為は以降の著作では感じられなかったもの
    (以降二作はより自然な構成だが、
    その分ちょっと冗長になっている部分もあったかもしれない)。
    でも決してそれは悪い意味ではなく、
    その演出はとても上手に機能しています。
    特にラスト近くのワイルズの最初の失敗から一年後の成功までの行(くだり)は
    本当にドキドキして、
    成功したと知った時には心から喜びが湧き上がったくらい。
    一冊を通じてワイルズという人間に感情移入が多少あったのもあるのですが、
    やはりね、こういう大きな謎が解かれた時代に生きているという喜び、
    これが大きい。
    だって証明できなければ、
    あれだけ歴史的に盛り上がったフェルマーの最終定理は、
    実はガセだったのかもしれないという
    つまらない結末の可能性を抱えたまま
    人生を終わらなくてはならないのだから。

    最後に、サイモン・シンはフェルマーの最終定理なき後の
    謎は何かについて言及しています。
    なかなか面白い候補も挙がっていたのだけれど、
    個人的にはですね、
    ワイルズが20世紀の数論を駆使してようやく証明したフェルマーの最終定理を、
    フェルマー自身は如何に証明したのか?
    という謎に興味があります。
    フェルマー勘違い説もある中、
    私は、実はこれまで300年間の様々な人が見逃していた、
    17世紀の数論知識で可能な証明がある、
    という方にかけたい。
    だってその方がロマンがあるじゃないですか。
    世の数論学者の皆さん、
    頑張ってください。
    願わくば、
    私が生きている内に。

    ところで訳者の青木薫さんって女性なのね。
    素晴らしい。
    数学系って(本人は理論物理学者さんらしいが)男性が多いので、
    同性として嬉しい限りです。

  •  内容自体は昔の2chのAAで読んだことがあったので、知っていた。そのスレと本は大まかな流れは一致していたので、あのスレの出来はかなり良かったのだなと今更ながら思う。
     フェルマーの最終定理を巡る人間ドラマが描かれていて、如何せん証明に360年かかっているために、そこに関わる人も非常に多く、また数学会のビッグネームがたくさん出てくる。個人的にはガロアやオイラーやソフィー・ジェルマンの生涯についての話が非常に好きだ。
     私が理系だからというのもあるかもしれないが、非常に面白い本だと思う。数学がどうしてここまで人を惹きつけるのか、フェルマーの最終定理の問題自体が小学生でも分かる内容ということや、定理は一度証明されたら未来永劫使えるということもあると思うが、作中で志村五郎先生が仰っているように「それが頭の中で出来ること」だからだと思う。物理や化学は仮定を証明するためにどうしても実験設備が必要になる。しかし、数学は頭の中で構築され、証明ができる。これは人間だけに与えられた特権ではないだろうか。重力や炎色反応を理解する生き物は人間以外にいるかも知れないが、円周率やゼロを理解できるのは人間だけだと思う。ちなみに、この本を読む上で数学的知識は中学生レベルで良いはずだ。モジュラー形式や楕円曲線の話は分からなかったが、それでもこれらがフェルマーの最終定理を証明する上でどのように作用するかは理解が可能だ。
     2017年はABC予想が証明されたとされ、そこからフェルマーの最終定理の証明も可能となった。ABC予想の証明も非常に難解なため、私には理解出来ないが、それでも数学の世界が着々と広がっていくことに感動を覚える。今後数学の未解決問題がどの程度証明されていくのかは分からないが、少なくともフェルマーの最終定理という偉大な問題が解決されたことを生きている間に知ることが出来たのは幸せなことだと思う。

  • これまた名作「フェルマーの最終定理」を読みました。
    「3 以上の自然数nについて、X^n + Y^n = Z^nとなる自然数の組(X, Y, Z)は存在しない」という、300年以上幾多の数学者が証明できなかったフェルマーの最終定理の証明を果たしたアンドリュー・ワイルズの物語。
    これだけ聞くと、この本ってすごく難しいこと書いてあるんじゃないかと思いがちなんですが決してそんなことはなく、中学校で習う三平方の定理(上記式のn=2の場合)さえ知っていれば読める本です。
    過去の数学史に欠かせない有名人の逸話紹介にもページが割かれていて、ピタゴラスさんやオイラーさんやベルヌーイさんってそんな人達だったんだとか、
    谷山=志村予想を掲げた日本人ふたり凄すぎじゃんとか、にしてもフェルマーさんってちょっと意地悪すぎじゃない?とか、
    紀元前から築き上げられた数の歴史と数学者たちの偉業についても知ることも出来ます。
    そして、いよいよアンドリュー・ワイルズがこの定理を証明するクライマックスのシーンなんか、自分も実際にワイルズの数論の講義会場にいるのではないかと錯覚するほどドキドキして感動します。
    この本は、読んでいる内に「おれって数学極めたんじゃね?」と思わせてくれるほど作中の解説が分かりやすく面白く、
    数学の歴史や数学の定理証明に必要とされる論理性や絶対性、そして何より数それ自身がもつ不思議な特徴について、ワクワクしながら知ることができるお薦めの本です。

全890件中 1 - 10件を表示

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)のその他の作品

サイモン・シンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
宮部 みゆき
遠藤 周作
サイモン・シン
三島 由紀夫
サイモン・シン
有効な右矢印 無効な右矢印

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする