暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159736

感想・レビュー・書評

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  •  下巻は、ほとんど理解できませんでした。
     でも、ロゼッタストーンの話は、高校の英語でやったような気がします。また、線文字Bの解読の話は、興味が持てました。

  •  暗号とは、メッセージの外見を変えることにより、正当な受信者にしか読めないようにする方法である。暗号の方法には頭皮に刺青を施し髪で隠すといったメッセージの存在を隠すステガノグラフィーと呼ばれる方法と、情報を何かの規則に従って変換しメッセージの内容を隠すクリプトグラフィーと呼ばれる方法の二種類がある。
     暗号は月日とともに進化していく。紀元前五世紀のスパルタで用いられたスキュタレーからスコットランド女王メアリーの用いたノーメンクラター、ナチスドイツのエニグマ、そして今日の公開鍵暗号、そして将来生み出されるであろう量子暗号である。これらは暗号解読者(クリプトアナリスト)と暗号作成者の生存競争により進化が促進されてきた。暗号は暗号解読者によって解読されるたびに解読不能と思われるような暗号へと進化していき、今日でもそれは続いている。
     暗号は意図せず生まれることもある。考古学における古代文字の解読は暗号解読者はいても暗号作成者はいないからだ。また、失われた、もしくは使用者が極端に少ない言語は戦時下において暗号として使われたこともあり、暗号は利用者の意図により意義を変容させる。
     今日の暗号を取り巻く事情において、プライバシーと治安の問題がある。暗号はすべての人にプライバシーの保護という目的で認められてはいるが、それがテロリストに利用されたとき暗号が解読できなければ治安を維持することは難しくなるだろう。しかし治安の維持のために暗号の解読を為政者に認めてしまえば、それを悪用する者も出る。このジレンマに妥協点として鍵預託という第三の道が提案されている。これは信頼のおける第三者に暗号の個人鍵のコピーを預け、市民が犯罪に関わっているという証明が行われたときのみ個人鍵を警察に引渡し暗号を解読するというものだ。この提案は挫折を繰り返しながらも今なお提案され続けているが、信頼のおける第三者は未だ現れていない。
     現在では暗号が政府などが保持する高性能のコンピュータでのみ解読できる解読できる難易度に制限されている。しかしこれも大衆が恐れるのが犯罪者なのか、それとも政府なのかに答えを見出せないままに終わっている。
     暗号において最も重要なことは、すべての人に暗号を使う権利を与えた際、治安の維持に限界が生じるリスクを受け入れられるかである。暗号技術の進化と同様に、暗号を使うこと自体も考えていく必要がある。

  • 内容的には暗号作成者と暗号解読者の戦いを軸に、各年代の暗号を説明しながら進んでいきます。
    暗号がテーマだけあって難しい部分もありました。
    特にエニグマとボンブのところはかなり難解でした。
    現代のコンピュータへ移行する前の最後の部分なので理解するのに時間がかかりました。

    その分コンピュータが普及した後の素因数分解を用いた手法のシンプルさが目立ちますね。
    自分も研究用のネットワークにはRSAを用いているのでお世話になっているんですが、コンピュータの力勝負ですね。

    上巻は正直後半がかなり難解で冗長に感じます。
    下巻の方が好みでした。

    後、補足が下巻にしかついてないっていうのは問題だと思います。
    もともと一冊だったからしょうがないと言えばしょうがないんでしょうけど。

著者プロフィール

イラストレーター

「2021年 『世界じゅうの女の子のための日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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