宇宙創成(下) (新潮文庫)

制作 : Simon Singh  青木 薫 
  • 新潮社
4.29
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本棚登録 : 1390
レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159750

作品紹介・あらすじ

人は宇宙を知るため、数限りない挑戦を続けてきた。太陽中心モデルを作り上げたアリスタルコスから、相対性理論のアインシュタイン、宇宙誕生の瞬間を発見したNASAに到るまで。決闘で鼻を失った天文学者がいた。世界トップクラスの天体画像分析チームを率いた「メイド」がいた。数々のドラマの果てに、ついに科学者たちは…。人類の叡智の到達点を、感動的に描く圧巻の書。

感想・レビュー・書評

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  • 天文を特集した上巻に比べ、物理に着目した下巻でさらに面白さが加速。とはいえ最新のところまで来るので、読んでて面白いエピソードは少な目。
    ビッグバンって1992年にCMBゆらぎを観測してから勝利を勝ち取っていたとは、そんなに最近なんだという驚きがあった。あとは相変わらず訳者あとがきが秀逸。ここから読んでもいいかも。

    • jinminさん
      突然のコメントすみません。訳者あとがきが秀逸、というレビューに、思わず反応してしまいました。私は科学のことについては門外漢なのですが、サイモ...
      突然のコメントすみません。訳者あとがきが秀逸、というレビューに、思わず反応してしまいました。私は科学のことについては門外漢なのですが、サイモン・シン氏の著作はいつも(難しいながら)楽しく読んでいます。それも優秀な訳者があってこそだと思っています。
      2019/01/07
  • 文庫版訳者あとがきにある通り、この本の主人公は「科学的方法」なのだと思います。「宇宙はどうやって出来たのか」という問いに対する、何世紀もの間にわたる科学者の挑戦が描かれていてとても感銘を受けました。

  • ちょうどこれを読んでいる頃に、TVから録画しておいたウォルター・ルーウィン教授の物理を扱った、MIT白熱教室 特別講義を見終わった。
    その最後は、
    「この講義で君達は、白色矮星と中性子星のスライドを見た。だから最後にはブラックホールも見たいと思うのは当然のことだ。しかし、ブラックホールからは何も抜け出すことはできないから、写真で撮ることもできない。そこで今回は、白鳥座X-1のドナー星を見せるとしよう。でも、君たちは帰ったら家族や友達にこう言えるだろう。
    ある写真を見せてもらった。その隣には、見えないけれど、ブラックホールがあった。
    これが知識の素晴らしさだ。例え見えなくても、その存在を知ることができる。」
    見ることができない発見された知識の歴史。

    ・読者は、空間のあらゆる部分が膨張し、銀河はその空間内で静止しているというなら、銀河それ自体も膨張しているのではないかと思われるかもしれない。理論上はそれもひとつの可能性なのだが、実際には、銀河の内部には強い重力が存在するため、銀河の膨張は微々たるものでしかない。
    …ウッディ・アレンの映画『アニー・ホール』の冒頭近くにある回想シーンで、シンガー夫人は、なにやらふさぎ込んでいる息子のアルヴィーを精神科医に連れて行く。少年は医者に向かって、宇宙は膨張していると本で読んだが、膨れ上がって破裂したらすべてはおしまいだと話す。すると母親が口を挟んでこう言った。
    「宇宙がなんだっていうの?あなたはブルックリンにいるのよ!ブルックリンは膨張してないの!」
    シンガー夫人はまったく正しかったのだ。

    ・科学で耳にするもっとも胸躍る言葉、新発見の先触れとなるその言葉は、「ヘウレーカ(分ったぞ!)」ではなく「へんだぞ…」だ。―アイザック・アシモフ

    ・われわれが生きるために、十億、百億、それどころか千億の星が死んでいる。われわれの血の中のカルシウム、呼吸をするたびに肺に満ちる酸素―すべては地球が生まれるずっと前に死んだ星たちの炉で作られたものなのだ。―マーカス・チャウン
    (星は核融合する際に様々な元素を作り、超新星爆発でそれを宇宙にばらまく。太陽は第三世代の星と推測されている。)

    ・アレグザンダー・フレミングがペニシリンを発見したのは、窓から飛び込んできた一片の青カビがシャーレに落ちて、培養していた細菌を殺したことに気がついたからだった。それまでにも大勢の細菌学者が、培養していた細菌を青カビに汚染されたことだろう。だが彼らはみな、何百万人もの命を救うことになる抗生物質を発見する代わりに、がっかりしながらシャーレの中身を捨てていたのだ。ウィンストン・チャーチルはかつてこう述べた。「人はときに真理に蹴躓いて転ぶが、ほとんどの者はただ立ち上がり、何もなかったようにさっさと歩き去る。」

  • 宇宙観の話。
    古代の宇宙観からビッグバンモデルが証明されるまでを、数式をほとんど使わずにわかりやすい文章と図で導いてくれる。似たような本を2冊読んでいたけれど、この本が一番よくまとまっていたと思う。
    また、科学者・天文学者・物理学者が新たな発見に喜んでいる様子やライバルに先を越されて悔しがっている姿、理論が覆されたときの感情などが生き生きと伝わってくるのもこの本だけであるような気がする。

  • 宇宙マイクロ波背景放射の検出〜その揺らぎの検出のあたりが最も興奮した。ビッグバンの名残りの中で生きているというのはなんと感動的でしょう。
    終盤のSix Number の話は初見ではないけれど、実に不思議なお話だと思う。マルチユニバース論を信じたくなります。

  • もう大満足です。素晴らしい作品でした。
    これぞサイモン・シンという、とても濃いエピソードのオンパレード。
    よくぞここまで突きつめたな、と唸ってしまうほど、「ビッグバン」というものを鮮やかに描き出していました。

    訳者である青木薫氏のあとがきから引用しましょう。<blockquote>本書は、宇宙論の最新の知見を紹介する紹介する本ではなかった。本書の真の主人公は、<<科学的方法>>だったのだ。</blockquote>まさに、まさにです。

    通常、宇宙論がテーマとされている本は、「宇宙」のみを語ります。
    テーマが「宇宙」なのですから、一見、それは当然の事だと感じられます。
    しかし、本書でシン氏は、その考えを明確に否定します。
    「宇宙」を語るのなら外してはならない学問があるのだと、読者に提示してくれるのです。
    それが「神話」であり、「原子論」であり、「相対性理論」なのです。
    さらに、「理論」と「観測」という、言ってみれば正反対とも言えるアプローチが、互いを高め合い、補強し合いながら先へと進んでいく、そのプロセス。

    宇宙論とは、それだけで成立している学問ではありません。そもそも、それだけで成立している学問など存在しないのです。
    「科学」とは、細分化されていくあらゆるジャンルを包括した上にこそ成立するものなのだと、本書は読者に訴えかけているのだと思います。
    本書を読めば分かるように、神話からビッグバンへと至る遙かな道のりは、そのどれが欠けても駄目だったのだろうと直感できます。
    そして同時に、そのどれもが必然であり、為されるべくして為されてきた物事でもあるのだと思います。
    それは、「運命」のように生易しい言葉では到底言い表すことは出来ません。
    ある理論が生まれたとき、それを裏付けるデータを観測しようとする動きが生まれる。
    また、あるデータが観測されれば、そのデータの意味を解明する理論が編み出される。
    この表裏一体である一連の流れは、人間という生物の本質を浮き彫りにする流れであると言っても過言ではないと思います。

    そして、やはり特筆すべきなのは、その流れをこれほど「読ませる」文章で書き上げてしまう、サイモン・シンという才能の偉大さでしょう。
    ここまで明快に、かつしっかりとした深い理解を味わわさせてくれる作品には、なかなか出会うことは出来ないです。
    そしてもちろん、その魅力を損なうことなく日本語に訳しきってくれている青木薫氏の存在も忘れてはいけません。
    このコンビが放つ作品には、これからも眼を離すことは出来ないな、と改めて思いました。

    本書には、心に残る名言が多数収められていました。その中でも、シン氏が最後の締めに選んだ言葉と、あとがきで青木氏が補足している、アウグスティヌスの言葉を引用して、終わりにしたいと思います。
    <blockquote>神は天地創造以前に何をしていたのか?

    神は天地創造以前に、そういう質問をするあなたのような人間のために、地獄を作っておられたのだ。

    わたしはそのような答を与えようとは思わない。洞察することと笑殺することとはまったく別である。わたしはそのような答を与えようとは思わない。わたしは神秘を究明したものを嘲笑し、虚偽を答えたものを賞讃するような答を与えるよりはむしろ知らないことは知らないと答えよう。

    しかし、わたしたちの神よ、わたしはあなたをすべての被造物の創造主とよぼう。そして天地という名によってすべての被造物が理解されるなら、わたしは大胆に、「神は天地の創造以前になにも造られなかった」といおう。もしも神がなにかを造っておられたら、神は被造物以外のなにかを造っておられたにちがいない。わたしは、わたしの身のために知ろうと思うすべてのことを知りたい。わたしはなんらかの被造物が造られる以前に、どんな被造物も造られていなかったということを知っているが、そのようにすべてのことを知りたいのである。</blockquote>これをどう取るかは、受け取り手の自由です。
    ぼくは、これは人間の本質であり、人間性そのものである、と思います。

    「わからない」ことがある。それはつまり幸福であるということ、なのですから。

  • 「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102159746/ichiromarin09-22/ref=nosim" target="_blank">宇宙創成 (上)</a>」を参照してください。

  • 読後に高揚がのこる。
    インフレーション理論がエピローグなのは実証がまだだだから。
    王道中の王道といったテーマだがさすがにサイモン・シン。説明の見事さは言うまでもないも

  • 暗号解読、フェルマーの最終定理、代替医療と、これまで私の知的好奇心をくすぐりつづけてきた筆者による、宇宙創成に関する物語。

    数々の専門家が、遥かなる宇宙に挑んできたその姿は、少々専門用語が理解できなくても、充分に堪能できる。

    著者•サイモンシン、訳者•青木薫両氏も、遥かなる宇宙を巡る壮大な物語の登場人物として必須であると思えるほど、濃密な記載と丁寧な翻訳も、この本の魅力。

  • 最後まで読みきって良かったと思える作品。あとがきも読むといい。この作品の主人公は科学的方法であるというコメントは非常にしっくりきた。人は間違いを犯すということと、それを正すということがよくわかる。過去の天才でも間違いを犯していることがよくわかる。しかし、間違いを非難することは間違っていて、その間違いはその人なりの答えであるということである。非難すべきは答えを正すことができない、もしくは、答えを議論できない状況であるということがよく理解できた。

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