代替医療解剖 (新潮文庫)

制作 : Simon Singh  Edzard Ernst  青木 薫 
  • 新潮社
4.10
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本棚登録 : 629
レビュー : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159767

作品紹介・あらすじ

ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと――。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とともに語られる、代替医療の真実。『代替医療のトリック』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 結論ありきの論理だと思う。
    現在普及している鍼治療が、そもそも非常に浅いところにしか打たず、パルスでごまかしているものなのは認める。
    ただ、気とか経絡とか言う前に鍼が何に作用して、あるいはどういう働きかけで効くのかという調査をしても意味はないと思う。
    加えて凝りの概念が理解出来ないとこれは話にならない。

  • サイモン・シン最新作、待望の文庫化!!
    …のはずだったのだが…。

    個人的にはがっかり。
    身も蓋もない言い方をすれば、これは代替医療批判本。理数系の話をわかりやすく解説したいつもの"科学的読み物"ではなく、社会問題を題材にしたもの。

    学会に発表される論文じゃないんだから、いくら断じられても作者の主観の域を出ないし、作者は公平を強調しているが、同じ論調で通常医療にも批判を加えなくてはとても公平とは言えない。
    また、"科学的でないもの"を主題としていることから当然、科学的・理系の専門的な解説はなりを潜め、"科学的でないもの"の説明が延々続く。
    これではなんのためのサイモン・シンか。

    ホメオパシーに至っては、私は本作で初めて知った。説明を読んでもよくわからない。こんなものが世界的に普及しているというのも信じられない(私が知らないだけなんだろうけど)。言い方は悪いが、造語を造語で解説しているファンタジーのあらすじを読んでいる気分だった。

    代替医療について知りたいなら本書でいいかもしれない、でも、サイモン・シンを読みたい人には落胆が待っている。

  • Simon Lehna Singhの著作にはハズレがない。

    今回はタイトルの通り「代替医療」について。ここでいう代替医療とは、カイロプラクティク、鍼(お灸含め「
    気」の流れをコントロールして治療する方法一般)、ホメオパシー等である。
    これらの治療法は果たして、大学病院で治療してもらって処方箋を出してもらうよりも元気になるのだろうか。

    ここで、一つ重要な問題を考えないといけない。
    ある治療法がある病気に対して効果があるという事をどのように「科学的に」検証すればよいだろうか。
    単純にはその病気を患っている人を多数集めてその治療法を試してみて、効果を検証すればよい。と思われるかもしれないが、「プレセボ」という効果を考慮していない。つまり、プラセボによって元気になっているだけで、実はその治療法は全く意味が無いという可能性である。

    話はそれるが、このプラセボというのは案外バカにならない効果があるようである。
    今後、このプラセボ効果の科学的な解明を望むばかりである。

    閑話休題、このようにある治療法が、ある病気に対して効果があるかどうかは実は難しいのである。

    色々と方法はあるのであるがそれは本書を読んでもらうとして、結論は、上記のカイロプラクティク、鍼、ホメオパシーは科学的には効果が無いようだ。(一部は少し効果あり)

    よって、変な医療に手を出して高額の費用を払うよりはきちんと大学病院に言って最新の医療に従った治療を受けたほうが賢明だということである。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「このプラセボというのは案外バカにならない」
      ”病は気から”とは、よく言ったものです。
      しかし、どうしてタイトル変えちゃったのかなぁ、、...
      「このプラセボというのは案外バカにならない」
      ”病は気から”とは、よく言ったものです。
      しかし、どうしてタイトル変えちゃったのかなぁ、、、
      2014/02/06
  • 似非科学がはびこる現代で輝く啓蒙書。

  • 鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法、等々の代替医療に本当に効果はあるのか?というテーマに科学的に向き合った本。
    「科学的に」と書くと、自然界には科学で解明できないようなものも多くあるから、科学で説明できないからといって、これらの代替医療をダメと決めつけるのはよろしくない、という意見が出てきそうだし、実際Amazonのレビューでも同様の意見を書き、本書を批判している人もいる。
    ただ、その批判はこの本をちゃんと読まないままに発せられている。
    本書ではその治療が効く、効かないを科学的に説明するものではない。「なぜその代替医療が病に効くのか?」という問いは全く発していない。逆に、効果があるのなら、その理由が解明されていなくても良いという立場だ。
    本書で「科学的」アプローチがとられるのは「それは本当に効いているのか?」という効果測定方法だ。
    人間には、思い込みで起きる「プラシボ効果」という現象がある。高価な薬や、体験したこともない治療法に出会うと、その心理的なものだけで、痛みが消えてしまったり、元気が出たりする。
    このプラシボ効果を可能な限り排除して、代替医療の真の効果を測定し、評価している。そこに、「なぜ効果があるのか?」というものに対する回答は必要ない。
    この評価方法で出された答えには、中々対抗しづらいものがあるのでは?という気がする。
    ここで鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法のどれが効果が認められる代替医療なのか?という結論は書かないでおく。評価方法を知らないままに結果だけ聞いたとしても説得力はあるまい。
    その結果を知りたい人は是非本書を手にとって欲しい。

  • (ネタバレあり、です)
    代替医療。それは、冷たい科学的な医療に対する暖かくて人間的なもうひとつの治療方法ではないのか。
    読みながら、何度も息を飲んだりグゥの音をあげたり溜め息をついたり唾を飲み込んだりした。

    本書では、鍼、カイロプラクティック,ホメオパシー、ハーブの4つの代替医療を「科学的に」検証している。
    本書の結論は以下の通り。
    (1)鍼はごく一部の症状に効き目があるが、それ以外にプラセボ(プラシーボ)効果を上回る効果はない。
    (2)カイロプラクティックはある種の腰痛に効き目があるが、ほとんどはカイロプラクティックというよりはマッサージの効果であり、プラセボ効果を上回る効果はない。椎骨周辺を触ることにリスクがある。
    (3)ホメオパシーはまったく効果がない。むしろかなり有害である。
    (4)一部のハーブは一部の症状に確かな効果がある。使い方を間違えると危険(飲みあわせ)。その他は、プラセボ効果を上回る効果はない。

    共同著者の一人、エルンストはホメオパシーの実践者、推進者であり、西洋医学ではなく代替医療で初めて大学の教授になった人だ。その人が、こういう結論に達している。

    第一章はモノゴトを「科学的に検証する」ということを丁寧に解説している。科学的な検証によって否定された瀉血や強制労働などの有害な治療法。科学的な検証により肯定された感染症に対する清潔/消毒/ワクチンの有効性。二重盲検やランダムサンプリングなどの手法がなぜ大切なのか、豊富な事例を使って説明する。
    その後、上にあげた4つの代替医療の有効性を順番に検証していく。

    本書の白眉は「プラセボでも治るならいいじゃない」に対する反論だ。
    (a)科学的に検証された現代医療の治療法では、生理的化学的な効果とプラセボ効果の両方を得られる。代替医療にはプラセボしかない。
    (b)プラセボ効果は効果が不安定である。例えば、信じる人にしか効かずバレると効き目が無くなる、同じ症状に対する処方がバラバラ、など。
    (c)プラセボでは治らない病気がある。ビタミンの欠乏による壊血病、不潔な環境での感染症など。代替医療は概して「何にでも効く」と主張する。
    (d)プラセボは進化しない。現代医療は進化改善し続けている。
    (e)現代医療は、医師も製薬会社も厳しい何段階にも及ぶ審査が課せられている。それでも医療事故が起きている。代替医療にはそれがなく、簡単なトレーニングで治療者になりほぼノーチェックで薬を処方している。その結果起きている事故について、あまり知られていない。
    などなど。

    私個人は、家族友人に現代医療の従事者が多いこと、それなりに科学的論理的な思考を好むことから、どちらかといえば現代医学寄りの人間だ。一方で、文化人類学を研究したことから、近代科学になじまない考え方の価値をも大切に思っている人間だ。
    ホメオパシーは完全にアウトだと思っていたが、鍼を含む東洋医学や、カイロプラクティックと通じるところのある整体には惹かれるものがあり、「信じれば救われる」のを良しとする信条の持ち主だ。
    代替医療に対しては「プラセボよりはある程度マシな効果がある」と思っていたのでショックを受けている。本書は「ほぼプラセボしかない」と言っているから。

    読み終わって「ちょっと待ってくれ、時間が欲しい」と著者に呼びかけてしまった。

    ただ、これだけは言える。
    本書が大前提にしている「(本人や周りの意思と関係なく)病気が治ることは良いことだ」は、常にそうとはいえず、良い場合とそうとは限らない場合があるということ。
    本書の「科学的な検証」が有効な射程とそうでない領域があるということ。
    全体は部分の集合ではなく、生物としてのヒトは細胞の集まりかもしれないが生きている人間はそれ以上の何かであるということ。

    なお、少々気になったのは、本書の肩入れ。代替医療の*効果*になると科学的に有為かを厳しくチェックしているが、代替医療の*副作用*となると(代表性バイアスにとらわれる傾向にあるなど)科学的な態度ではなく「ほら見ろだから代替医療はダメだ」という傾向が見られる。この点は残念。

  • サイモン・シンさん。
    とにかく自分には絶対知りえることも触れることも考えることもなかったであろうテーマについて、本にしてくれて読ませてくれる。
    それだけで、読めるだけで、機会を得るだけで、何か嬉しくなってます。笑

    文中の、
    「二千四百年間にわたり、患者たちは、医者は自分のためになることをしてくれているものと信じていた。そのうち二千三百年間は患者たちは間違っていた」。言い換えると、人間の歴史のほとんどにおいて、大半の医療はほぼすべての病気について、効果のある治療ができなかったということだ。実際、かつての医者の大半は、私たちの先祖の病気を治すのではなく、むしろ害をなしていたのである。

    胸に残りました。

  • ノンフィクション
    医学

  • 18/12/25読了

  • 405円購入2013-10-18

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